第74話:ケビンとニコル
前回に引き続き新キャラっす( ̄∇ ̄)ゞ
リアース歴3236年 8の月24日8時半。
エターナの町へ帰還した翌日から、俺達はDランクアップに向けて冒険者稼業を再開していた。
当初、夫婦揃ってDランクに上がるには半年くらいは掛かるであろうと予想していたが、先日のレッドベア狩りやレッドベアの変異種討伐でポイントが大きく加算され、たぶん3カ月くらいでDランクに上がれるだろうとギルド長のベルクーリさんが教えてくれた。
3カ月以内にDランクになって旅に出る!
これが俺達夫婦の当面の目標である。
「ん~、今日もなかなか良い依頼がないなぁ」
「そうだわねぇ!」
「今日もコツコツと薬草とビックラッドの依頼でポイントを稼ぐか~。
ルタの村で大きい獲物狙っていた方が良かったかなぁ?」
「私は、危険な事よりコツコツと安全な方が良いわ。
危険な事をして貴方が怪我でもしたら嫌だもの」
「心配してくれて有難う!」
掲示板を見ながら甘い雰囲気になる俺達夫婦。
周りは「又かよ!」と皆呆れ顔である。
良いじゃんかよ!
俺達はまだ新婚なんだからさ。
「出かける前にトイレ行って来る!」
「私も行っておかなくちゃ。イナリちゃんはルークと一緒に男性用ね」
「キュ~!」
(え~、嫌だ~!)
イナリが嫌そうな顔をする。
テメェ、1匹だけ抜け抜けと女性用トイレの花園には行かさんぞ。
「イナリちゃん!」
アイシャの厳しい目がイナリに向く。
「キュキュ~!」
(分かりました~!)
項垂れたイナリは俺の肩に乗って来た。
ガハハハハハ!
相棒よ、男同士で男性用トイレに行くぞ。
用を足してトイレから出ると、アイシャはまだの様だった。
大きい方かな?
俺は女性トイレの前で待つことにした。
女性トイレから一人出て来た。
アイシャかな?
違った。
薄い赤色の髪でポニーテール、切れ長の紫目でなかなかの美少女だ。
背は150㎝もなさそうだな。
残念ながら乳神様が宿っていないぺったんこな胸だ。
12~3歳くらいかな?
少女が俺を睨む。
「フン!スケベそうな顔」
ボソっと独り言の様に言って、俺の前を素通りして行く。
こ・このガキャー!
スケベそうなじゃなく、スケベなんだい。
あれ?自分で何て事を・・・
「貴方どうかしたの?」
少女の後ろからアイシャが出て来て、キョトンとした顔で俺を見ている。
「な・何でもない!」
「ふ~ん・・・まぁ、良いわ!さぁ、出かけましょう」
怪しい目を向けて何か詮索していた様だが、俺の腕を引っ張り腕を組む。
俺は一人の少女を見ていただけで、別に浮気心とかじゃないからね。
本当だよ~。
「き・綺麗なお姉様!」
俺を素通りしてとっくに何処か行ったと思っていた少女が、こちらを振り返りアイシャを見てウットリとしている。
あ~、これはあれだな。
異性ではなく同性を求めるタイプの人ですね。
「な・何か御用かしら?」
アイシャも何となく気付いたのか、ちょっと後退りする。
アイシャ、ご愁傷様っす。
「私はニコルと申します。お姉様とお呼びしてよろしいでしょうか?
私と是非お友達になって頂きたいのですが。よろしかったらこれから一緒にお茶でも!」
グイグイとアイシャに詰め寄って来る少女。
相手が男だったらピシっと言うアイシャだが、年下の女の子には強く言えないようだね。
アイシャの目が俺の助けを求めています。
ここは旦那として愛する妻のために一肌脱ぎましょう。
一肌だけだよ。
全部脱ぐのは布団の中だけよん!
「あー、そこの君。我が妻から離れなさい!」
「モブは黙っていて!」
「ハ・ハイ、ゴメンなさい!」
一刀両断で退けられました。
モ・モブって酷いわ!
俺、泣いちゃう。
ウェ~~~ン!
しかし、モブ発言にプチっと切れた人がいました。
「私の夫をモブですって!随分な言い様ね」
「え!この人が夫?このスケベそうな顔の人が?」
だから、スケベそうじゃなくて、スケベなんだい。
自分で言っていて悲しくなって来たよ。
「確かに夫はスケベですけど、これでも町の英雄なのですけど。
夫の悪口を言うなら、私も黙っていませんわよ」
スケベなのは否定しないのね。
そこは否定しようよ、と突っ込みを入れようとしてアイシャの顔を見る。
ギャーーー!
ア・アイシャの夜叉バージョンの到来だぁ。
皆、避難だ避難~!
巻き添えを食うわよ~。
「ゴ・ゴメンなさいお姉様!そう云うつもりはなくて、あの・・・」
アイシャの睨みで完全にブルっちゃったよこの子。
でも君、謝るなら俺にも謝ってくれませんかねぇ。
酷い事を言われたのは俺なんだけれど・・・
「何を揉めているんだいニコル!」
ダメだー!今来ちゃダメだー。
逃げて~。
「お・お兄ちゃん!」
へ!何ですと?
薄い赤色の髪、切れ長の紫目でちょいイケメン顔。
俺と同じくらいの歳かな?
うん、確かに兄妹みたいだね。
ち!俺より背が高いぜ。
「依頼に出かけ・・・ハっ!め・女神様だ!俺の名はケビン。俺と付き合って下さい!」
「「キャー!」」
妹のニコルと言う少女は突然現れた兄に弾き飛ばされ、その兄はアイシャに駆け寄り片膝を付いてアイシャの手をガッチリと握る。
あぁ、このグイグイと迫る感じは確かに兄妹だわ。
先ほどの妹の迫り方と一緒だよ。
それにしても、俺の嫁に気安く触って欲しくないなぁ。
「俺はルーク!悪いが俺の女に手を出さないで貰えるかな」
「そうよ!手を放して」
アイシャの手を握っていた男の手を俺が引き離す。
男の手が離れるとアイシャは俺の影に隠れた。
男は俺の方を見て、フンっと鼻息を鳴らす。
「モブは黙っていてくれるかな!」
あ~、又モブって言ったぁ~。
ウェ~~~ン!
この姉弟嫌いだぁ。
「あいにくと、このモブの嫁なんですよ!君、人妻に手を出したら去勢の刑だって知っている?」
もう、モブでも何でも良いんだもん。
「嫁!人妻!あぁ~、何てことだ!俺の女神様が・・・」
「あなたの女神になった覚えはないわよ!」
俺の影から顔を出して突っ込むアイシャ。
最近、突っ込みの腕を上げたんじゃない?
アイシャはお前の女神様じゃねぇんだよ!
残念ながら俺の乳神様なんだよ。
天を見上げ涙を流す男。
「可哀想なお兄ちゃん!」
「妹よ!」
二人して抱きしめ合って泣く兄妹。
ウワ~、暑苦しい兄妹だわ~。
俺とアイシャはドン引きしていた・・・
次回『第75話:ライバル』をお楽しみに~^^ノ




