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リアース戦記 ~鉄壁のルーク~  作者: ナナすけ
幕間
90/187

第87話:ダリア一家

新キャラ登場?@@

 リアース歴3236年 9の月29日 13時頃。


 ルーク達がゾアスパイダーと1戦していた頃。

 貿易都市ルーラのとある酒場で・・・


「お嬢~、面白い情報を掴みましたぜ!」


 背格好は170㎝くらいで、歳が20代前半に見える男が、慌ただしく酒場に入って来た。

 声のデカさで酒場に居る皆の視線を独り占めにする。


「何目立ってんだよ、この馬鹿ズラ!」

「あっ、す・すいません・・・」


 昼間っから酒を飲んでいたお嬢と呼ばれた女性は恥ずかしそうに今入って来た男に向かって怒鳴る。

(アンタのその姿こそが1番目立っていて恥ずかしいわ)と思いながらも,馬鹿ズラと呼ばれた男は、その事は口にせず女性に謝る。

 魅惑的なボデイを隠すことなく露出している恥ずかしい姿をしているその女性の名はダリア。

 若干厚化粧で娼婦と勘違いされておかしくないその容貌は、20代前半くらいの赤髪の人間の女性で、表向きは冒険者となっているが、実は盗賊の女頭目である。

 慌ただしく酒場に入って来た男の名はズラビス。

 名前からイメージして、頭はズラ(カツラ)とよく勘違いされるが・・・本当にズラである。

 その若さで若ハゲとは、何と可哀想な事か・・・

 歳は20代前半に見え、耳が若干尖っていてやせ細ったエルフの様に見えるが、れっきとした人族である。

 ヒョロっとしたガリガリ姿から、運動が苦手そうなのは一目瞭然で、その代わり頭の方はかなり良い。

 この男も盗賊であり、ダリアの配下である。


「ズラやん、何をそんなに慌てているんでげすか?」


 今、ズラやんと呼んだ男の名はトンカラ。

 男にしては身長が156㎝と低めだが筋骨隆々。

 30代くらいに見えるが実は20代前半であり、茶髪のドワーフ族である。

 この男も勿論盗賊で、ダリアの配下である。


 この3人こそが泣く子も笑う?神出鬼没の盗賊ダリヤ一家だ。

 その実態はクの国の元大商家だったロダン商会の一人娘とその店の丁稚と見習い鍛冶職人である。

 商家再興を夢見て、クの国からリの国に逃げて来た彼女らであったが、いつの間にか盗賊にまで落ちぶれてしまったのであった。

 しかし、彼女らはまだ夢をまだ諦めてはいなかった。

 失敗続きの彼女らであったが、何時かはデッカイ仕事をやり遂げ、それを元手に再興する気なのだ。


「エターナの小さな英雄の話知っていますよね?」

「あぁ、勿論知っているわよ!」

「知っているでげすよ!」

「その英雄殿に付き従って活躍した白毛のシルバーウルフの子の事も当然知っていますよね?」

「「勿論!」でげす!」


 ここまで話した後、ズラビスは顔をダリアとトンカラ近付けヒソヒソ声で話の続きをしようとする。


「酒臭っ!」


 ズラビスが鼻を摘んで顔を背ける。


「悪かったわね!良いから早くお話よ!」


 ダリアが横を向いたズラビスの頭を押さえて顔をこっちに向けさせる。

 こっちに向いたのズラだけだった!


「ゲっ! 何をするんですかお嬢」


 慌ててズラを直すズラビス。

 周りで飲んでいた者達は大爆笑である。


「ズラやん、そんなウケ狙いしてないで、早よ話しの続きをするでげすよ!」

「誰もウケなんて狙ってないです!」

「バカやってないで早くお話よ!」


 3人は再び頭を突き合わせる。

 ズラビスは頭を押さえながら渋々と小さな声で話の続きを始め出した。


「エターナの町から来た商人の会話を聞き耳立てていたんですがね。

 実はそのシルバーウルフの子は、本当は聖獣の九尾の妖狐の子らしいんですよ!」

「「せ・聖獣!」」

「声がデカいですよお嬢~!」

「あ!・・・」


 周りを見渡すと酒場の皆が聞き耳を立てている。

 この店のマスターは改めてこの3人の事をアホだなと思った・・・


「で、その聖獣がどうしたんだい?」

「何言っているんですかお嬢!その聖獣の子を頂いて売ればどれだけの金になるか?」

「だってさぁ、その英雄さんに懐いているんだろう?無理なんじゃないのかい?」

「そうだよズラやん!無理に決まっているでげすよ~」

「あ・貴方達はいつもいつもいつも~~~!私が必死になって仕入れて来る情報を『あれは嫌~!』『これは嫌~!』と文句ばかり言って!本当にお家を再興する気があるんですかお嬢~?」


 ぶち切れるズラビス。

 彼は本当に苦労していた。

 お家再興と言ってはいるが、いつも面倒がって酒ばかり飲んでいる主人のダリア。

 トンカラは考える事を全て放棄してダリアの言う事だけ聞く。

 ダリアが動かないもんだから結局トンカラも動かないで酒ばかり。

 この二人をサッサと見限れば良いのだが、惚れた弱みでそう云う訳には行かないのだ。


「ハァー!」


 ズラビスは大きなため息を一つ付く。


「分かったわよ!やれば良いんでしょやれば!」

「お嬢がやるなら、ワイもやるでげす!」

「で、どうすんのよ?私の色仕掛けで英雄さんをたらし込んでその隙にでも奪っちゃう?」

「それ良いでげすねお嬢!」

「そうだろ~!」

「ハァーーー!」


 ズラビスは再び大きなため息を付く。

 彼の苦労はまだまだ続き、ストレスから又髪が1本抜け落ちるのであった・・・


次回から新章スタートで~す^^

次回『第88話:初めての旅』をお楽しみに~^^ノ

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