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リアース戦記 ~鉄壁のルーク~  作者: ナナすけ
新人冒険者の章
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第69話:奴を求めて

 リアース歴3236年 8の月3日。


 ルタの村に帰省してから1週間が過ぎた。

 村の皆への結婚報告&アイシャの紹介の方も無事に終わり、俺達は冒険者稼業をお休みしてのんびりと新婚生活を送っていた。

 別にエッチ三昧の自堕落な生活をしていた訳じゃないからね。本当だよ。

 アイシャは村ののんびりした田舎の雰囲気をたいそう気に入った様だ。

 村の皆とは仲良くなり、同じ年頃で他の村から嫁いで来た女性とは特に親しくなった様だ。

 新しくお友達になった人の農作業を手伝ったり、酪農家のヤギの乳搾りを体験したりと、前世を通して今までに経験した事のない事を率先して行い、新婚生活の良い思い出作りをしていた。

 俺がアイシャの乳搾りをしたいと言って蹴りを食らったのは忘れたい思い出です。

 1週間はあっという間でした。



「あぁ、良い湯加減だねぇ!」

「そうねぇ~!」


 俺とアイシャは我が家の露天風呂に入浴中です。

 この露天風呂、俺が土の精霊術で作ったんだよ。

 大きい湯船と広い洗い場、土の塀で覗き対策が万全な自慢な露天風呂です。

 大きい湯船に俺とアイシャは浸かっています。

 その間をイナリが気持ち良さそうにスィースィーと泳いでいます。

 イナリよ、お前本当は妖狐じゃなくてカワウソの間違いじゃないのか?

 湯船には大きなスイカが2つプカプカと浮いています。

 そうです、我が愛しの乳神様です。

 熟れて食べ頃です。

 とても美味しそうです。


「貴方、目が嫌らしい!」

「ス・スイマセン!」


 いつもおっぱい絡みで本当にすいません。

 でも大好きなんだからお許し下さい。

 

「ねぇ、貴方!明日からいよいよ冒険者稼業再開なのよね?」


 アイシャが流し目で軽く睨みながら言う。

 髪を結いてアップした姿と流し目がとても色っぽい。

 た・溜まんねぇ!


「う・うん!明日からレッドベアの変異種を狙って狩りを始めるよ」


 ムスコを抑えつつ答える。


「居場所は分かっているの?」

「勿論!この1週間、暇を見つけてはギルドに行って、過去の目撃情報を調べたからね。

 奴の縄張り・行動範囲はバッチリさ。任せなさい!」

「そっか・・・」


 ん!表情が優れない?


「もしかして、やっぱり反対?」

「ちょっと不安なだけ・・・」


 アイシャが俺にもたれかかって来た。

 俺はアイシャの肩を抱く。

 イナリは相変わらず気持ち良さそうに泳いでいる・・・お腹を上にして。


「俺の我がままでゴメンね。でも、本当に大丈夫だからね。

 俺達の今の実力なら問題ないよ!」


 確かに新人冒険者が狙う獲物出ない事は分かっている。

 でも、俺の土の精霊術とアイシャの弓術があれば問題ないはずだ。

 アイシャに良い防具を早く着せてやりたい。


「分かった!信じるわ」


 アイシャがギュっと抱きしめて来た。

 俺も同じくギュっと抱きしめる。

 良い雰囲気のまま時間が流れる。

 俺はのぼせて倒れそうだったのをひたすら耐えるのであった・・・



 レッドベアの変異異種を求めてラウラ大山脈に出かける様なって5日が経った。

 奴にはまだ出会っていない。

 奴の形跡は幾つか発見しているので、近いうちに出会えるとは思っている。

 俺達はこの5日間で普通のレッドベアを8体狩っている。

 最初は戸惑いを見せていたアイシャだったが、魔物の中で中級以上のレッドベアを8体も危なげなく狩っているので、自分に大分自信が付いて来たようです。


「さぁ、今日も頑張って行くわよ!」


 今ではすっかりやる気満々のアイシャである。

 俺達が連日の様にレッドベアを狩って来るので、村では先日肉祭りが行われた。

 村総出の肉祭りは大好評で大いに盛り上がった。

 この肉祭りのお陰でアイシャは更に村に溶け込めた様だ。

 肉以外の素材の買い取りで懐はホクホクだ。

 冒険者ギルドのポイントも大分加算された。

 今のところは良い事尽くめだ。

 でも、そろそろ奴を倒したいと思う俺である。


「今日からはもう少し北の方に行ってみようと思う」


 俺は出発前に我が家の台所テーブルに地図を広げて目指す地点を指さす。


「昨日はこの辺だったかしら?」


 アイシャも地図の上で指さす。

 昨日まで探した地点でダメだった所に×印を付けた場所だ。

 この5日間で×印はかなり増えた。


「奴の大きな爪痕などから、南側にいる可能性が高いと思って昨日までの5日間予想範囲の半分となる南側は全て探したけどダメだった。

 今日からは残り半分の北側を調べる」

「分かったわ!」

「キュ!」

(分かった!)


 アイシャとイナリが地図上の俺の指差した地点を見ながら返事をした。


「奴に出くわす確率が高くなって来るはずだから、一層気を引き締めて行こうね」

「そうね!」

「キュ!」

(分かった~!)

「さぁ、出発しよう」

「ハイ!」

「キュ!」

(OK~!)


 俺達は馬型鉄人君に乗ってラウラ大山脈を目指す。

 今日は少し愚図ついた天気だ。

 小雨が降ったり止んだりしている。

 俺とアイシャは外套のフードを被る。

 雨音でイナリの聴覚が鈍らないかな?

 嗅覚の方はどうであろうか?

 少し心配である。

 それとも今日は止めた方が良いかな?

 でも、そんなに大きく天気が崩れる事はないかな?

 酷くなったら引き返せば良いか。

 俺は頭の中でいろんな事を考える。

 考えている間にも鉄人君はラウラ大山脈へとドンドン進んで行く。

 奴との戦いまでもうすぐ・・・


次回『第70話:死闘?』をお楽しみにね~^^ノ

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