表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
リアース戦記 ~鉄壁のルーク~  作者: ナナすけ
聖龍継承の章
164/187

第159話:天下一精霊武術大会2 組み合わせ

 リアース歴3238年 大母神テーラ感謝祭3日目 19時

 エターナ子爵本宅にて・・・


「フォッカー殿の本選トーナメント出場決定を祝して、乾杯!」

「「「「乾杯!」」」」

「「「「おめでとう~!」」」」


 現エターナ子爵の乾杯の音頭で晩餐会が始まった。

 フォッカーさんは予選を見事に勝ち抜いて、無事に本選出場を果たしたのだ。

 今晩は身内だけの小さなお祝いである。

 と言っても、エターナ子爵家の親戚一同とご老公別邸にて厄介になっている我らを入れて、それでも50人近くの人数になった訳だが・・・


「今回の大会では、我がエターナ家と縁がある英雄殿とエターナ家の代表が共に本選トーナメントに出場とは鼻が高いですなぁ」

「誠にそうですなぁ」

「フォッカー殿は、エターナの奇跡にて敵の大将を倒した強者。

 本選トーナメントでも活躍間違いないですぞ!」

「誠その通り!」

「ますます鼻が高くなりますな」

「ワ~~~っハッハッハ、正にその通りですな!」


 貴族達が上機嫌で会話をしている。

「鼻が高い」って自分達の力で勝ち得た訳でもないのに何だかなぁと思ってしまう。


「レミオンも無事に予選を通ったらしいな」


 自分の試合でレミオンの事まで見る余裕がなかったフォッカーさん。

 レミオンは元エターナの冒険者仲間だから心配してくれているのであろう。

 流石にエターナ冒険者の兄貴分らしいよね。


「えぇ、ギリギリの連続でしたけどね」


 1回戦の戦いは見落としたが、それ以降の戦いはしっかりと応援していました。

 レミオンはエターナの町に居た頃と戦い方が少し変わっていました。

 以前の戦い方は遠距離攻撃精霊術で牽制しつつ、隙あらば中距離に踏み込んでやり攻撃をするオーソドックスな戦い方だったが、今ではは敵の足場に氷を張ったり、水蒸気で目くらましをしたりと補助的な精霊術を巧みに使って翻弄する戦い方を取り入れている。

 何処となく俺の戦い方と似ている気がするのだ。


「本選ではお前やレミオンと戦いたいもんだぁ」

「えっ!俺は絶対嫌だよ~」


 俺は絶対に嫌だからな。

 俺はフォッカーさんとの模擬戦で今まで1度も勝った事がない。

 大剣での力押しのみの戦い方をするフォッカーさんとはどうも相性が悪いのだ。

 俺の仕掛ける術や罠を全て力のみで食い千切ってしまうのだ。


「そう邪険にするなよぉ~!」


 俺に抱き着きいて来るフォッカーさん。

 離せ!男に抱き着かれるだなんて寒気がするんだよ。


「あぁ~もう、これだから酔っ払いは嫌いなんだ」

「そう言うなってよ~、俺とお前の仲じゃねぇか~」


 何が俺とお前の仲だ。

 あぁ、本当に鬱陶しい!

 誰かこの酔っ払いをどうにかしてくれ~。


 しばらくの間、この酔っ払いに纏わりつかれているとルザク家に逗留しているズラビスとフィンさん達がやって来た。


「鉄壁殿、フォッカー殿、本選トーナメント表の組み合わせ表を持ってきましたぞ!」

「「本当か!?」」

「えぇ、ついでに参加者の情報なんかも仕入れて来ましたよ~」

「流石にそう云う情報は早いなぁズラビス」

「私の本業ですからね!」

「アハハハハ、確かに」


 俺とフォッカーさんはズラビスからトーナメント表を受け取って覗き込む。

 すると、更に俺達の背後にワラワラと人が集まって来る。

 皆さん、組み合わせが気になるのね。


挿絵(By みてみん)


「ゲっ!俺の1回戦の相手は、あのイスカル・ルザクかよ。

 勘弁してくれよ~」


 うわぁ~、スゲェやる気がなくなって来た~。


「お知り合いで?」

「前に話した事があっただろ。

 アイシャがバニング家の孫だと言って連れ出そうとした貴族が居たってさ」

「あぁ、あの横路恋慕の貴族様ですか。

 へぇ~、不思議な因縁ですなぁ」

「勘弁して欲しいよ全く」

「俺の1回戦の相手はバンガ男爵家の代表か・・・ルークとは決勝まで行かないと当たらないのか」


 ふぅ~良かった。


「今大会で1番の優勝候補は氷虎騎士団代表であるベルモンド・クユ騎士団長殿と言われています」

「確か前大会・前々大会の準優勝だった人だったかな?」

「その通りです鉄壁殿。

 ベルモンド騎士団長殿は前大会・前々大会と共に決勝で王都騎士団長殿に惜敗しており準優勝です」

「今回は、その優勝した王都騎士団長殿は出ていないの?」

「その通りです。

 理由は歳で衰えを感じ始めたので、もう若い者に任せる事にしたとか聞いております」


 王都騎士団長って、40代後半くらいだったっけ。

 確かに身体に衰えを感じる歳だよな。


「と云う事は、今回の王都騎士団代表は・・・」

「副団長のスレッガー・ローク殿になります。

 まだ20代後半らしいですが、剣技に優れたなかなかの強者らしいですね。

 スレッガー副団長殿は3番人気らしいです」

「2番人気は?」

「聖龍騎士団代表のクレイ・キーズ騎士団長殿ですね。

 今大会の最年長者で、3大会連続出場で3連続ともベスト4止まりです」

「実力は折り紙付きってか」

「ちなみに鉄壁殿が4番人気らしいですよ」

「俺が4番人気!?」

「ハイ!」


 うへ~、勘弁して欲しいズラ。

 変なプレッシャーを感じちゃうよ。


「俺は何番人気だ?」

「フォッカー殿は・・・16番人気・・・」

「ちっ!なんでぇ~なんでぇ~」


 あぁ、いじけちゃったよこの人。

 酔っ払いは本当に面倒くせぇ~。


「あっ、朱雀騎士団代表は、あの英雄の卵デュック・ルザク殿か!」

「ハイ、騎士団長のノリン殿に代わっての出場だそうです。

 ノリン殿は齢60を越えていますからな」

「お爺ちゃんには流石に辛いか」

「言い過ぎですよ鉄壁殿!」

「うへ!」

「今大会は、スレッガー殿やデュック殿の様に若手の代替わりが多い様ですね。

 玄武騎士団代表のヴィン・スザル殿も若い方の様です。

 ヴィン殿の事は、クロード様がより詳しいかと・・・」


 そうか、スザル家は師匠の実家だもんね。


「ヴィンは拙者の大姪御でござるよ」

「大姪御って、女性なのですか師匠?」

「そうでござる。飛んでもない跳ねっ返り娘でござる・・・

 だが、ヴィンにはすでに二天一流を全て伝授しているでござる。

 なかなかの強者でござるよ」


 うげ~マジかよ。


「騎士団代表はどの方も優勝候補である事は間違いないですね。

 賭けの方も人気対象ですよ」


 この天下一精霊武術大会は国奨励で賭け事が許されている。

 地球の競馬の様に本選トーナメントの優勝者を当てる『優勝くじ』と、優勝者と準優勝者を当てる『連勝くじ』、それと各1戦事の勝者を当てる『単勝くじ』とがあり、国民はこの賭けに熱狂的なのである。


「ズラビスから見て、気になる人物とかいるのか?」

「私としては、個人参加のジグルド・ロン殿が気になります」

「ジグルド・ロンか、どんな人物なんだい?」

「実は彼はナの国の貴族なんですよ。

 そして、まだ未確認情報ですがドラゴンスレイヤーらしいのです」

「ドラゴンスレイヤーだって!」

「ハイ、ナの国に現れた若き英雄と言った感じでしょうかねぇ」

「ナの国の若き英雄ねぇ・・・」

「後、もう一人気になる方は、ムーア侯爵家代表のナナシ殿でしょうか」

「彼はどんな人物なんだ?」

「見た目は隻眼で身体中に傷跡がある偉丈夫。

 ですが、彼に関しては経歴等の情報が全く集まらないんです」

「え!?」

「特に隠している様子でもないのですが・・・どこか不気味な方なんです」

「へぇ~、取りあえず覚えておくか」

「まぁ、本選トーナメントに残った方々は皆さん一癖も二癖もある強者者ばかりである事は間違いないでしょうな」

「そうだよな!」

「鉄壁殿やフォッカー殿のためにも、引き続き対戦相手の情報収集に当たりますね」

「助かるよズラビス!」

「い~え、友のためならばこれくらいお安い御用ですよ。

 代金は後でシッカリと頂きますし!」

「ハっ、なんだって!?タダだじゃないの?」

「情報を得るにはお金が掛かるんですよ~。

 タダな訳ないじゃないですか~」

「『友のため』が聞いて呆れるよ・・・」

「それはそれ、これはこれですよ!」

「流石、商人・・・」

「褒め言葉と受け取っておきますね!」

「ちっ!」


 口で抵抗してもズラビスに勝てる気がしねぇ。

 この後、俺は泣く泣く高い代金を支払うのであった・・・


次回『第160話:天下一精霊武術大会3 殺意』をお楽しみに~^^ノ

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ