第39話:2つの奇跡(挿絵あり)
まさかまさかの( ゜Д゜)ハッ
それは神様の意思?
それとも神様の悪戯?
それは強い意思による力?
それともただの偶然?
奇跡は起こる。
信じてさえいれば・・・
リアース歴3235年 6の月 23日 20時。
エターナ森林に行っていたベルクーリさんを含めた冒険者達200人は、全員無事にエターナの町に帰還していた。
21日の朝にエターナ森林に向かった討伐隊は、途中でゴブリンを数体見つけた。
討伐隊は、すぐに討伐しようとはせずに、そのゴブリン達の後を追った。
ゴブリン達を密かに追えば、労せずにコロニーを発見出来ると思ったのだ。
奥へ奥へ進むゴブリンと討伐隊。
しかし、コロニーには全然たどり着かない。
これは少し変だと思い始めた時だ。
カンカンカンカンー!と町の鐘が聞こえて来た。
謀られた!
討伐隊はゴブリン達の罠に引っかかり、森の奥へと誘導されていたのだ。
それに気づいた討伐隊はすぐに町に向かった。
屈強な冒険者達がいない間に町を攻める。
これがゴブリン達の作戦であった。
しかし、ゴブリン達の作戦は上手く行かなかった。
正門・裏門の大扉は早々と閉められてしまい、しかもルークによって強化されてしまう。
何度攻めてもビクともしない。
ハシゴを使って波状攻撃をかけるも全て蹴散らせてしまった。
真夜中に僅かな隙間がある水路から侵入を試みるもこれも失敗。
冒険者達が戻って来る前に何とか町を落とさねば。
ゴブリン達も焦り出す。
討伐隊は、23日の夕方頃にようやくエターナの町近くまで戻っていた。
全員が走り通しで疲れ切っていた。
町はまだ落とされていなかった。
最悪な事態は免れた。
討伐隊のリーダーであるギルド長のベルクーリは、町に繋ぎを入れる。
それと同時にゴブリン部隊に探りを入れる。
町の方は、住人が一致団結して防衛に徹している。
怪我人は多いが、犠牲者はいない。
奇跡だ!ベルクーリは思った。
スタンピードが起こり、犠牲者がゼロ。
歴史上、そんな事は初めてだ。
ゴブリン部隊の偵察が帰って来た。
ゴブリンの数は2千体を超える。
しかも変異種がいたのだ。
普通のゴブリンよりも一回り大きく、黒っぽい肌色だ。
変異種は他と違って力があり、頭も良い。
ベルクーリは奇襲をするか考える。
しかし諦める。
町の皆と合流する方を優先したのだ。
「ギルド長!無事のご帰還、嬉しく思います」
「「「ギルド長お帰りなさい」」」
ステイさんが涙を流して喜んでいる。
ギルド職員の皆も。
「心配かけたなステイ、皆!今まで皆を率いてよく守り抜いてくれた。
有難う!感謝する」
ギルド長とステイさんがガッチリと握手をする。
中央広場は今、お祭り状態である。
酒も振る舞われているようです。
家族や仲間の再会に喜ぶ人達でいっぱいだ。
ギルド長が俺の方にやって来る。
「ステイから聞いたぞ、ルーク!お前、大活躍だったんだってな。
町の皆に代わって、改めて礼を言わせて貰う。有難うな!」
「そ・そんな・・・僕は大した事は・・・」
照れちゃうじゃないですか。
「謙遜するな!お前はそれだけの事をしたんだ。胸を張れ!」
「ハ・ハイ!」
俺の肩をパンパンと叩く。
い・痛いですベルクーリさん。
ベルクーリさんは他の人に挨拶へ行ってしまった。
俺は周りを見渡す。
ゴブリンに攻められている最中なのに賑やかだなぁ。
まぁ、日が暮れてから攻撃は収まったけどさ。
俺、知り合い少ないし、何だかいずらいな・・・。
俺は人気のなさそうな公園の中を散歩する。
空を見上げると、星々が輝き月はまん丸だ。
今日は満月かな?
月がきれいだ・・・
その時、何処から歌が聞こえて来る。
え!この歌は?
しかも・・・なんで?
「・・・・・・白い月が昇る~
春風優しく2つの影~ ささやくように包んでいたよ~
初めて、こんなに誰かを想った~♪」
「「いつもどうして良いのか分からなかった~
君への想いは零れ落ちるほどあるのに~
繋いだ右手も、ぎこちないキスも
それだけでこの世界にすべてだった~
今日も君から貰った言葉を抱きしめている
私に取ってそれはまるで月明かり~
二人で見上げた、あの時みたいに綺麗~♪」」 by 東山奈央「月がきれい」抜粋
歌っていたのはアイシャだった。
サビの部分からは彼女に合わせて俺も一緒に歌った。
一緒に日本語で・・・
どうして彼女がこの歌を知っている?
なぜ、日本語で歌える?
答えは・・・彼女も前世の記憶を持っている・・・
アイシャは驚きの顔で俺を見ている。
彼女も俺と同じ事を思っているのではないのか?
沈黙に時間が流れる・・・
「「どうしてこの歌を?」」
ハモった。
又このパターンです。
顔が赤くなるアイシャ。
俺も顔が真っ赤だろうな?
又しばしの沈黙・・・
この沈黙の間をどうにかしてぇ~。
俺は左手の人差し指で鼻のてっぺんをポリポリとかく。
これは俺の癖だ。
アイシャは髪の毛の先を指でクルクルと巻いている。
「「あ!」」
又ハモった。
まぁ、その事は置いといて。
髪の毛の先を指でクルクルと巻くその癖・・・
大好きだったこの歌・・・
「愛子?」「京ちゃん?」
ドキンと心臓が跳ね上がる!
身体が固まって動けないや。
彼女は両手で口を押えて小刻み震えている。
見る見るうちに涙が目に溜まり零れ落ちる。
「京ちゃん何だね?」
震えた声で彼女は言う。
「そうだよ!愛子なんだよな?」
あれ?俺も泣いている!
「そうだよ!京ちゃん・・・」
勝手に身体が動いた。
俺は、愛子を・・・嫌、アイシャを抱きしめていた。
彼女は俺の胸で泣いている。
「き・奇跡だ!ま・まさか・・・ま・又、愛子と出会えるなんて・・・」
俺の涙も止まらない。
俺達は抱き合ったまま泣いた。
優しい時間が流れる。
俺の初恋は、時を越え、世界を越えて、再び動き出したのであった・・・
まさかの愛子ちゃんでした^^・・・って読んで頂いている方は大方予想通りだったでしょうねw
次回『第40話:ファーストキス』をお楽しみに~^^ノ




