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リアース戦記 ~鉄壁のルーク~  作者: ナナすけ
小さな英雄の章
40/187

第39話:2つの奇跡(挿絵あり)

まさかまさかの( ゜Д゜)ハッ

 それは神様の意思?

 それとも神様の悪戯?

 それは強い意思による力?

 それともただの偶然?

 奇跡は起こる。

 信じてさえいれば・・・




 リアース歴3235年 6の月 23日 20時。


 エターナ森林に行っていたベルクーリさんを含めた冒険者達200人は、全員無事にエターナの町に帰還していた。

 21日の朝にエターナ森林に向かった討伐隊は、途中でゴブリンを数体見つけた。

 討伐隊は、すぐに討伐しようとはせずに、そのゴブリン達の後を追った。

 ゴブリン達を密かに追えば、労せずにコロニーを発見出来ると思ったのだ。

 奥へ奥へ進むゴブリンと討伐隊。

 しかし、コロニーには全然たどり着かない。

 これは少し変だと思い始めた時だ。

 カンカンカンカンー!と町の鐘が聞こえて来た。

 謀られた!

 討伐隊はゴブリン達の罠に引っかかり、森の奥へと誘導されていたのだ。

 それに気づいた討伐隊はすぐに町に向かった。


 屈強な冒険者達がいない間に町を攻める。

 これがゴブリン達の作戦であった。

 しかし、ゴブリン達の作戦は上手く行かなかった。

 正門・裏門の大扉は早々と閉められてしまい、しかもルークによって強化されてしまう。

 何度攻めてもビクともしない。

 ハシゴを使って波状攻撃をかけるも全て蹴散らせてしまった。

 真夜中に僅かな隙間がある水路から侵入を試みるもこれも失敗。

 冒険者達が戻って来る前に何とか町を落とさねば。

 ゴブリン達も焦り出す。


 討伐隊は、23日の夕方頃にようやくエターナの町近くまで戻っていた。

 全員が走り通しで疲れ切っていた。

 町はまだ落とされていなかった。

 最悪な事態は免れた。

 討伐隊のリーダーであるギルド長のベルクーリは、町に繋ぎを入れる。

 それと同時にゴブリン部隊に探りを入れる。

 町の方は、住人が一致団結して防衛に徹している。

 怪我人は多いが、犠牲者はいない。

 奇跡だ!ベルクーリは思った。

 スタンピードが起こり、犠牲者がゼロ。

 歴史上、そんな事は初めてだ。

 ゴブリン部隊の偵察が帰って来た。

 ゴブリンの数は2千体を超える。

 しかも変異種がいたのだ。

 普通のゴブリンよりも一回り大きく、黒っぽい肌色だ。

 変異種は他と違って力があり、頭も良い。

 ベルクーリは奇襲をするか考える。

 しかし諦める。

 町の皆と合流する方を優先したのだ。



「ギルド長!無事のご帰還、嬉しく思います」

「「「ギルド長お帰りなさい」」」


 ステイさんが涙を流して喜んでいる。

 ギルド職員の皆も。


「心配かけたなステイ、皆!今まで皆を率いてよく守り抜いてくれた。

 有難う!感謝する」


 ギルド長とステイさんがガッチリと握手をする。

 中央広場は今、お祭り状態である。

 酒も振る舞われているようです。

 家族や仲間の再会に喜ぶ人達でいっぱいだ。

 ギルド長が俺の方にやって来る。


「ステイから聞いたぞ、ルーク!お前、大活躍だったんだってな。

 町の皆に代わって、改めて礼を言わせて貰う。有難うな!」

「そ・そんな・・・僕は大した事は・・・」


 照れちゃうじゃないですか。


「謙遜するな!お前はそれだけの事をしたんだ。胸を張れ!」

「ハ・ハイ!」


 俺の肩をパンパンと叩く。

 い・痛いですベルクーリさん。

 ベルクーリさんは他の人に挨拶へ行ってしまった。

 俺は周りを見渡す。

 ゴブリンに攻められている最中なのに賑やかだなぁ。

 まぁ、日が暮れてから攻撃は収まったけどさ。

 俺、知り合い少ないし、何だかいずらいな・・・。

 俺は人気のなさそうな公園の中を散歩する。

 空を見上げると、星々が輝き月はまん丸だ。

 今日は満月かな?

 月がきれいだ・・・

 その時、何処から歌が聞こえて来る。

 え!この歌は?

 しかも・・・なんで?


「・・・・・・白い月が昇る~

 春風優しく2つの影~ ささやくように包んでいたよ~

 初めて、こんなに誰かを想った~♪」


「「いつもどうして良いのか分からなかった~

 君への想いは零れ落ちるほどあるのに~

 繋いだ右手も、ぎこちないキスも

 それだけでこの世界にすべてだった~

 今日も君から貰った言葉を抱きしめている

 私に取ってそれはまるで月明かり~

 二人で見上げた、あの時みたいに綺麗~♪」」  by 東山奈央「月がきれい」抜粋


 歌っていたのはアイシャだった。

 サビの部分からは彼女に合わせて俺も一緒に歌った。

 一緒に日本語で・・・

 どうして彼女がこの歌を知っている?

 なぜ、日本語で歌える?

 答えは・・・彼女も前世の記憶を持っている・・・

 アイシャは驚きの顔で俺を見ている。

 彼女も俺と同じ事を思っているのではないのか?

 沈黙に時間が流れる・・・


「「どうしてこの歌を?」」


 ハモった。

 又このパターンです。

 顔が赤くなるアイシャ。

 俺も顔が真っ赤だろうな?

 又しばしの沈黙・・・

 この沈黙の間をどうにかしてぇ~。

 俺は左手の人差し指で鼻のてっぺんをポリポリとかく。

 これは俺の癖だ。

 アイシャは髪の毛の先を指でクルクルと巻いている。


「「あ!」」


 又ハモった。

 まぁ、その事は置いといて。

 髪の毛の先を指でクルクルと巻くその癖・・・

 大好きだったこの歌・・・


「愛子?」「京ちゃん?」


 ドキンと心臓が跳ね上がる!

 身体が固まって動けないや。

 彼女は両手で口を押えて小刻み震えている。

 見る見るうちに涙が目に溜まり零れ落ちる。


「京ちゃん何だね?」


 震えた声で彼女は言う。


「そうだよ!愛子なんだよな?」


 あれ?俺も泣いている!


「そうだよ!京ちゃん・・・」


 勝手に身体が動いた。

 俺は、愛子を・・・嫌、アイシャを抱きしめていた。

 彼女は俺の胸で泣いている。


「き・奇跡だ!ま・まさか・・・ま・又、愛子と出会えるなんて・・・」


 俺の涙も止まらない。

 俺達は抱き合ったまま泣いた。

 優しい時間が流れる。


 俺の初恋は、時を越え、世界を越えて、再び動き出したのであった・・・


挿絵(By みてみん)

まさかの愛子ちゃんでした^^・・・って読んで頂いている方は大方予想通りだったでしょうねw

次回『第40話:ファーストキス』をお楽しみに~^^ノ

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