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リアース戦記 ~鉄壁のルーク~  作者: ナナすけ
聖龍継承の章
186/187

第181話:これからも

本日は16時にエピローグも投稿致します^^

 リアース歴3238年 7の月24日 10時45分。

 首都ザーンのバニング邸にて・・・


「オギャー!オギャー!オギャー!・・・」


 バニング邸に赤ちゃんの産声が大きく響き渡る。


「う・生まれた!」

「うむ!」

「やったわね!」

「キュキュ~!」

(めでたや~!)

「「おめでとう御座います!」」


 産声が聞こえて来る俺とアイシャの寝室のドアの前で、俺とお爺様お婆様とイナリ、それと執事のオットーや俺の補佐役のイスカルから歓喜の声を上げる。


「ねぇ、大婆様、赤ちゃん生まれたの?」

「そうよ、バーンちゃんの弟か妹が生まれたのよ~」

「やった~!わ~いわ~い」

「ウフフフフ!」


 バーンはバニング家に来て、お爺様とお婆様にとても可愛がられている。

 まるで本当のひ孫の様に。


「ア・アイシャ~、アイシャ~!」

「お・落ち着けルーク!」

「そ・そう云うお爺様こそ!オロオロしないで下さい」

「ワ・ワシは落ち着いておるぞ!」

「お屋形様、若様、お2人共どうか落ち着き下さいませ!

 すぐに若奥様と赤ちゃんとご対面が出来ますよ」


 オットーが俺とお爺様を諫める。

 すると急に部屋のドアが開く。

 そこにはメイド服を着た笑顔のリンが立っていた。


「男の子で御座います!元気いっぱいな男の子ですよ~」

「男の子か、でかした!」

「わ~い、弟だ~!」

「キュキュキュ~!」

(良かったね~!)

「これで我が家は更に安泰ね!」

「「ばんざ~い!ばんざ~い!」」


 お爺様、バーン、イナリ、お婆様、オットーとイスカルから再び歓喜が上がる。


「リ・リンよ、アイシャは?

 アイシャは無事なのか?無事なんだろうなぁ?」


 俺はリンに駆け寄り、両手でリンの肩を掴んでガクンガクンと揺らす。


「ぬ・主様、嫌、わ・若様、お・落ち着いて、下さい!ゆ・揺れる~」

「す・済まない!それでアイシャはどうなんだ?」

「心配いりませんよ、若様!若奥様は元気です」

「そっか~、良かった!」


 俺は安心して崩れ落ちる。


「お屋形様、若様、私はこの事を『影』に依頼して領地に知らせる様に指示して参ります」

「あぁ、済まないなイスカル!」

「有難うイスカル!」


 イスカルは俺の補佐として良く尽くしてくれている。

 最初はお互いにわだかまりがあり、ぎこちなさがあったが、今はもうない。

 イスカルがきちんと謝罪をして来て、俺に忠誠を誓ったからだ。

 この7カ月間で俺達の間に信頼関係がしっかりと出来上がったのだ。

 そして、イスカルが言った影とはフィンさん率いるダークエルフの隠密部隊の事である。

 ロダン商会バニング領内支店長兼聖龍騎士団参謀役を務めるズラビスの手足となって情報収集や伝達事項を行ってくれているのだ。

 ちなみに城塞都市バニングの近くにあるウナン山脈の麓の森をダークエルフ達に開放した。

 今、エルフの里の方から徐々に一族が集まり始め、村が出来つつある。

 ダークエルフ達はようやく安住の地を見つけたのである。


「皆様、準備が出来上がりました!

 さぁ、どうぞお部屋に入り下さいませ」


 助産婦さんから部屋に入って良いとOKが出た。

 俺は急ぎ部屋に入る。


「キュキュキュ~!」

(僕も入る~!)


 イナリが俺の後に続いて部屋に入ろうとする。


「イナリ殿はダメで御座います!」

「キュ!?」

(へ!?)


 部屋に入ろうとしたイナリの頭をリンが右手で鷲掴みにして阻止したのだ。


「キュキュ!キュっキュキュキュ」

(何をするリン!聖獣たる僕の頭を鷲掴みにしやがって)

「黙らっしゃいこのエロ狐!」

「キュキュキュ~!」

(エ・エロ狐とは心外だ!)

「どうせイナリ殿は若奥様のお胸に飛び込むつもりでしょうが、そうはさせませんよ。

 若奥様は今とてもお疲れになっているのですから」


 確かにそれはけしからんな。

 リンよ、良くぞ阻止してくれた。

 リンはイナリの頭を掴んだまま廊下の窓を開ける。


「キュキュ!?」

(止せ、何をする気だ!?)


 リンは左足を大きく振り上げる。


「キュキュキュ~!」

(止せ、お願いだから止めて~!)

「少しは鉄人殿を見習って、屋敷の警備でもしてらっしゃ~~~い!」


 左足を振り下ろすと同時に右肩から右肘、そしてスナップを効かせて右手が前へ出る。

 そう、イナリはリンに放り投げられたのであった。


「キュキュキュ~~~・・・!」

(お・覚えてろ~~~・・・!)


キラン!


「あっ、イナリがお星さまになった!」


 バーンよ、ナイス突っ込みだ。

 流石、俺の子だ。

 哀れ、イナリは遠くまで飛んで行ったのであった・・・南無!


「イナリちゃん、大丈夫かしら?」

「大丈夫ですよ、大奥様!あれでも一応聖獣の端くれですから。

 それにしても、ペットは飼い主に似るって本当でなんですねぇ・・・」

「「「「・・・」」」」


 リンよ、さり気なく俺もディスるのを止めてくれないか。

 皆の視線が痛いです。

 くすん!

 まぁ、イナリの事は放っておいて、部屋の中に視線を戻すと、そこにはベッドから上半身だけ起き上がり元気な赤子を抱いた笑顔のアイシャがあった。

 かなり疲労している様に見える。

 そりゃあ、半日以上も陣痛と戦っていたんだから当たり前か。


「アイシャ、お疲れ様!そして有難う」


 俺は右手でアイシャの髪を優しく撫でて、そっと唇にキスをする。


「有難う、貴方!貴方、この子を抱いて上げて」

「え!?俺、赤子の抱き方が分かんないよ」

「首が座っていないから、右手で頭を支えて上げる様に、左手は身体を支える様にね」

「あぁ、分かった!」


 俺はアイシャに言われた様にアイシャに抱かれている赤子をそ~っと受け取る。

 俺が抱いて大泣きしないかな?

 受け取った赤子の顔をジッと見つめる。

 皺くちゃでお猿さんみたいな顔だ。

 髪は俺達と同じ銀髪だ。

 今は目を閉じているので瞳の色は分からないや。


「お猿さんみたいでしょう!」

「うん、でも可愛いね!」

「そりゃあ、勿論よ!」


 2人で微笑み合う。


「アイシャちゃんお疲れ様!ねぇ、次は私にも抱かせて」

「ハイ、お婆様!」

「ズルいぞティーゼ!次はワシが抱こうと思っていたのに~」

「僕にも見せて見せて~!」

「貴方は私の次です!それに先にアイシャちゃんに労いの言葉を掛けて上げなさい。

 さぁ、バーンちゃん覗いて御覧なさい。彼方の弟ですよ~」

「わ~い!」

「あぁ、そうだったそうだった!アイシャよ、お疲れ様だった。

 元気な男の子を産んでくれて有難う。

 これで我が家は更に安泰である。でかしたぞ!」


 お爺様とお婆様、バーンが喜んでくれている。

 やっぱり家族って良いよな。


「ねぇ、貴方。赤ちゃんの名前はどうする?」

「うん、一応前々から候補は決めてある」

「何て名前?」

「レイクだ!レイク・バニング。どうかな?」


 何処かの金融会社みたいな名前と思っちゃアカンよ。

 これでも真剣に考えたんだからね。


「まぁ、素敵な名前ね!」

「本当に良い名前だわねぇ!」

「うむ!良い名だな」


 アイシャとお婆様、お爺様が名前に賛同してくれた。

 良かった良かった。

 レイク・バニング、こうして俺達家族に新しい家族が1人加わったのであった。



 その日の夜。

 俺は俺の左腕を枕にしているアイシャと2人で寝ていた。

 バーンはリンと共に隣りの部屋で寝て居り、レイクは俺達のベッド横に設置したベビーベッドで静かに寝ている。

 左腕に居るアイシャがもぞもぞと動く。


「貴方起きている?」

「起きているよ!」

「貴方も眠れないの?」

「あぁ、うん。ちょっとね!」

「もしかして、今までいろいろあった事を考えて居た?」

「そうだよ!もしかしてアイシャも?」

「そうよ、昔を振り返って今の幸せを噛みしめていたの!」


 アイシャも同じだったのか。

 俺達は相変わらず気持ちが一緒だよね。

 俺はベッドに横たわりながら、前世の悲しい別れから、この世界への転生、そしてアイシャとの運命の再会、結婚、そして今日の出産の事を思い出していた。


「アイシャ、幸せ?」

「うん、とっても幸せよ!貴方は?」

「俺も勿論幸せさ!」

「前世では手を繋ぐがやっとだった2人なのにね・・・」

「そだね!」

「今では貴方に抱かれて、こうして貴方との子まで産む事が出来た。

 幸せ過ぎて怖いくらいだわ」

「本当だね・・・」


 アイシャが寝返りをし、俺に抱き着いて来た。

 俺もアイシャを抱きしめ返す。


「最初、転生したと分かった時この世界を恨んだけど、今はとても感謝してるわ。

 貴方と再会出来て、こうして人生をやり直している・・・」

「アイシャは神様って信じている?」

「そうね、信じている・・・かな?」

「何だ、疑問形かよ!」

「そうね、半信半疑と云う事かしらね!」

「そっか~、俺は神様ッていると思うんだ。

 その神様が俺達をもう1度引き合わせてくれたと信じているんだ」

「そうか・・・そうかもしれないわね!」


 2人共もう1度強く抱きしめ合う。


(あぁ、癒らせる!

 俺は君が傍に居てくれるだけ満たされるんだ。

 もう2度と君を離したくない。

 このまま永遠に君と一緒に居たい・・・)


 この7カ月、貴族となって生活は劇的に変わってしまったが、俺とアイシャの愛は何時までも変わらない。

 嫌、前世の時から愛子への気持ちはズ~っと変わらない。

 これから何があろうとも俺達の愛は永遠に不変である。

 例え、それが刻を越え、世界を越えたとしても・・・


 Fin

次回『エピローグ』をお楽しみに~^^ノ

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