第96話:鉄壁の名2
リアース歴3238年 10の月26日11時半。
アイシャの凄まじい弓が火を噴く。
本当に火を噴いた訳じゃないからね。
それほど凄いって意味だから勘違いしないでね。
アイシャは連射で矢を盗賊射かけ続けた。
アイシャの矢は盗賊の肩や太ももに刺さり、相手を無力化させる。
それで良い!
殺さなくても無効化さえ出来ればそれで良いんだ。
無力化されられた盗賊達は、他の護衛の者に止めを刺されて行くか、もしくは俺の土の精霊術によって雪だるまの様に土で固められ身動き出来なくされる。
右側から攻めて来た盗賊達の戦闘は僅かの時間で終わった。
こちらは全くの無傷だ。
次は正面から攻めて来る盗賊達だ。
奴らは俺が立ち上げた土壁をようやく乗り越えて来た。
数はほぼ互角。
さぁ、これからが正念場だ。
壁を乗り越えて来た盗賊がこちらに向かって突っ込んで来る。
ん~、まるで猪武者の様だなぁ。
では次の手を・・・
「大地を砂に!『ピート!』そこからの~地面から刃を突き出せ!『ストーンエッジ!』」
先頭で突っ込んで来た盗賊達の足元が急に砂場と化し、足を取られた盗賊達は転倒をする。
その後ろを走っていた盗賊達も転んだ盗賊達に躓き転倒する。
そこへストーンエッジの術で地面から石の刃が飛び出して盗賊達に突き刺さる。
「ギャーー!」
「痛ぇ~!」
「助けて~!」
盗賊達から悲鳴の声が上がる。
転ぶは刺さるはで、踏んだり蹴ったりでゴメンなさいね。
「今だ突っ込め~!」
「「「おぉ~!」」」
護衛のリーダーから指示が飛び、荷台の上に居ない俺達以外の護衛者が皆走り出す。
これで決着かな?
「大地を愛する土の精霊達よ!我の願いを聞き届け、土なる力を我に与え給え!
我を守る土壁を~!『ウォール』」
聞き覚えのある詠唱。
お・俺じゃないからね!
俺の詠唱は今や超短いんだ。
倒れた盗賊達と突っ込もうとした護衛達の間に土壁が立ち上がる。
仕返しとばかりに2mくらいの土壁で行く手を阻む。
やられた!
向こうにも土の加護持ちが居たのか。
まさかウォールの術でやり返されるとは思わなかったぜ。
だったらこれでどうだ!
「出でよ壁!『ウォール!』」
奴らが立ち上げた土壁にピッタリと並ぶ様に1m50㎝、1メートル、50cmと3段の階段の様になった土壁を立ち上げる。
「飛び越えろ~!」
俺は叫ぶ!
護衛者達は俺の言葉を理解し、階段を駆け上がる様に楽々と壁を飛び越えて行く。
盗賊達はまだ大勢を整え終えておらず、襲い掛かる護衛者達に驚きおののく。
終いには逃げ出す盗賊達まで出て来た。
逃がさんよ!
「出でよ壁!『ウォール!』」
本日3回目のウォールの術。
逃げ出す奴らの行く手を阻む。
やられたら何倍にもして返すのが俺の流儀だ。
フゥ~、少し気が晴れたぜ!
これでほぼ決着がついた。
盗賊達は壊滅し、俺達の方は小さな怪我を負ったのが数人いるだけ。
まさに完全勝利である。
「流石、鉄壁殿ですな。その二つ名は伊達では御座いませんな。
我々は感服致しましたぞ!」
護衛のリーダーの人が他の護衛者を伴って俺に握手を求めて来る。
「嫌、それほどでも・・・」
「ご謙遜なさいますな!しっかりと鉄壁殿の活躍を目に焼き付けましたぞ。なぁ、皆!」
「「「その通りだぜ!」」」
「今まで無礼な態度をしてしまって申し訳御座いませんでした。
謝りますのでどうか今までの事は水に流して頂きたい」
「「「本当に申し訳御座いませんでした!」」」
リーダーを含め皆が頭を下げて来た。
あのオーク顔の男も。
「あ・頭を上げて下さいよ!俺達は別に気にしていませんから。
ね、アイシャもそうだろ?」
「わ・私も気にしていませんからどうか頭を上げて下さい。お願いします!」
急にそんな下手に出て来ないで下さいよ~。
焦っちゃうじゃないですか~。
「有難う御座います!残りの道中、これからも宜しくお願い致します」
「こ・こちらこそ宜しくお願いします!」
盗賊の件で俺達の間の溝は取り除かれた。
雨降って地固まるって奴だね。
これでこれからの道中は楽しくなりそうだな。
良かった~!
この出来事は、後にこの護衛者の人達の口から拡散されて行く事となる。
鉄壁の名は伊達じゃなかったと。
鉄壁の名は又一段と有名になって行くのであった・・・
次回『第97話:ラドの町』をお楽しみに~^^ノ




