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第6話 紅の豚戦 -On the plain close to the highway-

 

 俺は何事かと馬車の中に入ってみると、中学生ぐらいの少女が横転した車内の中で蹲って泣いていた。よく見ると足を怪我しているようだ。


 豪華そうな服を着て、華鈴さが有ったのだろうが今となっては薄汚れてしまって所々摺り切れて血が滲んでしまっており影もなかった。綺麗だったであろう金髪も今はくすんでいた。


「痛い...お母さん、お父さん?」


 少女の視線を追って見ると、壁の上で倒れた2人の姿が見てとれた。頭辺りから血が出ている。お腹辺りを見たところ僅かに上下していた。どうやら気絶しており、命はあるようだが...。


「お嬢様...すみません。私の不手際で馬車が...。今、オークどもに囲まれています。このままでは、助からないでしょう。ですが...お嬢様だけでも...!」

「いや!お父さんとお母さん一緒が良い!」


 その時、馬車に大きな音がなり、そして穴があいた。そこからは、棍棒が見えた。そう、オークが馬車に棍棒を叩きつけたのである。


 所詮木を継ぎ合わせただけでしかない木の壁は、あっさりとオークの筋力と棍棒の重さにより崩壊したのだ。


 俺はオークに向けて、出来るだけ頭を狙って撃った。掠った、それだけでオークの頭を吹き飛ばすことができた。


 首から血が噴き出る。それを間近でみた少女は顔を顰めはしても吐いたりはしなかった。それどころか、いきなり登場した俺を訝しげな目で見ている。


 きっと、こんなにグロい映像なんてみたら、気持ち悪すぎて吐いてしまう。


 でも俺は込み上げてくるものも無ければ、吐き出すものもない。俺はこの時改めて、自分は人間ではなくなってしまった事を自覚した。


 と、こんな事を考えている暇などなかった。オークは1体だけではない。10を超える棍棒が一斉に振り下ろされ、馬車をボロボロに叩きのめす。



 さっきまでは壁だったものが屋根となり、その屋根は今では無くなり雲ひとつない快晴の空が広がっている。馬車の床に倒れ伏していたはずのあの女の子の両親そして御者...執事かな?いつの間にか外に出ていた。だが、オークは見つけてしまったのか馬車の積荷を盗み出しながら二手に分かれて片方は少女の方へと行ってしまった。


『そうはさせるものか...!』


 俺は向かって行ったオークの先頭に向かって銃を撃つ。後に残るのは倒れた顔なしのオークの身体と、血臭。そして、銃弾を飛ばす火薬の爆発音。


 周りの他のオーク供は、これに驚き体の動きが止まった。しかし、それが仇となる。俺は次々と、一心不乱に撃ち続けた。


 何発撃っても、残弾数が減る事は無かったがこの時は気にもしていなかった。撃って、離れてを繰り返す。気づけば俺の周りにあれほどいたオークは殆ど居らず、視界には平原が広がっていた。


 後ろには俺の本体がある。あれ?何で俺は今こんな所にいるんだ?馬車はどこだ?


 目の前にはオークがいた。でも、俺が今まで対峙してきたオークとは決定的に違う点があった。


 それは、色が赤いという事である。普通、オークは豚の肌に近い色をしていた。そして、こいつの周りを確認しても、オークは1体だけであった。


 こいつの背後を見てみると其処にはボロボロになった馬車から此方を放心しているかのように覗く少女の姿あった。両親の方は大丈夫なのだろうか?


 俺は照準を合わせて引き金を引く。それと同時に、終わった...という安堵と、達成感が体中を巡った。


 ばんっという破裂音と共にノズルから銃弾が噴出し、硝煙が出た。それは確実にそのオークの胸を貫くはずだった。


 しかし、きんっという金属音と共にはじき返されてしまう。俺は目の前の光景が信じられなかった。


 まさか、銃が効かない生物がいるだなんて...!


 俺はふと、機体に取り付けたビームライフルのことを思い出した。この緊迫した状況の中、行動に移すのは早かった。


 すぐさま機体に戻る。


 そしてライフルをそのオークに向けた。しかし、僅かばかり遅かった。


 オークはこの中にロボットが隠れていると思い結界を張る暇すら与えずわざわざ、中から出そうとして叩き潰さずに、かっ飛ばした。


 完全に舐めている証拠だった。しかし、俺はその油断に幸いした。


 一体どのぐらい長い時間飛んでいただろうか。俺の遥か真下には地面が見えた。いや、実際にはそんなに高くは飛んでいなかった。


 俺はゆっくりと再びライフルをオークに向けた。そして、ビームを放った。


 光った。


 その時、俺は光に邪魔されてしまって見ることが出来なかったが確実にオークの胸部を貫いた。

 そして俺は...


『はっ!?何処まで上がるの?高すぎるって!え?あ!ちょっと待って!落ちないでー!』


 経験したことのない高さからの落下に怯えていた。気づけば、今までいた場所が眼下に見える。


 平原だって、地平線まで続いていたけれども今の景色は遥か彼方にある山までもが見えるようになっていた。


 つまり、それほど高くまで打ち上げられたのである。そして現在は急速落下中。


 何かデシャヴが有るが気にしない。


『結界』


 地面に落ちた。今回は結界に亀裂が入るような事は無かった。


 当然だ。宇宙空間から落ち、地面に衝突した時のエネルギーに耐えたのだから。


『はぁ...精神が持たねぇよあんなの。というか、絶対あいつ生物じゃない。俺と同じ機械だったりして...』


 さてと、馬車からはちょっと離れちゃったなぁ。そういえば、さっきの少女の親。それと、執事...。


 うーん、助けた方が良いかな。助けなかったら少女1人になっちゃうし...。


 それに、多分、あれじゃあ助からないだろうなぁ。街はさっき飛んだ時に少しだけ見えたけども目視でもかなり遠かった。


 それに、黒っぽい点にしか見えなかったし。ただ、村ならあった。多分、宿場だろうな。そこまでならそれほど遠くもない...?


 そういえば、人を治療することができる奴とか無いのか?

 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 ▶︎人の治療

 ※範囲が広過ぎます 表示しますか?

 残295pt

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 あぁ、そうか。まずは、傷の具合を見てから...だよな。俺は馬車に向かった。

「うわぁぁぁぁん!起きてよ!ねぇ、」

 馬車に近づくとまず最初に聞こえて来た声がこれだった。あれ...。今さっき泣き出したのかな...?良く見ると、親の目の前で悲嘆に暮れているようだった。


 まぁ、死んでるかもしれないからな。確かめる術もないのだ。ただ一つの頼れる存在がこうなってしまっている上、まだ幼い方だろうし当たり前か。


 すると、少女が此方の存在に気づいた。


「ねぇ!あなたさっき私たちを助けてくれた奴よね?私の両親を助けてくれない?ねぇ、生きてるんでしょ?」



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