第85話:もう一つの別れ
3章の最終話です^^
リアース歴3236年 10の月2日8時半。
ケビンと別れを告げた2日後。
俺達夫婦は商人ギルドの前まで来ている。
商人ギルドから今まさに出発しようとしている荷商隊の姿があった。
「レミオン、元気でな!」
「ルークもね!」
握手をを交わす俺とレミオン。
レミオン主従とニコルちゃんは荷商隊を護衛しながら首都ザーンに行くのだ。
本当は真っ直ぐに海洋都市エドナまで行ければ良いのだが、直通の護衛依頼がないため、1度首都ザーンに行ってから海洋都市エドナに向かうのだそうだ。
「ニコルちゃんの事を頼むな!」
「分かっている!任せておけ!」
「ニコルちゃんも元気でな!」
「ルーク様もお元気で!お姉様を泣かせない様にね」
「あ・あぁ、勿論!」
ぐぬぬぬ!俺がアイシャを泣かすなんて事はないやい。
逆に俺が泣かされる事はあっても・・・
「ルーク達は何時旅に出るんだい?」
「明日だ!」
「そっか~、最初は何処に向かうんだい?」
「明日はまず俺の故郷のルタの村に行って、師匠達に旅に出る挨拶をして来るつもりだ。
それから南の方の交易都市ルーラに行く予定だよ」
「僕達とは逆方向か・・・気を付けて!」
「お前達もな!」
「お姉様!」
俺達が話している横で、ニコルちゃんが勢い良くアイシャに抱き着く。
ニコルちゃんの勢いを乳神様が受け止める。
流石乳神様やで!
「ニコル元気でね!」
「ハイ!お姉様も・・・」
ニコルちゃんの目から大粒の涙が落ちる。
それに釣られてアイシャの目からも涙が落ちる。
美少女二人が抱き合うのは絵になる。
「ルーク殿、今まで有難う!」
「有難うなルーク!」
俺とレミオンが握手していると、無口なセンバさんが話しかけて来た。
それに続いてベレットも。
そして二人とも握手を交わす。
「こちらこそお世話に成りました!」
「ケビン殿とルーク殿、若にとって掛け替えのない友が出来た事に、俺とベレットはとても嬉しかった」
「ウンウン!」
「そんな事言われたら何だか照れちゃいますよ・・・」
「お・お前達は急に何を言い出すんだ!」
急に自分の話になったレミオンが驚く。
「若は少し黙っていて下せぇ!若はこの様にあまり人付き合いが得意なお方ではなくて、俺とベレットはいつも心配していたんです。それがこんな素晴らしい友を得る事が出来た。
何度でも言わせて貰う。ルーク殿、本当に有難う!」
「こちらこそ有難う!ケビンやレミオンだけでなく、センバさんとベレットに出会えた事も俺は嬉しかった。二人共、友と呼ばせて貰って良いよな?」
「「勿論!」」
俺とセンバさん、ベレット、そうしてレミオンとももう1度握手を交わす。
こう云う男同士の友情も良いもんだ。
俺はそれをこいつ等から学んだ。
「又、皆で会いましょうね、絶対に!」
「そして、皆でバカ兄の事を思い出して笑って上げましょう!」
「フフフフフ!そうね」
先ほどまで泣いていたアイシャとニコルちゃんが俺達の会話に加わって来る。
「そうだな!又、皆で酒でも飲みながらアイツの事を笑って語ろうぜ」
「「「「「おぉ!」」」」」
「そろそろ出発しま~す!護衛の方は配置に付いて下さい」
荷商隊のリーダーらしき人が声を上げる。
「じゃあ、俺達は行くよ!」
レミオンが俺とアイシャを見て最後の別れを言う。
「あぁ、気を付けてな!また絶対会おう」
「あぁ、又絶対に!」
「お姉様、お元気で~!」
「ニコルも元気でねぇ~!」
レミオン主従とニコルちゃんが手を振りながら去って行く。
首都ザーン行きの荷商隊はゆっくりと進み出す。
アイシャが俺の右手を強く握って来る。
その握って来る手は微かに震えている。
俺も強く握り返して上げる。
「行ってしまうわね・・・」
「そうだね・・・」
ケビンやレミオンと笑いながら酒を酌み交わした事が思い出される。
異性のアイシャとは違う、同性の大事な・・・本当に大事な友達。
短い間だったけど、同じ時を過ごし、笑って、泣いて、怒って・・・それは俺にとって青春と云う名の輝かしい宝物。
有難う・・・さようなら・・・そしてまた会おう!
俺達夫婦は荷商隊が遠く見えなくなるまでずっと見送っていた・・・
大事な友との別れ。
この事はルークを大人へと成長させる。
さぁ、今度はルークが出発する番だ。
愛するアイシャと相棒のイナリと共に世界へと旅に出るのだ。
これから幾多の出会い、幾多の困難があるだろう。
私は何時までも君達を見守っている。
君達の人生が輝きに満ちた人生である事を祈る・・・
次回は『3章までの登場人物紹介』を挟ませて頂きます^^
私の物語の構想ではようやく半分まで来たと云う感じで、何とか完走出来る様に頑張りたいですね。
ここまで続けてお読みくださった方々に深く感謝したしますm(_ _)m
出来ますればこれからもお付き合い頂ければ嬉しく思います。




