アマザキ~春のBAN祭り~(アプリ坊主外伝4)
【warning】(強注意)
※『この物語はフィクションです。登場する人物・団体・名称等は架空であり、実在のものとは一切関係ありません。』
※『この物語は、法律・法令に反する行為を容認・推奨するものではありません』
未公開の株を握り絞め、その価格をどうにかしようとしていた企業に、天下りがやってきたのはつい最近の事である。影響力が年々と増大し、少なからず国民の関心を引く事が多くなった会社にとってそれは願ったり叶ったりの吉事であった。
何にせよ彼らは多少のリスクと引き換えに存在を許された身なのだから。
権力者が行き着いた先、天下りが入った企業。天下りの先、すなわち
『アマザキ』
正式名称ではないものの、ネット界隈で囁かれている愛称であり、個人的な感想としてなかなかに的を射ていると思う。
そのアマザキが利用者をことごとく抹殺しているとの噂が広まり、私が独自に潜入調査を決意し、今ここに天井裏にて秘密裏のうちに実態を暴こうという企画である。ニンニンゼミ。
尚、私は興奮すると『パオォーーン!』と鳴いてしまう癖があり、あまりこういった隠密行動には向いていないのかも知れない。
11月×日 晴れ
・ 今日の天井裏は妙に冷え込む。空調の調子がどうたらとか話す社員達の間にその会話を少しばかり拾う。
『しっかし、卑猥だとか隠語とか基準が難しいよね~』
「しらねえよ。上からの指示だ。」
『3ポイント制なんだって?』
「ああ、そうらしい」
ふむふむ、社員達はあまり多くの事を知らされていないのだな。・・3ポイント制・・?スリーアウト・・野球かな?
11月×日 くもり
・ コンビニで買ったツナおにぎりのパッケージを慎重にはがして頬張る。天井裏はほこりが凄い。
『昨日さ、テレビで芸人がポロリしてたけどさ、あれっていいの?』
「しらねえけど。いいわけねえだろ。」
『でもさぁ、おかしいよね』
「なにがだよ」
『だって多くの人が目にするテレビでそんな露出が許されて、かたや、たった数文字の記号である文章がダメなの?』
「しらねえよ。いろいろあんだろ多分」
/パオォーン!\
『ん?今なにか聞こえなかった??』
「しらねえよ。気のせいだろ」
おっといけないいけない。静まれ、静まれ・・そう、良い子だ。忍び装束はあちこち窮屈でいかん。
12月×日 雨
・ アマザキの使われていない倉庫から慎重に延長コードを引っ張る。今日は自宅から炊飯器を持ってきて天井裏で自炊する事にした。
『キミ、ちょっと来たまえ』
「は、はい!」
『この前の指示・・んだが、我が・・ん・・奨の・・こ』
「そ・は・・申し・・せん」
『・体・ミ・・・・』
ん?今確か何でもするって言ったよね?・・・いや、言って無いか。ワンコがどうのとか言っていた気がするが犬かな?犬なのかな?
12月×日 雨
・ ここの空調は壊れている。天井裏が寒い。もしかしたら、もうひとつヒーターを増やしたほうがいいかも知れない。新しく購入した洗濯機をどうにかして配置したものの、こう雨続きだと乾き所が無い。
『大本営推奨アニメだってさ』
「しらねえよ。なんだそれ」
『国が、推奨する、アニメだよ』
「なんじゃそりゃ」
『国民を上手に誘導するアニメが推奨される、って事』
「じゃあ、それ以外のアニメは?」
『BAN。ババンがBAN・・』
/パオォーン!\ /パッ”ォ・・ン”\
「ん?なにかきこえないか?」
『気のせいだよ、多分』
ハァ・・ハァ・・・興奮させてくれる。やりやがる。かなり危ない所だった。きわどいラインだった。少し綺麗になった天井裏にあやうく出してしまう所だった。
12月×日 雨
・ 掃除機の調子が悪い。排泄した物を溜めておくタンクがそろそろいっぱいになって来た。社員達が居無い夜間にこたつと電気カーペットを配置した私は、茶碗にご飯を大盛りにして、レトルトと味噌汁を食卓に並べた
『おはよー!』
「しらねえよ。おはよう」
『やっぱりさ、お金と株価と権力が関係してるらしいよ』
「真っ黒だな」
『怖いね』
「どうすんだよ、俺達。」
『そうだ・・自由に・・自由に、なろう』
/パオォーン!\
zzz・・・。ドガッ!!!
潜入した調査員が寝ぼけて蹴飛ばした汚水タンクが転がり、ウン悪く炊飯器にぶち当たる。その衝撃でフタが空き、上に乗せられていた茶碗が吹き飛んだ先に洗濯物が干されており、その布の落下がヒーターの熱暴走を引き起こした。
『(メラメラ・・)』
『(パチパチ・・)』
ヒーターは高熱を感知して動作を止めたが、時既に遅し。色々な物に引火したそれはアマザキの天井裏を火の海と化し、降り注ぐ汚水と逃げ惑う社員達と囲碁などを楽しむ役員達とで混迷を分かちせしめた
『あわわわ・・』
忍び装束がほどよくウェルダンな感じの下半身丸出しの潜入員が
「なに奴っ!!?」
天井からあぶり出され、社員に目撃される
『御免っ!!』
潜入員は股間にTENGOを素早く装着し、社員を一刀の元に気絶せしめた。
『うおおおおお!!!』
そしてそのままTENGOを振動させ
『ブーン!!!』
『ガシャーン!!』
『パリーン!!』
『パオォーーん”っ!!!』
燃え行くアマザキから飛翔し脱出した。後に提出される彼のレポートの最後には一言、短歌を添えてこう記されていた
レポートの最後 ⇒『BAN祭りだと思った?残念。Burning祭りでした。テヘッ☆』
短歌 ⇒「炎上の 続きしアマの 行くサキよ カネの亡者に それは御似合い」(字余り)