第62話:再び
一度ある事は二度ある。
二度ある事は三度あると云う。
アイシャとマシューにとって、この展開は二度目。
もしかして三度目も・・・
リアース歴3236年 6の月26日8時過ぎ。
「お!そこにいらっしゃるのはアイシャ様で御座いませんか?」
「「「!」」」
俺とアイシャ、マシューは声の主の方に振り向いた。
そこには・・・どなたですか?
俺には分かりましぇ~ん!
「「マルタさん?」」
「誰?」
アイシャとマシューが驚いた顔で言う。
マルタさん?ん?どちら様で御座いましょうか?
「今朝話をした、問題を起こしたバニング家の人の副官だった人よ」
アイシャが俺の耳元で、ヒソヒソ声で教えてくれる。
アアン!耳弱いのよ♡
「先日は、大変申し訳御座いませんでした」
マルタと云う人は、人をかき分けながらアイシャに近寄って来る。
「あぁ、いえいえ!」
アイシャがそれなりの返事を返す。
「今回は、改めて先日の謝罪と、そして合わせたいお方が御座いまして。
イスカル様!こちらにアイシャ様がいらっしゃいました。こっちです」
アイシャの傍までやって来たマルタさんは、人だかりに向けて大声で叫ぶ。
この人、俺とマシューはまるで眼中に入っていない様だ。
ん~、何か腹立つ!
アイシャがバニング家の関係の人って言っていたけど、俺の中でどんどんバニング家の印象が悪くなって行くんですけどね。
「ちょっと済まない!皆ちょっと通してくれないか」
人だかりの方から男性の声が聞こえて来る。
マルタって人がイスカル『様』って呼んでいたけど、もしかして貴族様が出て来るんじゃないでしょうね?
「「「キャー!」」」
「「「素敵―!」」」
声の主が近づいて来ると周りの女性の黄色い悲鳴で騒がさが増す。
え~い!騒がしい俗物共が!
(恥を知れ、俗物! by ハマーン・カーン)ってか。
「マルタ!こっちか?」
「イスカル様!こちらで御座います」
マルタとイスカルがお互いに場所を確認し合う。
イスカルと云う人物が見えた。
ちっ!やっぱりイケメンかよ!
どうせ、そうだと思っていましたよ。
俺より少し年上かな?藍髪で青目、やや細めの体格か。
ちっ!俺より背が高いでやんの。
何から何までムカつくざます。
ムキ~~~!
人だかりをかき分けてやって来たイスカル。
後ろには追っかけの女性がわんさかいるけどね・・・
「あ・貴女がアイシャ嬢で御座いますか?・・・」
イスカルがアイシャの顔を見て驚いている様だ。
チラっ、チラっと胸を見るのは止めて頂けませんかねぇ。
その乳神様は俺のものじゃ~。
あ!こいつアイシャに一目惚れしやがったな。
絶対そうだろ!
「あ・あの~・・・」
アイシャがイスカルの視線を嫌がり声を掛ける。
「あ!これは誠に申し訳御座いません。貴女の美しさに魅惚れしてしまいました。
私の名はイスカル・スザク。バニング家の次期後継者候補で御座います」
スザク?バニング家の人間じゃないのか?
でも、バニング家の次期後継者候補とか何とか言ったよな?
イスカルがアイシャの手を取ろうと手を伸ばす。
「パチン!」
アイシャの手を取ろうとしたイスカルの手を俺が弾いた。
そして、アイシャとイスカルの間に身体を滑り込ませる。
「アイシャには触れないで頂きたいですな貴族様!」
俺はイスカルを睨みつける。
イスカルは一瞬驚いた顔をしたが、すぐ冷静を取り戻し元の顔に戻る。
イスカルが俺を見る。
俺を見定めていやがるな。
「アイシャ嬢に触れるのに、君の許可が必要なのかな?」
俺が年下、もしくは格下と判断して見下した顔で言って来やがった。
こいつには絶対アイシャには触れさせねぇ。
「俺はアイシャの婚約者だ!それを言う権利があると思うのだがな」
もう敬語なんて関係ないや。
こいつは俺の敵だ!
「何!君がエターナの小さな英雄か」
今度は先ほどと違って大きく驚いている様だ。
流石に英雄の名は伊達じゃない。
(νガンダムも伊達じゃない! by アムロ)
「イ・イスカル様ここは穏便に・・・」
マルタも驚いた顔でイスカルを諫める。
「わ・分かっている!」
マルタの声で我に返ったイスカル。
だが、挑戦的な目は変わらずだ。
「これは済まなかった英雄殿!
しかし、婚約者と云うだけでは、そこまでの権限がないと思いますよ。
婚約はあくまでも結婚を約束しただけであって、破断になる事はよくある事ですから。
実際に結婚していないのであれば、貴方こそ黙っていて頂きたいですな」
「イスカル様行けません!」
イスカルの挑発的な態度に驚くマルタ。
先ほど諫めたはずが全く効果ない。
「黙っていて頂きたいのは貴方の方です!」
アイシャがイスカルを睨みつける。
イスカルが俺を小馬鹿にした態度にカチンと来たのであろう。
「ア・アイシャ嬢・・・」
急に情けない顔になるイスカル。
お前がお呼びでないと云う事が分かっていないかね。
「マルタさん、先日の謝罪と言っておきながらこれは何ですか?
謝罪ではなく嫌がらせにいらしたのかしら?
紹介したい方って、私の婚約者へ挑発的な態度をするこの方で御座いますか?
先日の人といい、今回の人といい、バニング家の方は私を不愉快にさせたいのかしら?
もう黙ってお帰りして頂きたいのですけど」
キャー素敵!アイシャも言うねぇ。
マルタもイスカルも真っ青だ。
アイシャの怒りのオーラで周りの人達も押し黙っちゃったよ。
「アイシャ嬢、私はそんなつもりでは・・・」
イスカルがオドオドしながら話す。
「黙らっしゃい!私は貴方にもう話かけないでと言いましたよね。
聞こえなかったのかしら?」
ドウドウドウ!
少し落ち着こう、怒りの大魔神アイシャさんや!
アイシャを怒らせるのは絶対やめようと改めて誓う。
「アイシャ様!こんな事になってしまい誠に申し訳御座いません。
深く深く謝罪致しますので、どうかお怒りを鎮めて頂きたく。
イスカル様もけして英雄殿を挑発しようとしたので御座いません。
我々はその・・・アイシャ様に重要なお話が御座いまして・・・」
マルタが土下座をして必死に謝罪をする。
何だかこの人が可哀想になって来たわ。
「重要なお話って何かしら?出来ればもう関わりたくないので、短めにお話しして下さるかしら?」
少しはアイシャの怒りモードも収まって来たかな?
「実はアイシャ様の出生に係わる事なのです」
「私の出生に係わる事?」
え!何それ?
それって確かに重要な話だよね。
あら~、何だか話が飛んでもない方向へ向かっている~。
この先どうなるんだ?
マルタさんの損な役回りが泣けてくる・・・
次回『第63話:孫』をお楽しみに~^^ノ




