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リアース戦記 ~鉄壁のルーク~  作者: ナナすけ
盾の継承の章
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第94話:新しい町へ

 リアース歴3238年 10の月23日7時。


 俺達は今まさにアル商会の荷商隊の護衛としてこの交易都市ルーラから出発するところである。

 これから向かうラドの町は、このルーラから南東に3週間くらいの位置だそうです。

 町の南にはラウの大森林があり、エターナの町並に冒険者の町として有名なところなのだそうだ。

 新しい旅、新しい町に向けて俺達の気持ちは高揚しています。

 この護衛依頼を急きょ俺達に回してくれたアルさんには本当に感謝です。

 今回のこの行商にアルさんが同行しないのは残念だが、代わりに義弟のセルドさんと云う方が同行する。

 このセルドさんもアルさんに似て人柄が良くとても話し易い人なので、俺もアイシャもホッとしています。


「ルークさん、アイシャさん、どうかお元気で!」


 アルさんが別れの挨拶にやって来た。

 右手を出して握手を求めて来る。


「アルさんもどうかお元気で!本当にお世話に成りました」

「アルさんも元気でね!私達夫婦は貴方の事は決して忘れませんわ」


 俺とアイシャの手をガッチリと握って来るアルさん。

 別れは何時も切ないもんだね。

 アイシャの目には薄っすらと涙が滲んでいる。


「英雄殿と聖女殿にそう言って頂くと嬉しい限りで御座いますな。

 セルドよ、この方達の事を頼むぞ!」

「ハイ、義兄上!」

「いやいやいや、そこでセルドさんに『頼む』の言葉は変でしょう。

 護衛するのは我々の方なんですから」

「それもそうですな!アハハハハハ!」

「アハハハじゃないですよアルさん!」

「「「アハハハハ!」」」


 周りから笑い声が一斉に上がる。

 別れの切ない雰囲気から一気に明るい雰囲気へと変わった。

 もしかしてアルさんはこれが目的でワザと言ったのかな?

 流石やり手の商人さんだよ。


「では出発しますよ~!」


 セルドさんが出発の宣言をする。。

 俺とアイシャは馬型鉄人君にまたがる。


「アルさん、本当にお世話になりました。お元気で~!」

「アルさん、ありがとう御座いました!」


 最後の挨拶をしながら手を振る俺とアイシャ。

 荷商隊はゆっくりと動き始め、鉄人君は歩調を合わせる様に歩き出す。


「ルークさん、アイシャさん、お元気で~!旅のご無事を祈っておりますよ~」


 アルさんが手を振ってくれている。

 商会で働いている人達皆も。

 俺は街全体を見渡す。

 ここは良い街だったな・・・又来よう・・・きっと!

 進み出した荷商隊は後戻りする事なく、ただひたすら前へ前へと進んで行く・・・



 交易都市ルーラの裏門を抜けた荷商隊は、首都ザーンに向かう東の道とウララ大山脈に沿って進む南東の道との別れ道に差し掛かる。

 荷商隊は右に曲がり、南東に向かう道へと入る。

 走る右側には雄大なウララ大山脈が連なっており、左側には何処までも続く草原が見える。

 そんな景色を見ながら俺達は荷商隊の先頭に立つ。

 イナリの鼻を頼りに周りを警戒しながら道なりに進むのが俺達に与えられた役目なのだ。

 先ほどの分かれ道までは石畳で舗装されていたけど、これからは土の精霊術で整備されただけの土で固められた道だ。

 所々凸凹になって走り難い道を、土煙を巻き上げながら荷商隊は進んで行く。


 1日目は何事も起こる事無く平穏に終わった。

 問題が起こったのは2日目の晩の事だ。

 最寄りの村で1泊する事になった荷商隊は、積荷の護衛の数名とセルドさんを残して交代で晩の食事を取る。

 食事の時、若干のお酒の摂取は許されて、皆嗜む程度に酒を飲む。

 問題はそこで起こった。

 俺達夫婦の事を快く思っていない年上の冒険者1名が俺達に絡んで来たのだ。

 ゴッツイ熊みたいな男、顔は・・・オークみたいな顔ですね。

 若くして夫婦で冒険者をしている俺達が妬ましかったのだろう。

 俺への嫉妬、妬みが主だろうけどね。

 素面では感情を押さえていたんだろうけど、酒が入ってたぶん気持ちが少し大きくなったんだろうな。


「お前の様な若造にこんな良い女は勿体ねぇ。俺に寄越しな!」


 まぁ、何とも自分勝手な。

 女性を寄越せだなんて、物みたいに扱うのは許せませんね。

 そんなんだから女性にもてないんですよ。

 まぁ、その顔のせいもあるんだろうけど・・・

 その男は俺を押しのけアイシャに触れようとした。


「妻に触るんじゃねぇ!」


 俺はアイシャに手を伸ばしたその手首を掴む。


「イテテテテっ!」


 オーク顔の男は悲鳴を上げる。

 俺の握力を舐めんなよ!

 これでも毎朝毎晩身体を鍛えているんだ。

 エッチばかりしている盛りの付いた猿と思うなよ~・・・猿だけど。


「それくらいにしてあげて下さい、ルークさん!」


 セルドさんがお食事処に入って来て俺達の諍いを止めに入った。

 この村での取引の清算はもう終わったのか?随分早いな。


「セルドさんがそう言うなら・・・」


 俺は渋々オーク顔の男の手首を離す。

 もう少しでへし折ってやったのに・・・ ウソです!ゴメンなさい。

 俺にそこまでの力は御座いません。 


 この後も少しギャーギャーと喚いていたオーク顔の男であったが、セルドさんが俺達の事の英雄と聖女である事を仄めかすと急に青い顔になり黙り込んでしまった。

 遠巻きに見ていた同じ護衛の冒険者達も少なからず驚いた顔をしていた。

 俺達夫婦が若い冒険者だからって侮っていたんだろうな。

 そう言えば師匠も言っていたよな。

 若い冒険者は侮られるから気を付けろってさ。

 たぶんこれからも先もこう云う事があるんだろうな。

 うぅ~、気が滅入る~!


 この件をきっかけに俺達夫婦と他の護衛者達との間がギクシャクし出す。

 色物扱いをされてしまい孤立してしまったのだ。

 ラドの街までの旅はまだ始まったばかり。

 何だか前途多難だなぁ・・・


次回『第95話:鉄壁の名1』をお楽しみに~^^ノ

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