第90話:ルーラの街で
リアース歴3236年 10の月21日。
交易都市ルーラに来て5日が経ちました。
ルーラに着いてから3日間は休日を兼ねて観光でのんびりと過ごしました。
一つの食べ物を俺とアイシャとイナリで分けて食べて、いろいろな珍しい物を沢山食べ歩きしましたよ。
お陰で体重が少し増えた様な気がします。
アイシャは自分のお腹を摘んで「痩せなきゃー!」って悲鳴を上げていました。
ついでに俺もアイシャのお腹をムニュっと摘んでみたら、速攻で蹴りが飛んで来て瞬殺されました。
弓からモンクにジョブチェンジすれば良いのにと本気で思いましたよ・・・
あ!そう言えばこの街に来てとてもビックリな事がありました。
食べ歩きをしていた時なんですけど・・・
「いらっしゃいいらっしゃい~、肉の串刺しはどうですか~?
うちの肉は美味しいぞ~!」
大きな声で呼び込みをしている露店で肉の串刺し売りをしている様です。
声も何処か聞き覚えがある声です。
何だろう?このデジャヴ的な感じは・・・
「そこを歩く少年少女、肉の串刺しはいらんかね?」
キランと光る歯を見せて露店売りの人がこっちを向いた。
「「露店のおっちゃん!」」
「キュキュキュ!」
(露店のおっちゃん!)
俺達の驚きの声が重なる。
しかし、なぜ露店のおっちゃんがここに?
「どうしておっちゃんが此処にいるんだ?引っ越しして来たの?」
「引っ越し?何のことだ坊主?」
「へ!」
「ん?」
うっ!会話が嚙み合わない。
ん~、これはもしかして・・・
「おっちゃん、エターナの町で肉の串刺しをしている親戚とかいる?」
「おう、いるぜ!俺の弟だ!」
やっぱりか~!
それにしてもソックリな兄弟だよなぁ。
「兄弟して露店で商売か~、大変そうですね?」
「な~に、そうでもないぜ!」
「ご兄弟は2人だけですか?」
「嫌、8人兄弟だ!」
「凄いなぁ~!もしかして8人とも同じ商売を?」
「おうよ!8人だけじゃなくて一族皆が同じ商売よ」
へっ!ま・まさかだよね?
俺とアイシャはお互いの顔を見つめ黙って頷く。
「もしかして皆同じ顔・・・とか?」
俺は恐る恐る聞く。
「そうなんだよ~!鬱陶しいぜぇ~、ガハハハハハ!」
「もしかして各都市や町に居たり・・・します?」
次はアイシャが恐る恐る聞く。
「おうよ!」
「「まるでポケ〇ンの女医さんじゃん!」」
俺とアイシャから突っ込みが入る!
何だその漫画に出て来る様な一族は?
旅の最中、何処に寄っても毎回この顔と出会うと云う事じゃないか。
な・謎の一族だわ~、ミステリだわ~、怖いわ~、ありえないわ~。
俺とアイシャとイナリは驚きを越えて震えるしかなかったよ・・・
露店のおっちゃんの事はさて置き、この街で地球の関する手掛かりみたいな情報を聞いて探してみたんだけど全くダメでした。
遺跡の類いの情報や書物か何かがあればと思ったけど安直な考えだったかなぁ?
売られている珍しい物を見ると、同じ転生者らしき人の影がするんだけど、それ以上特に分かる訳でもないしなぁ。
ん~、この件は気長にやるしかないか~。
それにしても他国の文化と混じり合ったこの街は本当に飽きないです。
衣食住だけでなく、魔物に関しても目を見張るものがありました。
昨日、ルーラに来て初めて狩りに出かけたんですけど、ウララ大山脈の方では、豚の様な顔をして熊並みに大きいオークや鹿に似ていて大きな角が特徴のキルホーン、シルバーウルフの色違いのブラックウルフが多く見られました。
オークはゴブリンの様に女性を襲う魔物だから、アイシャが狙われない様に気を付けないといけないのだけれど、オークのお肉は豚肉の様にとても美味しいから、ルーラではオークの需要がとても大きいんだってさ。
冒険者にとっては報酬も冒険者ポイントも高くて狙い目な魔物なのだそうだ。
昨日と今日とかなりの数のオークを狩らせて頂きました。
あまりの多さにギルドの受付カウンターのお姉さんが驚いていました。
お陰様で懐がかなり暖かいです。
狩ったオークのお肉を少しこの街の教会へ持って行きました。
教会の作りはエターナの町と同じくらい立派でした。
教会のシスターや孤児の子供達からとても感謝をされましたよ。
教会が立派でも、ここの孤児園の生活はやはり苦しい様でした。
同じ境遇で育った者としては何とか助けてあげたいと思う。
今まで国の補助で育てて頂いた恩返しの意味も込めて。
これは単なる偽善ではないのか?自己満足なだけではないのか?とも思って悩んでしまう。
だけど、俺立つ夫婦はこんなやり方しか出来ない。
それをこれからもこの旅で続けて行こうと思う。
次回『第91話:盗賊』をお楽しみに~^^ノ




