第42話:スタンピード7
リアース歴3235年 6の月26日 15時過ぎ。
ピ・ピンチです!
戦場から抜け出したゴブリンの1部隊がエターナの町の正門に迫る。
変異種を先頭にした100体ほどのゴブリンが、今まさにルークの目の前まで・・・
(逃げちゃダメだ逃げちゃダメだ逃げちゃダメだ~! By 碇シンジ)
って、そんな事言っている場合じゃない!
「土なる力を我に与え給え!新しき従者!出でよ!『ゴーーレム!』」
2mくらいの大きい鉄人君を生成する。
「鉄人君はあの変異種を止めろ!イナリはありったけの狐火を奴らにぶちかましてくれ」
「キュ!」
(まかせて!)
鉄人君は迫りくるゴブリン達に向かって走り出す。
ズシンズシンと地響きがする。
イナリは俺の頭を踏み台にして高くジャンプをし、5つの大きな狐火を射かける。
狐火がゴブリン達に当たる。
ゴブリンの何体かは転げ回っている。
イナリは何度も俺の頭の上をジャンプして狐火で射かけ続ける。
ちょ・ちょいとイナリさん!
俺の頭がグラングランして、大変なんですけど・・・
「キュキュ!」
(文句を言うな!)
ハイ、ごめんなさいです!
くすん!
鉄人君が先頭を走る変異種とぶつかった。
ガッチリと組み合っている。
足止め成功だ。
よし!
俺は両手を地面につき、新たに詠唱を始める。
「土なる力を我に与え給え!守る土壁を!『ウォーーール』」
俺と突っ込んで来るゴブリン達の間に土壁が立ち上がる。
高さは1m50cmくらいで壁厚は30cmくらい、長さが何と50mの土壁を二重・三重・四重とドンドン立ち上げる。
ウゲ!魔力がごっそり持って行かれた。
これはキツイわ~。
壁を乗り越えるにしろ、横から交わして来るにしろ、これで少し時間が稼げたはず。
鉄人君はいまだに変異種とガッチリと組み合っている。
他のゴブリン達は土壁を1つ1つ乗り越える。
石垣の上から、矢や石が飛んだ。
ゴブリン達に向かって飛んでいる・・・痛っ!
今、俺の背中に石が当たったよね?当たりましたよね?
石垣の方を睨むと全員が目を背けた。
皆、良い根性しているじゃねぇか!
後で成敗してくれるわ~。
ゴブリン達の特攻に気付いたギルド長達は慌ててこっちの援護に来る。
もう遅いじゃないか~!
「ルークはまだ未成年だから戦闘には加えられん!」とか言っていたくせにさ~。
俺、戦闘しちゃっていますよ~。
(そんな大人修正してやる~! By カミーユ・ビダン)
数はかなり減って来た。
これなら大丈夫だ!
最後の4番目の壁を上り始めたゴブリンが出て来た。
「イナリ!ぶちかましてやるぞ」
「キュ!」
(OK!)
俺は刀を抜いて、壁を上ろうとしているゴブリンの手や腕を片っ端から切って行く。
ウリャリャウリャウリャウリャ~!
イナリは土壁の上から、登ろうとするゴブリンに狐火を射かける。
15体以上切ったであろうか?
途中から数えるのも面倒になってしまっていた。
ヒーフーと肩で息をしている。
走っては切って走っては切っての繰り返しだったからな。
イナリも疲れている様だ。
土壁を上って来るゴブリンがいなくなった。
俺は土壁を上って戦場を見渡す。
あ!変異種が討たれた。
変異種の胸に剣が刺さっている。
ん!あれはフォッカーさんか?
変異種の胸に剣を突き刺しているのはフォッカーさんだった。
く~、1番美味しいところを持って行かれた~。
倒せたのは、俺の鉄人君が抑えていてくれたお陰なんだからねぇ。
そこを忘れないでよ~。
変異種が崩れ落ちフォッカーさんが叫ぶ。
右手を高々と上げて。
(わが生涯に悔いはなし! by ラオウ)ってか。
茶化してゴメンなさい。
「変異種を倒したぞ!」
フォッカーさんの声が戦場に響き渡る。
「「「「おぉ!」」」
「「「やったぞ~!」」」
歓声が上がる!
ゴブリン達は総崩れとなった。
バラバラで森に逃げ始めたのだ。
「逃がすな!殲滅するぞ!」
騎士団の団長さんらしい人が大声で叫ぶ。
「「「おぉ!」」」
騎士団や討伐隊がゴブリン達を追う。
次々とゴブリン達が倒されて行く。
戦力の差なんてもう関係ない。
ゴブリン達はただ狩られて行くだけ・・・
後は森で大討伐が行われるだけだ。
エターナの町は守られたのだ。
こうしてスタンピードは終わりを告げたのであった。
つ・疲れた・・・
2章は後少しだけ続くんじゃ~^^
次回『第43話:エターナの小さな英雄』をお楽しみに~^^ノ




