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リアース戦記 ~鉄壁のルーク~  作者: ナナすけ
小さな英雄の章
19/187

第18話:冒険者見習い(挿絵あり)

第2章のスタートです。ここから物語はゆっくり目で進んで行きます。

挿絵(By みてみん)


 リアース世界、人間が治める国は『アの国』『リの国』『ナの国』『クの国』『ネの国』『ミの国』の6カ国がある。

 200年前は、まだ倍以上の国々が存在していた。

 80年前くらいから、今の国数に落ち着いている。

 『アの国』『ナの国』『クの国』は、王族・貴族・平民・奴隷がいる身分制度の国。

 『リの国』『ミの国』は奴隷解放令を発布しており、王族・貴族・平民である。

 『ネの国』は少し特殊で王族と貴族が居ない。平民・奴隷だけであり、国を治めるのは平民の中の大商人6人からなる議会制となっている。


 『アの国』、富国強兵を掲げる軍事国家。国で一番の広大な大地を有する。現在、獣人の里と交戦中。ドワーフの国と密かに交流している。

 『リの国』、自然が豊かで広大な大地を有し、エルフとの交流も盛んで他種族も増え一番栄えている国。クの国とは同盟中。

 『ナの国』、海を欲し、リの国を狙う。エルフの里と本格的に交戦状態に入る。

 『クの国』、商業都市国家。どの国とも商売をしている。国全体が活気に満ち溢れている。

 『ネの国』、クの国から独立した商人達が治める国。実は奴隷を扱うそう元締め。ミの国と対立。

 『ミの国』、獣人の里との交流が深く、獣人とのハーフが多い。アの国から攻められている獣人の里を支援している。リの国の同様に奴隷を解放。


 リアース世界の国々、現在はこんな感じである・・・




 リアース歴3233年 5の月22日。


 今日は俺の12歳の誕生日だ。

 身長も150cmを超え、少しずつ逞しくなって来ている。

 母親譲りの銀髪は伸び放題になっており、肩よりも長くなってしまった。

 首の後ろ側で一本に縛ってまとめてある。

 ジークほどではないが、自称イケメンである。

 何か空しい・・・

 イナリも大きく・・・なっていません。

 そのままです。

 でも尻尾が二尾になりました。

 成長はしている様です。


 孤児になった俺は教会にお世話になっていた。

 でも、預けられていた時とほとんど変わってはいない。

 父さんと住んでいた家に帰らなくなっただけ。

 1週間で何日か泊まっていたのが毎日になっただけ。

 生活環境は全然変わっていない。


 俺は12歳になるこの日をずっと待っていた。

 俺はこれから冒険者ギルドに行って、冒険者登録をするんだ。

 父さんと同じ冒険者になるんだ。

 まだ見習いとしてだけど・・・


「おはよう御座います!」


 冒険者ギルドの玄関のドアを開けて大きな声で挨拶をした。

 教会で朝食を食べた俺は、速攻で冒険者ギルドにやって来たのだ。

 他の冒険者の人は誰もいなかった。

 ここって本当に誰もいないなぁ。

 大丈夫なのかな、これで?


「「ルークちゃん、おはよう!今日は何か用事かしら?」」


 う~、相変わらず「ちゃん」付けですか。

 冒険者ギルドのカウンターにいるお姉さんズが、ハモって返事をくれた。

 いつも綺麗だよ、お姉さんズ。

 クリーム色の髪で腰まで長いストレート、背が高く20代前半くらいの物静かな女性がミアさん。

 青い髪で肩くらいまでの長さでちょっとくせ毛、背は150cmくらいで10代後半のキャピキャピ感が半端ない女性がネイシーさん。


「僕は今日から12歳です。冒険者登録にやって来ました!」

「キュキュ!」


 左肩に乗っているイナリが「俺も登録!」って言っています。


「12歳になったんだね。早いねぇ・・・では、この書類に記入してくれる。

 今、ギルド長代理呼んでくるからね」

「ハイ!」

「キュ」


 俺はミアさんから書類を受け取った。

 イナリ!君のはないのだよ。

 あ!やめて!

 噛まないで!

 許して下さい!

 ゴメンなさい!

(お願いだから心を読まないで~!)


 しかし、イナリは・・・全然大きくならないね。

 チビのまんまや!

 あ!噛まないで!

 だからゴメンって!

 一々、心を読むなよ~!

(誰か助けて下さい~!)


 お約束のドタバタを演じた後は、少し真面目にしましょうか。

 え~と、まず記入するところは・・・

 名前    「ルーク」と。

 性別    「男」と。当たり前田のクラッカーってね・・・古っ!

 種族・出身 「人間、ルタの村」と。種族も書くんだね~。

 武器    「刀」と。まだ脇差しか持っていないっす。

 精霊術   「土」と。聖はなるべく隠しておく様にと生前父に言われていた。

 ん!? これだけ?

 記入ってこれだけか。


「ルーク!待っていたぞ!」


 勢いよく事務所のドアが開いた。

 ロットさんがやって来ました。

 ちょっと胡散臭い顔した人だけど、とても優しい人ですよ。

 父さんが亡くなってから、俺を心配してくれて教会に度々顔を出してくれていました。

 冒険者になる件で、いろいろと相談にのってくれたんですよ。

 

「ロットのおじさん!今日からお願いします」

「バカモン!ここでは、ギルド長代理と呼べ!」

「ハーイ!」


 俺は舌を出して返事をする。

 ロットさんが笑っている。

 本気で怒っていない事くらい俺も分かっているのさ。


「書類の記入は終わっているようだな。ルーク、このカードに血を足らせ」

「血?」

「そうだ!」


 俺はナイフの先を左手の親指にプスッと刺す。

 血がプクッと出てきた。


「このカードに血をつけろ」

「あ!ハイハイ」

「ミア、ギルドカードを作成してこい」

「分かりました。ギルド長代理」


 ミアさんは、俺の血の付いたカードを持って、奥の事務所に入って行った。


「カードが出来るまで、少し説明をしておくか。

 前にも教会で話と思うが、冒険者見習いは魔物の駆除や素材収集の仕事は受けさせて貰えないからな。

 町や村での安全なお手伝いが主だ。後は薬草の収集だな。

 森や山脈の奥には行くなよ。魔物が出たらすぐ逃げろ。

 まぁ、下級の魔物ならお前達でも問題ないだろうがな。

 一応規則だ・・・守れ!」


 OKですボス。

 ロットさんはたまに剣術や精霊術の鍛錬を見てくれているので、俺の実力は知っている。

 父の代わりと思ってくれているんだろうな。

 優しい人だよ本当に。

 顔は胡散臭いけど・・・


「まぁ、仕方がなく狩ってしまった魔物の素材は引き取ってやる。適正価格でな。

 ただし、規則通りで冒険者ランクのポイントにはならんかな」

「ハーイ!」


 そんなに甘くはないか。

 トホホ!


「ヒール用の薬草の外にも、他の魔物除け用や解毒用の薬草も忘れずに取ってこいよ。

 ハンナ婆さんの所に持って行って、自分で薬を作れるようにちゃんと教えて貰って来い。

 お前自身のためだ!」

「分かっているよ!」


 ハンナ婆さんとは、ルタの村の外れで薬を調合している薬剤師のエルフのお婆さんです。

 父やロットさんが、昔からお世話になっている人だそうです。

 先日、ロットさんの紹介で弟子入りしました。

 怖そうなエルフさんでした。

 俺は聖の精霊術があるから必要ないと思ったんだけど、魔物除けの薬などが自分で作れれば便利だぞと言われた。

 それに、体力回復のポーションや魔力回復のマジックポーションなどの商売は、結構安定した収入を得られるらしい。

 良い事を聞いたぞ~。


「ねぇロットのおじさん、ハンナ婆ちゃんっていくつなの?

 お父さん達の子供頃からお婆さんって言っていたよねぇ・・・」


 エルフは、地球の物語に出て来る様に長寿種族だそうです。

 平均寿命が200歳前後だそうだよ。

 そして、皆さん美人さんだそうです。

 イヤッホー!

 ただ胸は・・・皆さん洗濯板並だそうです。

 く~残念!


「知らん!あの婆さんに歳の話をしたら、半殺しにされると云う噂だ。

 お前も胆に銘じておけ。死にたくなかったらな!」

「ラ・ラジャーであります!」


 思わず敬礼しちゃったよ。


「あぁ~、後、エターナの町への郵便物の届けは、これから指名依頼でお前に頼むからな。」

「え!俺に?」

「そうだ!お前の馬のゴーレムなら、1日でエターナの町に着くだろ?

 道中は盗賊がまず出ないし、魔物も下級程度しか出て来ないしな。

 お前なら問題ないだろ。イナリもいるし。

 郵便届は村の手伝いや薬草の取集よりは金が良い。頑張って稼げ!」

「有難う。ロットのおじさん!」

「ギルド長代理、ルークちゃんのギルドカードが出来ましたよ」


 ミアさんが、俺のカードを持って戻って来た。

 カードをロッドさんに渡す。


「お!すまんな。これがルークのギルドカードだ、無くすなよ。

 なくしたら再発行銀貨1枚だからな」


 ミアさんから貰ったカードを、今度は俺に渡す。

 銀で出来ている名刺くらいの大きさのカード。

 このカードに俺の個人情報が全部入っているらしい。

 このカードにお金を振り込んだり下ろしたりも出来るんだってさ。

 銀行のカードってことね。


「分かりました、大事にします!でも、再発行に銀貨1枚って高いですね」

「カードを作るのに質の良い魔石が必要になるからな。

 最初はギルド持ちだが、再発行代は自己負担ってことさ」

「なるほど」

「これでお前も冒険者だな!」


 カウンターのお姉さんズもウンウンと頷いている。

 俺って皆に愛されているよな。


 こうして俺の冒険者生活が始まった。

 やっと父さんと同じ冒険者だ・・・


挿絵(By みてみん)


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