第二話 ポイント
2話目投稿しました。
全てを破壊する光線だったので、そのままこの攻撃を破壊光線と呼称する事に決めた。厨二病ならディザスターレイとかデスビームとかルビを振りそうだが、もう卒業しているので俺は絶対にしないからな。
俺の体が生き物ですら無いという事を改めて思い知らされたが、自分という意識はあるのだし、別に良いかと非常に楽観的な思考をしていた。
今の武装状態から元に戻るにはどうすればいいのだろうと方法を模索する。別に戻る必要は無いのだが、一応戻れるのなら一度戻っておきたいと考えた。結果、全く元の形態に戻すことはできなかった。
そこで自由に動けるようになった事だから、穴を抜け出してその周囲に広がる大自然を探索したいと考えた。その探索は宛ら異世界の冒険者のような気分で行った。そしたら案の定ファンタジーな生物が出てきた。それも、沢山。
ゴブリンの他にも、豚の顔をした人型生物や、巨大な蜘蛛のようなものが現れた。巨大というからには蜘蛛は地球にいたようなものとは比較にならない大きさである。具体的な比較対象をあげるとすれば、車と同等といった事だろうか。いずれも俺の姿を見ると直ぐに襲いかかってきた凶暴な生物だ。
まずは、ゴブリン。
銃口を向けて、エネルギーを貯めて解放する。一発で簡単に直ぐに殺せてしまうが、このような破壊光線、どんな生き物だろうと耐えられたものではないだろう。寧ろ耐えられるような生物がいるとすればそれは本当の化物だ。ここで一つ、俺の射的の技術についてだが銃撃戦をするようなゲームをした事がないので完全に初心者だ。だが、あまりに広範囲を破壊する為狙いが外れたとしても大抵殺せてしまうくらいこの銃はヤバかった。
次に豚の顔をした人型生物についてだ。
こいつはゴブリンの2倍程の高さの身長があり、顔から足まで本物の豚のようにピンクの皮膚をしていた。俺はこいつを豚人間と呼称することにした。
はじめて見た時この姿にも見覚えはあったが、前世での名称は残念ながら思い出せなかった。上半身と下半身には金属製の装備を身に付けており、剣も錆びておらずしっかりと研磨しているのか光によく反射し斬れ味も良さそうだった。ただ、豚だからといって太っているわけでもなくその体は寧ろ非常に筋肉質で堅牢な印象を受けた。
ゴブリンよりも厄介そうで、あまり近付かない方が良いと判断して逃げようと行動に移したのだが、時既に遅く、豚人間に姿を捉えられ追いかけ回されるハメになった。仕方なく、破壊光線を放ったがやはり耐えられないのか跡形もなく消え去った。だが、体の中にあったエネルギーがあと僅かであるという感覚があった。残念ながら、破壊光線は何十発も放てるような物では無いようであることを知った。
その時、背後からもう一体来ていたことに俺は気がつかず、体に剣が振り下ろされた。ゴブリンの時は平気だったがこの生物となると話が違うらしく、攻撃された部分は傷付き何度も攻撃されたら不味いと危機を感じ残り少ないエネルギーをフルに使用してなんとか逃げ去る事に成功した。
最後に蜘蛛なのだが...。
あれに近づいてはいけない。蜘蛛の縄張りに入ったが最後、命はないだろう。まああるのだが。
豚人間から逃げ果せた後に、後ろばかりを確認していたせいか蜘蛛の張っていた糸に気づかなかった。蜘蛛の張っていた糸は非常に細く、例え前を見ていたとしてもしっかり気づけたかどうかは怪しいが。しかも粘性が強いかつ強固なものだったため尚更タチが悪い。
その後数時間経った後にこの糸を張った犯人と思しき蜘蛛が近づいてきたのだが、移動する事ができなくなってしまったので、何もせずに待つしかなかった。蜘蛛は脚?を俺に向けて伸ばしコンコンと叩くように触るとそれだけで食べられない事がわかったらしくペシッと叩き落とされて脱出する事に成功したのである。脱出というか追放だけどな。
捕まったら命が無いというのは、生き物だった場合。まあ...今の俺は生き物ではなくなっているからね。
太陽が徐々に地平線へと落ちていく。空も徐々に赤く染まり地球と同じような茜空が天に広がっていく。
この森を脱出することも考えたが、一先ず落下した場所に帰ろうと考えた。帰り道に関してだが、不思議と今まで通ってきた道が記憶されているのかそこから計算して穴までの方向と距離が手に取る様に分かったため、簡単に戻ってくる事ができた。
帰ってきた時、突然ガクンと視界が下がった。頭上から出ていた銃も消えた。どうやら武装展開の効果が無くなったようだった。再び武装展開をしたかったが、強く念じても何も起きることはない。あの意思の作用が無ければ俺は何も出来ないのか?
再び防護壁や武装展開の時と同じように再び謎の意思が宿った。今回は特に自分の身に危険があるわけでもないのに何故?と考えるが意思はこれはお前の能力であると言わんばかりに、支配してきた。
意思曰く、これは本能。決して逆らえない何かなのだと。その本能に流され、視界に突如として表示された画面に驚愕した。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
部屋 1×1×1㎥ 1pt
装甲 5pt
ビームライフル 50pt
残95pt
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
...完全にゲームじゃねぇか!
部屋やら装甲、ビームライフルは作成できるものだろう。そして、右に表示されているのが消費するptだろうか。
色々ツッコミたい所だが、宇宙空間に飛ばされていた時点で可笑しいのであるからこれ以上気にするのも阿呆らしいと思えた。ただ、今表示されているこれは余りにゲーム染みていて現実味が減る様な現象だ。やっぱりこれは夢なんじゃないか。寧ろその可能性の方がここまで来ると高いと思う。
だが、今感じている感触がこれは夢ではないということを教えてくる。屁理屈だが、これが夢だろうと何だろうと、現実に戻らない以上ここが現実であると言えた。
思考を切り替える。今表示されているスクリーンから何をするべきかを考える。
この部屋とは何なのか。俺が大きくなって部屋となるのか、部屋が目の前に設置されるのか、俺を中心として部屋ができるのか、何一つ分からない。兎に角今はそこまで重要性を見出せない為パスだろう。
装甲は必要か。装甲というからにはどの様な形状にせよ、防御力が強化されるのは間違いないと思う。豚人間による攻撃で傷が入ることが分かっている以上要らないわけではない。しかし、このポイントがどの様に入手できるのか分からない今消費してしまうのは得策では無い気がする。
武器は必要か。豚人間は俺の覚えているゲームの知識でだとそこまで強い存在では無かった筈だが、ここまでファンタジーの生物が出てくるということは竜...ドラゴンといった最強生物がいるかもしれない。
それこそあの破壊光線が全く効かないような化物が現れるかもしれない。いや、むしろ現れると考えるべきだろう。さっきまで使用可能であった破壊光線は非常に便利だが1発1発のエネルギー消費はとてつもなく多きい上、再使用までにスパンがあるのかどうか、そもそも再使用することができるのか、意思とは関係なく使用可能であるのかどうかさえ不明だ。
このビームライフルというのはライフルという名前からして破壊光線よりもエネルギーを抑えられる可能性が高いと考えられる。ビームという名前から見ても普通の銃よりは強いはずだ。現在太陽は地平線に飲み込まれる直前。夜にだけ出てくる魔物がいないとも限らないし、その中にそれがいる可能性も捨てきれない。
よって、夜の対策の為に55ptは残しておくことにしよう。さて、今自分が一番欲しいものは何だろう?
それは...暇つぶ...違う違う!移動手段だ。折角武装展開によって手に入れていたはずの移動手段は消え去ってしまった。感覚的には格納されたようなものだったので、体の中にはあるのだろうが...。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
▶︎移動手段
*ホイール
・木製 3pt
・鉄製 8pt
+12pt(タイヤ、リム)
*翼
※条件未達成
*ロケットエンジン
※条件未達成
*反重力装置
100×50×75 10,000pt
⬇︎
0.01×0.005×0.0075 100,000,000pt
残95pt
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
有った。出てきた。何か反重力装置とかいう訳の分からないものも表示されているが気にしてはいけないと思う...。
とりあえず、タイヤを作ってしまうことにした。タイヤを取りつける場所は丸っこい球体の2箇所。因みに取り付けは、鉄製を押した時に自動的に装着された。一体どういう仕組みなんだろうか。
消費したptは、ゴム付けも合わせて40pt。残りは55pt。タイヤを動かすことができるか前に進もうとしてみた。すると、動き出した。
しかし、当然2輪ではバランスが悪い。走り始めると車体が前に傾いているから、体を引きずってしまっている。まぁ、これは仕方がないこと。見た目は悪いが気にするのは贅沢というものだろう。だが、4輪に早く戻りたいところだ。
さて、取り敢えずの目標はこの森を出る事だろう。さっき軽く探索した時は付近には全然出口が見つからなかった。でも、今ならあの時よりも遥かに遅い速度ではあるが武装展開に頼らない為、少しずつではあるが移動することは可能だろう。地面を引きずりながら移動するというのがちょっと...いや、かなりダサい格好なのが癪だが。
『よし、これからが本当の冒険の始まりだな!』
と、言ったがその直後、これはフラグだった事に気づく。タイヤが止まったのである。その原因は、バッテリー切れ。
視界に「バッテリーが切れました」という文字が浮いていた。もう突っ込まない!しかし、武装展開時はこの様なことは一切無かったことを考えると、あれはまた別のところからエネルギーを供給していたのかもしれない。
ふと空を見上げると既に夜になっている事に気がついた。この星の1日の長さは知らないが、出来るだけ地球と同じであって欲しいなと願う。
周りへと視線を向けると、穴のお陰で見晴らしが良くなっており此処に来た時と大して変わらない光景が広がる。穴の淵の先にある木々の合間から赤く怪しい光の集団が此方を覗いているのが見えた。
どうやら...夜は休息を与える気など一つもないようだった。
読んで下さりありがとうございます!




