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リアース戦記 ~鉄壁のルーク~  作者: ナナすけ
転生の章
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第16話:第5次ルザク戦役

ルザクの石垣を4⇀7mに変更。

『リの国』は広大な大地を有し、外海にも面しており、自然に恵まれた豊かな国である。

 西の隣国である『クの国』とは同盟をしており、交易も盛んに行っていて、密なる関係である。

『アの国』とは北西で一部接していて、以前は小さな争いもあったが、現在は不可侵条約も結ばれており、今では国境を超える商人もいて穏やかである。

 問題なのは南方で面している『ナの国』である。

 ナの国とはここ20年の間に数回の小競り合いが起こっている。

 ナの国が領土拡大でリの国を狙っているのである。

 東西では山脈、北はリの国・南にはエルフの里に囲まれているナの国。

 海に接する場所がほとんどないナの国は、海を欲していたのである。


 リアース、地球と同じで争いの歴史を積み上げて来た世界・・・




 リアース歴3231年 10の月11日。


 長きに渡りナの国の進行を防いで来た名将エルリック・ルザク伯爵が病に臥せってしまった。

 リの国はこの事をひた隠しにして来たが、ついにナの国に知られてしまった。

 この情報を得ると、ナの国はマナ大森林とウナン森林の間を抜け、リの国の城塞都市ルザクに進撃を始めた。

 城塞都市ルザクは、高さ7mの石垣が四方3kmで囲まれている堅固な要塞である。

 リの国の兵は、ルザクを出て1km離れた付近で防衛線を引いた。

 11日の明朝。ついにリの国とナの国がぶつかる。

 第5次ルザク戦役である。



 父ロデリックは、エターナの町の冒険者ギルド長ベルクーリの依頼を断り切れず、1カ月ほど前に城塞都市ルザクに傭兵として向かって行った。

 出発の時はいつもの狩りの時の様にあっさりとしたものだった。


「ルーク!又、出かけて来る。今回は少し長くなると思う。

 すまないが、教会でイナリと待っていてくれ」

「分かっているよ父さん!無茶な事はしないでね」

「分かっているさ!」


 そう言って、父は俺の頭を撫でた。

 俺の左肩に居るイナリも撫でた。


「イナリもルークの事頼むな!」

「キュ!」


 イナリはいつもの様に返事を返した。

 尻尾が左右に揺れている。


「シスター。すいませんがお願いします。アンもルークの事頼むな。

 皆、行ってきます!」

「ロディ!気を付けて!」

「ロディ兄さん!帰って来てね」


 シスターもアン姉さんも薄っすらと目に涙が溜まっている。

 父にとって、シスターは母の様な存在である。

 アン姉さんも、孤児で一緒に育った兄妹の様な関係だ。

 軽く右手を振って歩き出す父。


「良い子で待っていろよ、ルーク!」

「父さん気を付けて~!」


 俺は父の姿が見えなくなるまで見送っていた。

 空は青く澄み渡っていた。

 少し風が冷たい。

 秋風になって来たかな。

 父が遠くで、まだ手を振っていた・・・



 父が旅立って2カ月が経っていた。

 風の噂で、とうとうナの国との戦争が始まったと聞いた。

 ナの国が城塞都市ルザクを落とすべく約1万5千で攻めて来たらしい。

 リの国はルザクで籠城はせずに、2万の兵士で打って出たらしい。

 兵数はこっちが有利か・・・フムフム。

 両軍は、10の月11日明朝にマナ大森林とウナン森林の間の草原地帯でぶつかったらしい。

 小雨が降る肌寒い朝だったらしい。

 リの国は数の有利を利用して、包囲作戦を決行したとか。

 しかし、ナの国は数の薄い地点に集中攻撃をかけてこれを突破し、左右に割れたリの国の軍の背後を取り、片方と戦闘になったらしい。

 一度離れ離れになった軍の再集結は難しい。

 あぁ~、策士策に溺れるって展開だなこりゃ・・・

 この包囲作戦の失敗で約5千の兵士を失い、数はほぼ互角になったそうだ。

 両軍は、お互いに一度引いて軍の立て直しを図り、その後は小競り合いをしているらしい。

 お互いに決定打を欠き、消耗戦が続いて膠着状態になったそうだ。

 そして、18日夕方、ナの軍は急きょ撤退を開始した。


 話は少し戻り11日の昼、ナの国の南にあるエルフの里が、ナの国に攻めて来たらしい。

 この情報がリの国を攻めているナの軍に届くのに1週間かかった。

 この報告を聞いたナの軍は慌てて引き返した様である。

 リの軍はこれを追う事はなかったそうだ。

 実は、リの国とエルフの里とでは裏で密かに手を結んでいたらしいのだ。

 ほ~やるねぇ・・・

 リの国は先代の王が、20年前に奴隷解放令を発布した。

 これによって異種族との揉め事が減り、異種族の移民もやって来るようになった。

 リの国が一気に栄える原因ともなった。

 これに対して、ナの国は隣国のエルフの里で奴隷狩りなどしていた。

 エルフの奴隷は高値で売れるからである。

 エルフの里から憎まれるのは当然の事である。

 それで今回の密約である。

 お互いに助け合いましょうってね。

 ナの国の軍の撤退によって、第5次ルザク戦役はわずか1週間で終わった。


 今回の戦争は、戦術ではナの国の方が有利だった様だが、戦略的にはリの国が勝ったようだ。

 ナの国は撤退に追い込まれましたが、リの国は戦術の失敗で兵士を多く失っている。

 まぁ、引き分けって感じなのだろうな。

 リの国の軍は多くの兵士が亡くなったと言うけど、父は大丈夫であろうか?

 無事であってほしい。

 早く元気な顔がみたいな。

 早く帰ってこないかな・・・


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