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リアース戦記 ~鉄壁のルーク~  作者: ナナすけ
新人冒険者の章
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第82話:誰が為に鐘は鳴る2

 リアース歴3236年 9の月29日13半。


 ゾアスパイダーが口から出す溶解液が実に鬱陶しい。

 ケビンが持っている盾がすでに溶けてボロボロとなってしまっている。

 正面は口から溶解液、後ろはお尻から糸、側面は長い脚。

 ん、~厄介この上ない相手ですなぁ。


「クッソー!まともに近づけねぇ」


 イライラし出したケビンが愚痴る。

 壁役のケビンとセンバさんがゾアスパイダーの正面で奴の注意を引き付けてくれているが、八つの目を持つゾアスパイダーには他の俺達の動きも分かっている様だ。

 刀や槍で側面から攻撃しようとする俺やレミオンをなかなか近づけさせてくれない。

 アイシャとニコルによる弓の遠距離攻撃も奴の堅い皮膚であまり効いていない様だ。

 普通の蜘蛛は皮膚が軟らかいはずなのに、魔物のゾアスパーダーは違うらしい。

 ん~、今のところこちらがジリ貧だなぁ。


「新しき従者よ出でよ!『ゴーレム!』

 鉄人君、ゾアスパイダーに伸し掛かり奴の動きを封じてくれ!」


 横幅があり2m以上の背丈がある重量級の関取鉄人君を生成した。

 フフフフ!この関取鉄人君に伸し掛かれられたら身動き一つ出来ねぇはずだ。

 ドスコイドスコイと言わんばかりにゾアスパイダーに近寄る関取鉄人君。

 しかしゾアスパイダーの長い脚に阻まれてツッパリ負けをしている。

 負けるな関取鉄人君!

 ガップリと4つに組んで上手投げを・・・あ、違った!伸し掛かるんだったよね。

 ついつい相撲と勘違い。


「まずは奴の脚を封じるんだ!」


 左側の2本の脚を鉄人君に捕まれたゾアスパイダーは身体をひねり、口から溶解液を出して鉄人君に浴びせる。

 ジュー!と音をだして溶け始める鉄人君。

 フハハハハハ!好きなだけ溶かすが良いさ。

 その度、何度でも生成してくれるわー!

 奥の手の2体同時生成はまだしない。

 幾ら現在チームを組んでいるとしても、今のところ俺達夫婦以外には見せる気はない。

 絶体絶命のピンチになったら出すかもしれないけど。


 鉄人君とゾアスパイダーが対峙している間にアイシャの矢がゾアスパイダーの目の一つに突き刺さった。

 良くやった愛する妻よ!


「シャーーーーー!」


 ゾアスパイダーが苦痛で暴れ出す。

 頭が解けた鉄人君は左側の2本の脚を押さえるだけで精一杯の様だ。

 右側からレミオンと一緒に攻めていたベレットがゾアスパイダーの脚で弾き飛ばされた。

 10mは飛んだんじゃないか?


「ベレット大丈夫か?」

「大丈夫です若!心配かけてすいません」


 どうやら無事の様だ。

 鉄人君が抑えていると云っても、こう暴れられたら近接攻撃組は手出し出来ねぇよ。

 アイシャとニコルは矢を次から次へと射かける。

 イナリは狐火を放ち、レミオンも氷の精霊術で攻撃し始めた。

 俺も遠距離系で攻撃しよう。

 

「地面から刃を突き出せ!『ストーンエッジ!』」


 けんざんの様に地面から幾つもの刃の尖った岩で攻撃をするストーンエッジ。

 広い胴体を地面に向けている魔物には有効な術だ。


「シャーーー!シャーーー!」


 ゾアスパイダーがもがき苦しんでいる様だぞ。

 あれ?思いの外効いている?

 あ、もしかして・・・


「「腹が弱点だぁー!」」


 俺が言おうとしたのに、ケビンとレミオンが同時に叫ぶ。

 俺のセリフを取っちゃイヤ~ン!

 皆の攻撃がお腹に集中する。

 ゾアスパイダーのお尻から出た糸が森林の高い木々に飛ぶ。

 上へ逃げるつもりか?

 鉄人君が抑えている限り逃げられないぜ。

 ゾアスパイダーが溶解液を吐き出した・・・抑えられている2本の脚に。


 ブチブチブチ!


 な・何だと!

 ゾアスパイダーは自らの脚に溶解液を飛ばした。

 そして、鉄人君に抑えられている2本の脚を自ら切断したのだった。

 脚が千切れた勢いで後方に転がる鉄人君。

 ん~、重量を増やすために丸っこい身体にしたのが失敗だったな。

 見事に転がる転がる!

 脚を自ら引き千切ったゾアスパイダーは糸を頼りに上空の木々に逃げようとする。

 相手が逃げてくれるなら、こっちもそれに合わせて引くか?・・・嫌、ダメだ!

 今、奴を倒す絶好のチャンスのはずだ!


「逃がすかよ、飛燕!」


 とっておきの隠し技だったが仕方がない。

 アイシャ以外のメンバーにバレても、ここは一気に決めるべきと判断した。

 逃げようとするゾアスパイダーのお尻を飛燕が襲う。

 飛燕による攻撃でゾアスパイダーの身体とお尻が切断された。

 糸と繋がっていた尻が切断された事により、ゾアスパイダーは再度地面に落ちる。

 2本の脚とお尻を失い、お腹が傷だらけのゾアスパイダーは満身創痍である。

 皆はここぞとばかりに攻撃を加える。


「新しき従者よ出でよ!『ゴーレム!』

 関取鉄人君2号、今度こそ奴の上に伸し掛かるでごあす!」


 関取鉄人君1号との繋がりを切った俺は、改めて2号君を生成した。

 次こそ奴の動きを封じ込む。

 ドスコイドスコイとすり足とツッパリでゾアスパイダーに近寄る2号君。

 2号を生成する時にお相撲さんのイメージをしてしまったので、イメージ通り忠実に動く。

 皆からの冷ややかな視線を感じてちょっと切ない。

 別に良いじゃないか~!


「地面から刃を突き出せ!『ストーンエッジ!』」


 俺は改めてストーンエッジの術で地面から幾つもの刃の尖った岩で攻撃をする

 これに併せるかの様に2号君が伸し掛かった。


「シャーーーーー!」


 2号君の伸し掛かりでゾアスパイダーのお腹にストーンエッジが食い込む。

 う~ん、見ているだけでも痛そうだ。

 ちょっとえげつない攻撃だったであろうか・・・

 お腹から大量の緑色の血が流れだす。

 ゾアスパイダーは必死の抵抗をして来るが、2号君に身動きを封じ込められ、満身創痍の状態ではそう長くはないであろう。

 皆、後一踏ん張りだ!


 激しかったゾアスパイダーとの戦いはもうすぐ・・・


次回『第83話:誰が為に鐘は鳴る3』をお楽しみに~^^

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