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リアース戦記 ~鉄壁のルーク~  作者: ナナすけ
幕間
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第48話:後継者

主人公のルークが出て来ないで幕間で~す^^

第48話:後継者


 大母神テーラが創造して出来上がったと云われているリアース。

 大母神テーラ感謝祭とは、この大母神テーラに感謝してお祝いをする新年の5日間の事である。

 人々はこの5日間の間に教会へ行って感謝の祈りを捧げる。

 王族・貴族は城で祝賀会を行い、平民は商店街などでお祭りとなる。

 リアースに又新しい年が始まる・・・




 リアース歴3236年 大母神テーラ感謝祭5日


 新しい年になったリアース。

 今日は感謝祭5日目の最終日である。


 リの国の首都ザーンの貴族街のとある大きなお屋敷。

 そのお屋敷の玄関扉には龍をモチーフにした家紋が刻み込まれていた。


「今戻ったぞ!」


 若干白髪がまじった銀髪で鋭い目で黒い瞳の偉丈夫。

 今年で55歳になる顔には皺と幾つもの傷が目立つ。

 彼はバニング伯爵である。


「疲れたわ!もうこの歳になると祝賀会とかは億劫でダメね!」


 バニング伯爵と一緒に帰宅したのはバニング伯爵夫人。

 藍色で艶やかな長い髪を後ろで束ね、切れ長で青い瞳。

 多少の目尻に皺が見えるが、均整の取れたプロポーションは未だ崩れておらず、今年で50歳とは思えないほどに若々しい。


「「「お屋形様、奥様!お帰りなさいませ」」」


 玄関先にて、左手を胸に当てお辞儀をしたまま出迎えたのはバニング家の執事オットーと2人のメイドである。

 オットーは、年齢は52歳で若干白髪がまじった青色の髪で、スラっとした体形に燕尾服に蝶ネクタイ、白い手袋をした、いかにもザ・執事と云う格好をしている。

 バニング家には30年以上奉公しており、バニング伯爵の信頼は厚い。


「オットー、済まないが例の件で少し相談したい事がある。

 そのまま執務室まで来てくれ!」

「かしこまりました!」


 伯爵と夫人は着ていた外装をそれぞれメイドに渡し、共に執務室向かう。

 オットーはその後に着いて行く。

 伯爵と夫人が執務室に入り、オットーは執務室の入り口に居たメイドに言う。


「これから大事な話をするので、誰も部屋に近づけぬ様に。お茶は呼ぶまで要りません」

「かしこまりました!」


 メイドが頭を下げる。

 オットーは執務室に入り、ドアの鍵を掛ける。

 伯爵と夫人はすでにソファに座っている。

 部屋の中はすでに重々しい雰囲気となっている。


「今日の祝賀会で陛下に言われたよ。そろそろ跡継ぎの件を決めろとね・・・」


 バニングが苦々しい顔で言う。


「そうで御座いましたか!」

「あれから、何か新しい情報はないか?」

「申し訳御座いません。リの国全域の捜索はほぼ終わり、今はナの国やクの国にも捜索の幅を広げておりますが、これと云った手がかりは未だ何も・・・」


 オットーが深々と頭を下げる。


「そうか・・・」


 伯爵が又もや苦々しい顔をした。

 夫人は悲しい顔をする。


「本当に申し訳御座いません!」


 更に深く頭を下げるオットー。


「捜索はそのまま続けてくれ。

 そして・・・捜索を続けたまま養子候補の方も話を進める事とする」

「いよいよで御座いますか!」


 頭を上げたオットーは眉間に皺を寄せる。

 長年の苦労は未だ実らず、ついに次の段階に入ろうとする。

 残念でならない。悔しくて堪らない。

 オットーもつい苦々しい顔になる。


「そうだ!バニング家の分家からはオーレを。

 妻の家系の方からはイスカルを候補にしようと思う。

 後で二人に連絡を取り、明後日の夜19時にここに来るように伝えてくれ。

 以上だ!」

「オーレ様とイスカル様で御座いますね。かしこまりました!」


 オットーは深々ともう1度頭を下げて部屋を出て行ったのであった。



 1の月2日 19時。

 伯爵の執務室には、前回の3人の外に新たに2人の青年が加わっていた。

 一人目はオーレ・バニング。

 バニング伯爵の分家の青年で今年22歳になる。

 黒に近い灰色髪で藍目、ガッシリとした体格で身長は188cm。

 火の加護を持ち、剣の腕はなかなか有名であるが、性格が粗暴である。

 二人目はイスカル・ルザク。

 バニング夫人の甥であり、ルザク伯爵家分家の3男で18歳である。

 藍髪で青目、やや細めの体格で身長が176cm。

 なかなかのイケメンである。

 聖の加護を持ち、剣の腕はそこそこであるが、頭脳明晰で性格は穏やかである。


「全員揃ったな!」


 伯爵と夫人が同じソファに座り、オーレとイスカルが向かい側のソファに一緒に座っている。

 オットーは立ったままである。


「オーレ、イスカル!お前達の両親にもすでに伝えてあるが、両名のどちらかを私の養子とし、いずれ次期バニング家を継いで貰おうと思っている」


 伯爵は両名の顔を順に見て言う。

 両名とも軽く頷く。


「両名には、それぞれある条件を満たして貰い、その上でどちらかに決めたいと思う。

 バニング家は聖の加護を代々受け継がせて行き、武を持って国を支えて行かなければならない。

 オーレ!お前は聖の加護がない。聖の加護を持った女性を娶って貰うのが条件だ。

 出来れば貴族の令嬢が良いが、才女で器量よしを探して来なさい。

 連れて来た女性を私が直に判断する」

「承りました!このオーレ・バニング、伯爵様の命に従い聖の加護持った最高の女性を探して来ます」


 自身に満ち溢れた青年オーレ。

 覇気があって良い事だが、粗暴な性格が心配な伯爵である。


「イスカル!お前は聖の加護は持っているが、武においての名声が足りていない。

 まず、バニング家の血を引いた女性を娶れ。

 その上で、武の名声を上げて貰う。

 2年後に行われる最強を決める大会『天下一精霊武術大会』で本選まで勝ち上がれ。それが条件だ」

「イスカル・ルザク、確かに承りました!

 伯爵様の期待に応えられる様に頑張ります」


 貴族らしく落ち着いて返礼する青年イスカル。

 伯爵は、どちらかと云うとこちらの青年が好ましい様だ。

 問題は武の名声。

 武の名門バニング家には、どうしても武が大事なのである。


「貴方!イスカルの課題の方が厳しいのではなくて?」


 夫人が甥のイスカルを心配して口を挟む。

 女を探すオーレと大会で本選まで勝ち上がる事が条件のイスカル。

 イスカルの方が不利だと思うのは当然である。


「そんな事はないぞ!

 オーレが探して来る女性には、次代のバニング家の子を産んで貰わなければならないのだ。

 そう易々と私が納得する女性など見つからんよ。

 オーレには国中で探して貰う事になる。簡単な事ではないさ」


 伯爵は夫人を見て、なだめる。


「分かりました!余計な事を言って済みませんでした、貴方」

「構わんさ。両名、バニング家を継ぐのは並大抵の事でないと思え!」

「「ハハァ!」」


 こうしてバニング家の次期後継者争いが始まったのであった・・・


次回『第49話:姉弟』をお楽しみに~^^ノ


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