第一話 惑星不時着
よろしくお願いします!間違いなどありましたら伝えてくれると嬉しいです。
...え?
目の前に飛び込んで来た光景を見てまず出てきた言葉はそれだった。
全体的に暗く蒼く、白い雲のようなものを纏った球状の物体が暗闇の中淡く光っていた。そして、後ろに意識を向ければどこまでも続いていそうな暗闇。そして、一際眩しく輝く真っ白な物体があり、直視すれば光が視界を覆った。
前にある物体は間違いなく地球...。そして背後のものは太陽だろうと仮定できる。それはつまり、今いる場所が宇宙であるということを示唆していた。自室で寝ていたら宇宙空間に来てしまったようである。訳がわからない。
自分の今置かれている状況を把握できたところで、それを信じることができない。あまりに非現実的過ぎる。夢でこのような星空を想像したことはあるとは言え、人の考えるイメージというのは、もやもやとしたものであり今俺が見ている景色はそれとは裏腹にとても精細なものだった。
ふと自分自身の名前を思い浮かべようとしたところで、思い出せないということに気がついた。だが今はそれどころではないと思考を逸らす。
俺は寝る前まで間違いなく自室にいたはずであった。これは間違いない。しかし現実では宇宙空間に放り出されている。
どうしたことか体の感覚も無くなってしまっているようで頰をつねる事もできずどうすることもできないでいた。
正面に浮かぶ星を観察する。そこで一旦冷静になり、大陸の形が地球と明らかに違っている事に気がついた。世界地図を完全に把握していた訳ではない。だが、大雑把な地形や配置は覚えていたから気づけた事だ。
そして今この星に落下しているということに気づいた。今まであまりに距離が離れていたためか距離感を掴みづらかった事が原因だろう。...産まれ故郷の星で死ぬ事すらできないなんて、俺はもういったい...
突然脳裏に『[防護壁]』を使用しないと死ぬという思考、本能のようなものが頭の中を支配した。
その意思に操れるように『[防護壁]」を展開する。すると身体の中の温かいものがごっそりと減ったような感覚と共に、周囲に何かが展開されるのが分かった。
周りの見た目に変化が無いことからどうやら透明で目に見えるようなものではないようだ。同時に俺はさっきの意思は何だったのだろうかと疑問に耽った。勿論このような防護壁の展開方法を知るわけもないし、前世でこのような力を使用した事があるわけでもないのだ。ただ落下してる以上、パラシュートなどの減速方法が存在しない今地表に到達した時どのような事になるのかは想像に難くない。
瞬間、重低音の大きな破裂音が鳴った。音が鳴った直後空気の音が聞こえるようになったから大気圏に突入したのだと思われる。
落下していくと、徐々に防護壁前方が赤熱していく様子を捉えることができた。もしこれを展開していなかった事を想像して冷や汗が出そうになる。間違いなく今頃俺は燃えカスとなっていただろう。よく分からないけど謎の意思ありがとうと心の中で感謝した。
そのまま重力によって、星に吸い込まれていく。幸い落下予測先は海ではなく陸地で、漂流するような事は無いだろうと考えた。とはいえ、地球ではない以上知的生命体の存在に賭けるしかない。もし知的生命がこの星にいなければもし生き残れたとしても孤独死してしまう。
そんなのは絶対に嫌だ。
どうか人に近い姿であってくれと願うと同時に人じゃない、タコ星人でも良いからいてくれと願う。
みるみると地上に近づき遂に雲の陰影がハッキリと見える距離まで来ていた。飛行機から見た雲海と似た景色から、どうやらこれは俺の知っている雲と同じであることを確信した。
やがて雲を悠々と貫通して、白い尾を引きながら秒速数kmという途轍もない速度であっという間に地表に到達する。雲を突き抜けてからはあまりに早く、2,3秒しか猶予が無かった。絶叫を上げる暇もなく気づいた時にはとてつもない音と光と土煙が発生し、視界を覆っていた。
『痛っ...くない?』
全く痛みを感じないことに疑問を感じたが、今は気にしないことにした。
防護壁に目を向けると光の屈折により亀裂らしきものが入っているのが分かった。これはガラスのようなものなのだろうか。兎に角なんとか無事に済んだらしかった。俺はこの星への着陸に成功したのだ。
危機を脱した俺は平常心を保ち続ける...なんて事てできる筈もなく、やはり現実に戻らない今の状況からこれは夢ではない事を認識せざるを得ないのかと考えていた。
一先ず周囲を確認すると自分を中心に数十メートルほどの穴ができているのが分かった。周囲からは衝突時の熱によるものだろうが、煙が出ている。木々が倒れていたり、炎上していることからここが森だったことも分かった。
この場所から動こうと手足の感覚を探るがやはり無い。視界は360度周囲を見渡せるが、自分の身体に眼を向けることは残念ながらできないようだった。
ただ一つ疑問なのは首を動かすという動作もせずに視界をあらゆる方向に動かすといった事ができる点だ。
これはつまり、今の俺は人間ではない何かになっているのだろう...。
宇宙空間にいつの間にかいた時点でもう色々と諦めかけていたが、ここまでくるともうどうにでもなれという気持ちが湧いてきた。そもそも宇宙空間にいたのに生きている時点でもう人間は辞めているじゃないかと自嘲する。
思考に浸かっていると、穴の外側からこちらを覗くようにしている生物がいる事に気がついた。
『もしかして...この星の知的生命体!?ならすぐにでも会いた...」
その言葉は最後まで続くことは無かった。
近づいてくるにつれて少しずつ詳細が分かってくる。その容姿は助けを請う相手としてはちょっと、いやかなりきついものだった。
小さい人型の体に、極悪そうな面妖、暗い緑色の肌、そして片手に赤茶色で錆びた斬れ味の悪そうな短剣を持っていた。容姿だけで相手の性格を決めつけるだなんて差別主義者かと思われてしまうかもしれないが、きっと日本人なら皆同様の考えに至る筈だ。
だって...
ーあのー、どうみてもファンタジーなゴブリンなんですけど...!?
「グギョギャ」
「ギャギョッギャ」
「グルッギョ」
ゴブリン達が声が聞こえるぐらいにまで近づいて来た。すでに此方の存在には気づいておられるようで指差して何か言っている。逃げたいが、今の俺には移動手段が無い!せめて自分が食べられるような物ではないことを祈るしかねぇ!
すると一体のゴブリンがこっちに近づいてきた。え、一体何をする気なんだこいつは?
ゴブリンは短剣を持つ右腕を振り上げてこちらに向かって攻撃しようとしてきたように見えた。振り上げた刃の先が太陽の光に反射して鈍く光っている。
その事実を認識した途端、走馬灯のように世界がゆっくりに見え始めた。もしかして俺ここで死ぬのか?今も罅を確認可能であることから、防護壁が貼られているのは分かる。しかし、この防護壁がしっかりとこの攻撃を防いでくれるのかどうかは分からない。
俺は再び防護壁を展開した時と同じような意思が頭に浮かんだ。このような時はこれを使用すれば良いという所謂ヘルプのような存在なのだろうと考える。そして、この意思に身を任せることにした。
『[武装展開]』
意思とは関係なく、それは行われた。
変化は直ぐに起きた。視界が若干高くなり体内にエンジンがあることを、また頭の上からは黒い突起物が出ていることを認識する。このエンジンを稼働させれば脚のように生えた4つのタイヤを動かす事ができるということと、またこの黒いのは自分の良く知る銃と似たような物であるということ。
自分の本体とは別だからか、視点を上に向ければその銃がどういった物であるのかよく分かる。見た目は銃...というよりは戦車などの砲台に近いだろう。また青白く光る幾何学的な線が入っており近未来的な印象を受けるものだった。
その模様に見惚れている隙に金属音が鳴る。ゴブリンが剣を振り下ろした音だった。この姿になった時に防護壁が無くなっていたため俺に直接攻撃は当たっていた。しかし、痛くも痒くもない。痛覚が無いのだろうがそうであったとしても傷はついていないだろう。どうしてかそのような確信があった。エンジンを動かすと静かな駆動音と共にゴブリンから離れるように移動した。ゴブリンは俺が動くとは思っていなかったのか驚くような表情をする。こいつらにも人のような感情がある事を知り躊躇いそうになった。しかし俺は、銃の先端をゴブリンに向けた。
そして、エンジンをフル稼働して発生させたエネルギーを頭上へと持っていくイメージをする。
銃は赤紫色の雷を迸らせ模様はより強く青白に光り輝いた。十分にチャージされたという感覚を得ると暴れ回るエネルギーを解放する。
一閃
刹那、その矛先にいたゴブリン達は眩い光と共に消失した。
解放されたエネルギーはゴブリンだけでなく、数十メートル先の地表すら抉り取った。あまりの熱に近くの土はガラス化までしている。
同胞が消えるという事象を起こした俺に対して恐れを成したのか周囲にいたゴブリン達が逃げ出し始める。
『俺は一体何をしたんだ...?』
気づけばゴブリン達は周りから完全にいなくなっていた。あまりの出来事に張本人ですら一体何をしたのか把握しきれずに戸惑った。
読んでいただきありがとうございます┏○ペコ
ただいま改造中。大まかなストーリーの流れに変更点は無いですが、ぶっちゃけ設定とか色々変えまくってるのでかなり、変わります。




