第4話:ルタの村(挿絵あり)
地球によく似たこのリアースには、見た目は地球人と全く同じ人間が住んでいる。
地球では想像上の生き物であった獣人・エルフ・ドワーフなどもいる。
現在のリアース世界には、人間が治める『アの国』『リの国』『ナの国』『クの国』『ネの国』『ミの国』があり、これに加えて『獣人の里』『エルフの里』『ドワーフの里』などがある。
国と国で戦争が起こり、種族と種族でも争いが起こる。
人間は争いを止められない種族である。
獣人やエルフ、ドワーフと云う種族も同じである。
『人』と云うのは、いつ何処でも同じ様に愚かな生物である・・・
リアース歴3224年 8の月5日。
「ルーク!父さんは又2~3日出かけて来るから、シスターの所で良い子にして待っていてくれ」
「分かっているよ、父さん!気を付けてね!」
「では、シスター。ルークをお願いします」
「ロディも気を付けて行ってくるんだよ」
父ロデリックは愛称でロディと呼ばれている。
父は、何度も振り返りながら俺に手を振っていた。
俺も父が見えなくなるまで、何度も手を振っていた。
俺は、3歳になっていた。
精霊に儀の後、俺と父の親子二人は、父の故郷に移り住んでいた。
ここは、『リの国』の西側の辺境の『ルタの村』だ。
すぐ近くには『クの国』の国境でもあるラウラ大山脈がある。
クの国とは現在同盟国であり、交易が盛んに行われている。
平和な事は良い事です。
ラウラ大山脈には、魔物が多く住んでおり、あの竜も住んでいるらしい。
精霊術が存在するこのリアース世界だが、いくら精霊術があったとしても竜クラスの魔物と戦うとなると大勢でも大変らしい。
チートで無双とかは無理な様である。
やはり小説の様には行きません。
世の中そんなに甘くないと言う事ですね。
くすん!
父は冒険者稼業をしております。
冒険者ギルドの依頼をしたり、大山脈で狩りをしたり、村の警護などもしています。
遠出をする時などは、俺を近くの教会に預けます。
教会は孤児達の保護施設も兼ねており、父もこのルタ村教会出身の孤児であったそうです。
俺は1週間で4日くらいここで預かって貰っている。
(半分以上いねぇじゃねぇか!)
あ!そう言えば、ここは地球と同じで1日は24時間。
1週間は7日で、1年は365日。
なんか地球と同じですね・・・
ただし、1~12月は各30日であり、余りの5日間は『大母神テーラの感謝祭』と云われている祝日がある。
地球で正月三が日のような感じで、1年の始まりを祝う5日間である。
太陽や月も存在するし、以前にはオリオン座みたいな物が見えたんだよなぁ。
この世界っていったい・・・
「さぁ、ルークちゃんも皆と一緒にお勉強しましょうね!」
「はい、シスター!」
俺はシスターのマレさんに手を引かれて、教会の中に一緒に入って行った。
リの国の教会は、大母神テーラだけを崇めている。
他の国では、太陽神や獣神などの他の神を崇めている所もあるらしい。
地球もリアースも信仰の自由は一緒のようです。
ルタの村の教会は、テーラ教典の布教を主に、孤児園・病院・低学年層の学校などの役割もあり、国からの補助を貰って成り立っています。
補助のお陰で、孤児達は食べる事に困ることはないが、決して裕福ではありません。
裕福でないけど孤児達は幸せそうです。
皆生き生きとしているし、ここの教会の存在は実に素晴らしいです。
シスターのマレさんは、50歳くらいの黒い瞳のグレーの髪で、ややポッチャリ体系。
母と云うより、お祖母ちゃんみたいな優しい感じの人で、皆から慕われています。
俺も大好きです。
そうそう、マレさんは聖の精霊術が使えるんだすよ。
リの国の教会の各責任者は、必ず聖の精霊術が使えるそうです。
教会は病院も兼ねているから、当然と云えば当然なのかな。
俺はここの教会が大好きである。
マレさんの事は勿論、孤児院育ちで今はお手伝いをしているアンジェ姉さんや孤児園の友達と一緒にいるのは楽しい。
この世界では貴重である本も読む事も出来るし、精霊術に関する本もあるんだぜ。
こっそりと聖の精霊術を使うマレさんを覗き見して精霊術の勉強にもなるし、ここは俺にとって素晴らしい場所である。
俺は2歳頃から字を読める様になっていた。
前世の記憶がある影響かどうか分からないが、物覚えが非常に良いのだ。
字が読める様になって来ると、教会にある『精霊術の初歩』の本を隠れて読む様になった。
難しい単語も結構あったが、それなりに何とか読めた。
(もしかして、俺の最強伝説の始まりか!?)
精霊術はまずイメージが大事らしい。
術を行使するに至って、自分の思い描くイメージを精霊に伝わる様に詠唱する。
詠唱によって自分がイメージした絵を精霊から力を借りて引き出し、自分の魔力と繋げてと云うか重ねると云うか、要はその2つの力で術が初めて行使出来るらしいのだ。
最初は精霊にそのイメージが伝わりにくくて術が発動しないが、何度も何度も練習をすることで、精霊はそれに答えてくれる様になり、術が使える様になるらしい。
地球の小説では、『無詠唱』で魔法を使うチートな物語があるけど、この世界では無理な様です。
ちゃんと詠唱しないと精霊さんが怒ってしまうそうです。
でも、慣れてくると少しだけ詠唱を端折っても大丈夫だそうです。
精霊さんとの親密度次第なんだってさ。
(最強の道が遠のいて行く・・・そんなに甘くないと云うことか!)
教本によると個人の魔力量は両親の影響もあって、生まれた時点で7割くらい決まってしまうらしい。
後の3割は、個人の鍛錬によって伸びるらしいです。
魔力量の成長は、主に成人と見なされる15歳くらいまでらしい。
背が伸びている間は魔力量も伸びているって事だそうです。
魔力量の伸ばし方は、魔力量を使い切る事によって、魔力量が少しずつ増加するようです。
普通は7歳くらいから学校や教会で鍛錬が始まるのですが、貴族のお子さん達は5歳くらいから始める様ですよ。
成人まで魔力の特訓決定ですねかねこれは。
(ハァ~、この世界も大変だわ・・・)
あ!そうそう、この世界では王族・貴族・平民・奴隷と云う階級があるそうです。
身分制度なんて嫌になりますねまったく。
リの国は奴隷制撤廃をしている国なので、奴隷はいません。
(リの国王様、万歳!)
話がそれましたが、俺の魔力量は生まれた時点ではなかなか多い方らしい。
これからの鍛錬次第では、一流の魔力量保持者になるのも夢ではないだ。
魔力量によっては、使える精霊術も増えるらしいからね。
(オラ、ワクワクしてきたどー! by孫悟空)
リの国付近




