第88話:初めての旅(挿絵あり)
いよいよ新章スタートで~す^^
交易都市ルーラは、南北に連なるラウラ大山脈とウララ大山脈の合間にあるクの国に通じるただ1本の山道「シャインロード」を封じる様に作られた都市である。
昔、ラウラ大山脈とウララ大山脈は一つで繋がっていたらしいが、大山脈の西に位置するクの国が東側にある広大な土地を目指し、長い年月をかけて山を削り、道を作り、ようやくこのシャインロードを完成させたのだった。
シャインロードが出来た事により、リの国とクの国は行き来出来る様になった。
道が繋がると、国同士で諍いが起こる様になり、度重なる小競り合いが続いた。
小競り合いが続いた末、リの国は国境付近にルーラ伯爵によって堅固なルーラ砦を築いた。
東を目指したクの国であったが、長らく続いた小競り合いの影響で国力は低下し、堅固なルーラ砦によって道は再び閉ざされる事となる。
ここで方針転換をしたクの国は、リの国と同盟する事より、交易で国力を豊かにする戦略を取る。
砦の存在価値を失ったルーラであったが、以後はクの国との交易の中心として発展して行った。
そして、今日の栄える交易都市ルーラへと至。
交易都市ルーラは昔の名残があって石垣は高く堅固な作りとなっている。
もし、クの国と再び諍いが起こったとしても砦として十分な機能を果たすことは出来るであろう。
ルーク達は、この交易都市ルーラへと向かっていた・・・
リアース歴3236年 10の月16日。
「貴方~、交易都市ルーラが見えて来たわよ~!」
「キュキュキュ~!」
(見えて来たぞ~!)
荷台の上で監視役をしているアイシャとアイシャの肩の上にいるイナリが、馬型鉄人君に乗っている俺に声を掛けて来た。
俺達は今、エターナの町から交易都市ルーラに向けて、荷商隊の護衛依頼をしている。
10の月6日の朝に出発したこの荷商隊は、道中の村々で商いをしながらゆっくりとルーラに向かって進んでいた。
初めての護衛依頼で多少心配であったが、一緒に護衛していた先輩冒険者の皆さんが優しくアドバイスしてくれたお陰で仕事そのものは順調だった。
ルタの村とエターナの町以外を知らない俺達は、新しい村、新しい景色、初めて見る物など、見るものすべてが新鮮でとても楽しい旅路であった。
10日間の旅路はあっという間に過ぎて行き、今目の前に交易都市ルーラの大きな石垣が見えて来た。
「うわ~、凄い石垣!ここからでもハッキリと分かるや」
その圧倒的な存在に俺は驚いていた。
「昔はクの国の侵入を防ぐ堅固な砦だったらしいですからねぇ。その名残でしょうな!」
馬型鉄人君と並行して進んでいる荷台から声が聞こえて来る。
荷商隊の主人であるルーラ出身の商人アルさんが俺に教えてくれた。
「石垣の高さってエターナの町のものより倍くらいないですかね?」
「ハハハハハ!確かに倍くらいありそうですな。城塞都市ルザクと甲乙つけ難いほどの堅固さらしいですからなぁ」
「城塞都市ルザクって、長年ナの国から守り続けているあのルザクですか?」
「ハイ、そうですとも!ルーラはルザクに負けないほどの堅固な城塞都市であり、国1番盛んな交易都市なのです」
「へぇ~、凄いなぁ!楽しみだなぁ~」
「まだ見た事もない珍しい物が沢山ありますよ!よろしかったら我が商店でもお買い物なさって下さいませ、英雄殿」
「アルさん、英雄殿は止めて下さいよ・・・」
「ハハハハハ!そう言われるのが嫌でしたね。これは申し訳ない」
「い・いえ・・・」
まだ見た事もない珍しい物が沢山か・・・
確か師匠が米やいろいろな調味料があるって言っていたよなぁ。
西の大国のアの国の商品まであると云う噂だしな。
本当に楽しみだなぁ~!
期待に胸が大きく膨らむ様に、交易都市ルーラの姿もどんどん大きくなって来る。
待っていろ交易都市ルーラ~。
16時頃に交易都市ルーラの裏門に辿り着いた。
あ!ここでプチ情報を一つ。
リの国にある都市や町村は、首都ザーン側に向けられている門が裏門でその反対が正門となっている。
このルーラもクの国に面している方が正門で首都側に面しているのが裏門なのです。
話を戻します。
(デ・デケェ~!)
石垣のすぐ傍まで来るとその圧倒的な大きさに息を呑む。
高さが7~8mくらいあるかな?
エターナの町の石垣の高さの倍は絶対ありそうだな。
何km四方で囲まれているんだ?
全然想像がつかないや。
これだけの広さだ、この都市には何人くらいの人が住んでいるのだろうか?
裏門には騎士らしき人達がいて、検問の様な事をしている。
俺達は列に並び順番を待つ。
あ!前に見た事がある鎧だ。
この白を基調とした鎧はルーラの氷虎騎士団だ!
スタンピードの時は大変お世話に成りました。
貴方達が早く駆けつけてくれたお陰でエターナの町の皆は無事だったんですから。
感謝の言葉しかありませんよ。
氷虎騎士団が行っている検問を無事パスして裏門を通り抜ける。
エターナの町を始めて訪れた時も驚いたけど、ここはそれ以上だな。
沢山の人が往来するのだろう、大通りであろう道路は石畳で幅広く出来ている。
道路の両脇には色鮮やかないろいろな店屋がビッシリと並んでいる。
人が多いなぁ~!
住人の服装を見て思ったけど、都市全体がエスニック調の感じかな?
あれ?あの人の頭に耳があるぞ。
あの人は獣人だ!
あの耳は猫かな?
猫さんの獣人か~、初めて見たよ~。
荷台に乗っているアイシャを見ると、アイシャも獣人を見て驚いている。
目をまん丸にさせて可愛いなぁ。
もう一度周りを見渡す。
凄いなぁ~、見る物全てが新鮮で驚きの連続だよ~。
しばらくはこの町で観光だな。
「さぁ、もうすぐで商人ギルドに到着ですぞ!」
アルさんが声を上げる。
何処が商人ギルドかなぁ?
エターナの町の商人ギルドは他の建物よりも大きかったから、この都市の商人ギルドはそれ以上に大きいのだろうなぁ?
あ!あの馬鹿デカイ白いドームみたいな建物かなぁ?
でも、あれは違うだろうな・・・体育館か何かみたいだもんな。
荷商隊はその白いドームみたいな建物の前で止まった。
「到着~!」
(うっそ~ん!)
ここが商人ギルドっすか・・・
後で分かる事だが、この場所ではかなり大きなオークションが開かれるらしい。
そのオークションには大勢の人が詰めかけるので、この様に大きな建物になったそうだ。
建物の中から、ゾロゾロと沢山の人が出て来た。
「アルさん、無事に辿り着いて何よりです!」
「いや~、今回の行商は楽なもんでしたよ!」
「そりゃ良かったですな!」
「ワハハハハ!」
「さぁ、荷を下ろすぞ!」
「「「「おぉ!」」」」
アルさんとギルド職員らしき人が話し、一斉に積荷を下ろし始めた。
アルさんは俺達冒険者の所に来る。
「皆さん、ご苦労様でした!お陰で無事に行商を終える事が出来ましたよ。
本当に有難う御座いました」
「こちらこそ有難う御座いました!」
アルさんと護衛依頼のC級リーダーの人が握手を交わす。
「この依頼達成表を皆さんにお渡しします。冒険者ギルドで報酬の方を受け取って下さい」
「誠に有難う御座います!」
「又縁がありましたら、是非よろしくお願いしますね」
「こちらこそ是非お願い致します!」
「では、これにて失礼します!」
「「「「有難う御座いました!」」」」
最後は冒険者全員でアルさんに挨拶した。
その後すぐに護衛のリーダーの人から依頼達成表を受け取った。
さぁ、これを持って冒険者ギルドに行ったら任務終了だ。
冒険者ギルドはここから歩いてすぐの所らしい。
早めに宿屋を決めてゆっくりと観光でもしましょうかね?
それとも10日間もご無沙汰だったので夫婦の営みが先かな?
取りあえず、俺とアイシャは何時もの様に腕を絡ませながら歩き出していた・・・
次回『第89話:ウィンドショッピング』をお楽しみに~^^ノ




