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リアース戦記 ~鉄壁のルーク~  作者: ナナすけ
聖龍継承の章
173/187

第168話:じゃじゃ馬娘

 リアース歴3238年 大母神テーラ感謝祭4日目 17時半。

 エターナのご老公の別宅邸にて・・・


 天下一精霊武術大会4日目。

 本日の予定であった本選トーナメントの1~3回戦までが無事に全て終わった。

 結果は次の通りである。


【本選トーナメント表】

挿絵(By みてみん)


 俺は何とか勝ち残る事が出来たが、フォッカーさんは残念ながら1番の優勝候補である氷虎騎士団のベルモンド・クユ団長に負けてしまいベスト8止まりとなった。

 負けはしたものもの、これまでの戦いの評価は高く、フォッカーさんの名は一躍首都に轟く事となった。

 試合が終わってすぐにフォッカーさんをお抱えの騎士にしようとする貴族達の争奪戦が始まったららしいが、フォッカーさんはその誘いを全て断った。

 フォッカーさんはこれからも冒険者である事を望み、俺との約束である新人や後輩の育成に携わって行きたいと言ったらしい。

 いずれは尊敬するベルクーリさんの様なエターナの冒険者ギルド長になる事が夢なんだってさ。

 俺はその話を聞いて少し嬉しくなった。

 俺との約束を守ろうとしてくれている事もそうだが、実は俺もそんな風に生きて行けたらなぁと思っていた時があったからだ。

 でも、もうその夢は叶わないだろう。

 俺はもうすぐ貴族になるからだ。

 であるなら、兄の様な存在であるフォッカーさんにその夢を託したいと・・・



 本日の3回戦までの全試合は16時前に終了した。

 俺達はすぐにご老公様の別宅に帰宅して、夕食までの時間を各自それぞれに過ごしている。

 アイシャとリン、ノインさんはご老公様のお抱えコックさんと共に夕食の準備をし、フォッカーさんやズラビス、フィンさんはご老公様とお酒を。

 未成年であるジークとマシューは今日の試合の事で語り合っていた。


シュっ!シュっ!シュっ!


 俺はと云うと、薄暗くなり始めた庭で明日の試合に向けて軽い素振りをしていた。

 一振り一振り太刀筋を確認しながら丁寧に素振りをする。

 右手の太刀で袈裟切り→左薙ぎ→右切り上げ→逆袈裟→刺突からの左手の脇差で刺突、そして再び右手の太刀で再度袈裟切り→左薙ぎ→右切り上げ→逆袈裟→刺突。

 今日のデュックさんとの試合を思い出しながらのイメージトレーニングだ。


「右の太刀の刺突から左の脇差の刺突のタイミングがまだまだ遅いでござるよ!

 だから今日の試合ではデュック殿に隙を付かれて11連撃で終わったのでござる」

「そうでござるそうでござる!」


 バーンの手を引いて、俺の様子を見に来た師匠からダメだしを食らう。

 でも、流石だな。

 実は俺もそこが気になっていたんだ。

 それにしても、バーンは師匠のござる言葉が気に入って、すっかり師匠に懐いてしまったな。


「そのミニボーガンとやらばかりを使っておるから感覚が鈍ったのではござらぬか?」

「そうでござるそうでござる!」

「うっ!」


 それはあるかも・・・


「もっと精進をせい馬鹿者!」

「申し訳御座いません・・・」

父上トトサマ頑張れでござる~!」

「ハイ!」


 トホホ、息子の前で師匠から手厳しい一言を頂いてしまった。

 父親としての威厳が・・・

 この後も、師匠からダメだしの連発を食らう。

 俺の心が少し折れそうになっていると、何やら玄関の方が急に騒がしくなった。

 すると、あれよあれよという間に今度は来客室で酒を飲んでいたフォッカーさん達の方まで騒がしくなった。

 何事かと思い、素振りを止めて師匠達と窓から部屋の中を覗いてみると、ご老公様の家のメイドさん達の抑えを振り切って暴れている一人の殺気だった女性が居たのだ。


「見つけたぞフォッカー!さぁ、私ともう1度戦え」


 フォッカーさんを指指さして試合を申し込んでいる女性は、紫髪のショートヘアでキリっとした切れ長の茶目。

 可愛いと云うよりは、カッコいいと云う感じの綺麗な人だ。

 クールビューティーってやつっすよ。

 何処となく前世の愛子に似ている気がする。

 身長は160cm後半で女性としては背が高い方であり、Gカップの非常に素晴らしい乳神様をお持ちの様です。


「素晴らしいGカップの乳神様だ!ジュルリ」

「父様の言う通りでござる!ジュルリ」

「愛しき息子よ、お前もそう思うか!?」

「ハイでござる!でも父様、あの乳神様の大きさがよく分かりましたね?」

「フフフフフっ、俺の目は特別なのだよ」

「流石、父様でござる!尊敬致するでござる」


 俺は今、猛烈に感動している。

 息子と乳談義が出来て嬉しいのだ。

 

「ハァー、あのじゃじゃ馬娘が!」


 感動に浸っていると、俺の横に居た師匠がこめかみに手を当てて首を左右に振りながらため息を漏らす。


「し・師匠、お知り合いの方で?」

「我が長兄の孫娘でござるよ!」


 へ!?親戚なんだあの乳神様、嫌、お姉様。

 師匠はそう説明して、ベランダの窓を開けて部屋へ入って行った。


「ヴィンよ、お前は人様の家で何を暴れているでござるか!」


 師匠が珍しく怒号を上げる。


「お・大叔父上!?何故彼方がこちらに?」

「それはこちらのセリフでござるよ」

「わ・私は、負けた事が悔しく我慢ならないので、そ・その・・・再戦を申し込みに・・・」


 ヴィンと呼ばれたお姉様は暴れるの止めた。

 そして、師匠の問いに答えるヴィンさんの声はドンドン小さくなって行く。


「愚か者が!剣を持つ者として、スザル家の者として恥を知れ」

「しかし大叔父上・・・」

「黙るでござる!」

「ハ・ハイ!」


 師匠のあまりにも大きな声にその場に居た者が皆びくりとする。

 ヴィンさんは首を引っ込めた亀の様になってしまった。


「フォッカー殿、我が大姪が大変失礼な事をしたでござる。

 どうか許して頂きたいでござる」


 師匠は深々と頭を下げる。


「お前も黙って見てないで一緒に頭を下げて謝るでござるよ馬鹿者!」

「も・申し訳なかった!」


 ヴィンさんの頭を押さえつけて再び頭を下げる師匠。

 おぉ、ヴィンさんの乳神様が揺れる事揺れる事。

 少し興奮して来て、股間に熱いものが・・・

 フォッカーさんも何気に乳神様目が行っているよね。

 前傾姿勢になっちゃってさ・・・俺もそうか。

 ドスケベめ!・・・人の事は言えないか。


「ク・クロード様、頭を上げて下さいよ。

 お・俺は全然気にしていないですから」

「フォッカー殿、かたじけないでござる」


 取りあえず、これで何とか収拾がついた。

 俺の股間も収集がついたけどね。

 丁度その時、夕食の準備が出来たとアイシャが知らせに部屋にやって来た。

 あ・危ねぇ!

 もしアイシャに見つかっていたら、俺のムスコに蹴りが入るところだったぜ。



 その後、ヴィンさんも交えて夕食となった。

 先ほどの殺気だった状況とは打って変わって会話が弾む和やかな雰囲気となった。


「そう言えば、大叔父上はどうしてこちらにいらっしゃったので御座いますか?

 スザル家にお寄りして御座いませんよね?」

「弟子が大会に出て居るので、その応援でござるよ。

 エターナのご老公ビルギットは古くかの友人であるし、こちらの居る方が何かと都合が良かったからでござる。

 スザル家には、後で顔を出すつもりでいたでござるよ」

「弟子って何方で御座いますか?

 その方は強いので御座いますか?

 是非、私との手合わせを・・・」


ゴツン!


「いった~~~い!大叔父上、痛いで御座います」


 ヴィンさんの頭上に空手チョップが落ちた。

 何やらジークとのやり取りを見ている様な気分だな。

 何気に近親感が湧いて来ました。


「食事中でござるよ!もう少し静かに出来んのかお前は。

 それにしても、お前は戦いの事となると目の色が変わるのは相変わらずでござるのう」

「ス・スイマセン大叔父上・・・」

「弟子とは目の前に居るルークでござる。

 ルークは明日も試合があるから手合わせはイカンぞ。

 どうしても言うのであれば、こっちの方のバカ弟子にしとけ」


 そう言って師匠はジークの方を見る。


「バカ弟子って、師匠は何時も僕をバカにしてぇ」


 プク~っと両頬を膨らませて抗議するジーク。

 その表情可愛いから止めれ!


「お・大叔父上、ル・ルークってもしかして英雄ルーク様の事で御座いますか?」

「そうでござるよ!ルークは私の優秀な弟子でござる」


 もう、優秀って照れるじゃないですか師匠。

 お酒でも注ぎましょうか?

 ドンドン飲んで下さいね。

 ヴィンさんに目を向けると、ヴィンさんが俺を舐める様に見ている。

 何だか品定めをされいる様な感じです。

 な・何だろう?

 何だか悪寒がして来たぞ。


「ど・ど真ん中のドストライクだわ!」


 ヴィンさんがボソっと独り言を言う。


「え!?」

「ル・ルーク様、私と結婚して~~~!」

「え!?え・え・え・え~~~!」


 ヴィンさんは急に立ち上がり、テーブルにダイブしながら俺に抱き着いて来た。

 あ~ぁ、俺の夕食がメチャメチャだよ。

 だけど、こんな風に女性に抱き着かれるなんて嬉しいな。

 アイシャ以外初めてだよ。

 そんな事を考えていると、背筋に冷たいものが走る。

 横を見ると、そこには怒りに震える夜叉がご降臨されていました。


「ギャーーーーーーーーー!」


 俺の声は貴族街に轟いた・・・


次回『第169話:アイシャ対ヴィン

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