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リアース戦記 ~鉄壁のルーク~  作者: ナナすけ
聖龍継承の章
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第178話:質問

 リアース歴3238年 大母神テーラ感謝祭5日目 17時20分。

 ザーン城、王の間にて・・・


「英雄ルークよ、其方はバニング家継承を受ける意思はあるか?」


 バート宰相より、バニング家継承の意思確認を問われた。

 これでハイと答えれば、大貴族であるバニング伯爵家を継ぐ話は本決まりとなってしまうであろう。

 貴族になる意思は前々からある程度覚悟していたつもりだ。

 だけど、それは下級貴族の端くれになる事であって、大貴族になる事は全く持って想定していなかった。

 大貴族に成れば責任や重圧、いろいろなもののしがらみなど沢山生じてくるだろう。

 今までとは全く違う生活をしなければならなくなる。

 俺やアイシャ、バーンやお腹の子、そしてリンにとってそれは良い事なのであろうか?

 でも、お爺様やお婆様、陛下などの喜びようを見ると、それを本当に望んでいる事が分かる。

 この人達の気持ちを踏みにじって良いものだろうか?

 う~、俺はどうしたら良いんだ。

 この答えは慎重にせねばならない。

 思わず横にいるアイシャに助けを求めると、アイシャは黙って頷く。

 それは、「貴方の好きな様にして!私はどんな答えでも貴方について行くだけ」と言っている。

 言葉にしなくてもそれくらい分かる。

 ここで俺の答えは半分まで決まりかけた。

 後は・・・


「あの~、お答えをする前に2~3質問しても構わないでしょうか?」


 答えを決める前にどうしても確認しておかなければならない事項が2~3あった。

 この事を聞いておかなければ後で後悔してしまうかもしれないからね。


「あぁ、勿論構わない!陛下もバニング伯爵も宜しいですよね?」

「うむ!」

「ハイ!」


 よし、無事に了解が出たぞ。


「まず、第一にお聞きしたい事ですが、確かイスカル殿も後継者と言っておられましたよね?

 イスカル殿を差し置いて私が後継者となる事に問題、もしくは争いとかになったりしないのでしょうか?」


 只でさえアイシャの事で逆恨みされているみたいだからさ。

 この件で更に恨まれたりしそうで怖いもんねぇ。

 俺だけでなく、家族にまで危険が及んだりしないかが心配なんだよ。


「あぁ、その件に関しては何も問題ない。

 貴族法によれば、本来は正当な直系の血筋の後継者が継承者第1位。

 イスカル殿はあくまでもその直系である継承者第1位が居なかった場合の継承者第2位候補にすぎません。

 直系である英雄殿が現れたからには、其方が継承者第1位なのです。

 イスカル殿がその事で不服を申し立てする事も出来ないし、ましてや争いになど成り得ません。

 そうで御座いますね、バニング伯爵?」

「宰相閣下の言う通りで御座います!」


 なるほど、貴族法とやらで後継者問題は直系であること事が大事と定められているのか。だから、イスカル殿がどうこう言う事は出来ないと。


「もし、私がお受けした場合、イスカル殿はどのような扱いになるのでしょうか?」

「その話はすでに私とイスカルとで話がついておる。

 イスカルには分家を任せて、ルークの補佐をして貰う事に決まった。

 本人がそう望んだのだ」


 俺の問いにお爺様は間を置かずに即答した。

 心配しなくてもすでに話は決まっていると云う事か。

 それにしてもイスカルが俺の補佐をねぇ。

 逆に不安なきもするんだけど。

 まぁ、イスカルの事はこの際どうでも良いか。

 それよりももっと大事な事がある。

 貴族は直系が大事か・・・そうなると次の件はダメっぽいな・・・


「えっと、これも仮の話なのですが、もし私が伯爵家を継いだとして更に次の代に継がせる時、その貴族法とかでは、養い子は継承者として認めて貰えないと云う事になるのですよね?

 例え後継者となれたとしても継承者第2位?」

「養い子だと?養い子であれば第1位は無理であるな」


 そうか、やっぱりダメか。


「ルークよ、それはバーンの事を言っているのか?」

「ハイ、その通りで御座いますご老公様。

 バーンはもはや我が子同然です。

 もし、伯爵家を継いだとしてもバーンは跡継ぎになれない。

 アイシャのお腹の子と分け隔てなく育てるつもりだったのにそれが出来なくなるんです。

 これではあの子に辛い思いをさせてしまう・・・」

「貴方・・・」

「確かにそうじゃのう・・・」


 僅かに沈黙が流れる。


「オイ!今、サラっと飛んでもない事を言ったなルークよ。

 アイシャのお腹に子供だと?

 ビルギットよ、ワシは初耳であるぞ!」


 何故かプルプル震えている国王陛下である。

 それに対してお爺様とお婆様は・・・


「貴方、聞きました?アイシャちゃんのお腹に子供ですってよ。

 ひ孫よひ孫!キャー、素晴らしいわ」

「おぉ、今日は何て素晴らしい日なのだ。

 孫に続いてひ孫までとは・・・これでバニング家は安泰だ!」


 まだ継ぐって言っていませんよお爺様。

 お願いだから先走らないで~!


「父上もバニング伯爵夫妻もどうか落ち着いて下さい。

 バニング伯爵よ、喜ぶのは良いが英雄殿は今、養い子と実子との場合の後継問題で質問をなさっておるのですよ。

 其方にも関わる話なのだから、真剣に聞いて上げて下さい。

 それに父上もです!何故そうプリプリとお怒りになっておられるのか分かりませんが、こんな事で感情を乱されては・・・」


 ここで陛下の目がカッと開いた。


「バカモン、何がこんな事だ!これは王位継承権にも関わる話であるぞ~。

 王家にとって一大事で・・・あっ!」


 陛下が固まった。

 やっちまった~って顔しています。

 今、陛下は王位継承権とか飛んでもない事良いましたよね?

 どうしてそんな話になるんでしょうか?


「陛下、大自爆なされましたな・・・」


 ご老公様がこめかみに手を当て頭を左右に振る。

 大自爆!?


「陛下、王位継承権とはどういう事ですか?

 聖女殿のお腹の子に王位継承権がある様な言い方でしたよね?

 ハっ!と言う事は、聖女殿はもしかして・・・」


 宰相が陛下に詰め寄る。

 え!?え!?え!?

 何々?どういう事?


「陛下、こうなったら全てお話になった方が?」


 ご老公様が陛下に語り掛ける。

 この状況だとご老公様はすでに知っている様だよね。


「陛下!」

「父上!」


 宰相と王太子から詰め寄られる陛下。


「わ・分かった!全てを話す・・・

 ただし、この事は内密に願いたい。

 皆の者良いな!」


 陛下がこの王の間に居る全員の顔を見る。


「「「「ハイ!」」」」


 陛下とご老公様以外の全員が頷く。

 陛下は真っ直ぐにアイシャの目を見る。


「アイシャよ、其方の父親は・・・私なのだ!

 其方は私とセーラの子なのだ。

 今まで隠していて、大変申し訳なかった」


 な・な・なんですと~~~!

 アイシャが陛下の子!


 王の間に衝撃が走ったのであった・・・


次回『第179話:継承権』をお楽しみに~^^ノ

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