第135話:吾輩は竜である
リアース歴3237年 8の月7日17時前。
ギドの町中にて・・・
「助太刀致します!」
俺は鉄人君1号2号を引き連れて竜の戦いに参戦する。
「済まない、助かるぜ!」
リーダー役っぽい人に取りあえず挨拶をしておく。
「おい、ゴーレムを2体も引き連れているぜ!」
「奴はいったい何者だ?」
冒険者達の中からヒソヒソ声がする。
2体同時生成は物珍しいからなぁ。
こうなる事はある程度分かっていたけどさ。
「アイシャ、リン、イナリは遠距離で援護を頼む!」
「分かったわ!」
「ハイです!」
「キュ!」
「アイシャ、竜は火を吐くようだから、もしもの時はバリアをね」
「分かっているわ!」
「オイ、君は何を勝手に支持を出しているんだ!」
先ほど挨拶をした人が文句を言って来た。
まぁ、まだ若い冒険者が勝手に支持を出したらそう言うわな。
「俺は鉄壁のルーク!名を聞いた事くらいはあるだろう。
済まないが俺の指揮下に入って貰いたい」
「え!彼方が鉄壁のルーク?」
「そうだ!」
「「「鉄壁のルークだってよ!」」」
「「「本物か?」」」
「分かった、ここは君を信じよう!今はは疑っている場合でもないからな」
「助かります!」
ふぅ~、話が分かる人で良かったよ。
さて、どうやって竜と対峙するかなぁ?
竜は今のところ飛ぶ気配がない。
竜に飛ばれたらやりようがないからなぁ。
竜はそれを分かっていてワザと飛ばないでいるのかな?
だったら俺達を随分と舐めているな。
「ゴーレム2体を竜に突っ込ませて空に逃げられない様に何とか抑え込みます。
遠距離攻撃を出来る方は、ゴーレムの援護をお願いします。
近距離の方は、ゴーレムの抑え込みに成功したら一斉攻撃をお願いします」
「「「「おぉ!」」」」
「ただ、竜が吐く炎には気を付けて下さい。それと何か隠しワザを持っている可能性がありますので、それの警戒だけは常にしていて下さい。」
「「「了解した!」」」
「「「分かったぜ!」」」
「では、ゴーレムを突っ込ませますよ!」
「「「「おぉ!」」」」
鉄人君1号2号がズシンズシンと地響きをさせながら走って行く。
それに合わせて弓や精霊術の遠距離攻撃が始まる。
「ガオォォォー!」
竜が天に向かって吠える!
「出でよ壁!『ウォール!』」
俺は急いで、俺や冒険者達の前に土壁を立ち上げる。
竜の叫びは土壁によって遮られ、土壁はビリビリと震える。
「「「う・動けねぇ!」」」
「「「な・なんだこれは?」」」
土壁の壁に隠れられなかった数名が身動きを封じられて声を上げる。
竜め、やっぱり持っていやがったか。
これはレッドベアの変異種と同じ特殊な『咆哮』だ。
持っている様な気がしてしたんだよなぁ。
「奴の咆哮は動きを封じます!皆さん、気を付けましょう」
「「「「おぉ!」」」」
竜の咆哮で身体が押し戻された鉄人君が再度突っ込みを開始する。
竜が口から炎を放つ。
俺はもう1度ウォールを唱えて皆を護る。
ミスリルで出来た鉄人君1号は頑丈さが取り柄なのでビクともしなかったが、土で出来た2号君が所々崩れてしまった。
「やってくれるぜ!新しき従者よ出でよ!『ゴーレム!』」
俺は再度2号君を生成し直す。
核の魔石は大丈夫だった様で、その場で2号君はすぐに復活を遂げる。
「突っ込め1号2号~!今度こそ奴を捉えるんだ」
俺の掛け声に合わせて鉄人君達の走りが加速する。
流石、俺の自慢のゴーレム。
走る速さが半端ないぜ!
もう少しで竜に触れられそうな所で、竜の翼が広がる。
来たか!
いよいよ空に逃げるつもりだな。
だが、そうはさせない。
「出でよ壁!『ウォール!』」
俺は竜の足元にウォールの術を展開する。
今度は土の塊が竜の足を覆い隠して、奴を飛ばせない様に足を捕まえる。
これでどうだ!逃げられないだろ?
今日は土の精霊術のオンパレードだぜ。
流石に魔力がゴッソリと持って行かれたけど。
竜が土の足枷でもがいている間に鉄人君達がとうとう奴に取りついた。
これで竜の翼を封じる事に成功したな。
「さぁ、一斉攻撃だ!」
「「「「おぉ!」」」」
皆が一斉に竜に向かって走り出す。
勿論俺もだ。
その時だ!
『吾輩は偉大な竜族の戦士である!お前は何者だ?』
俺の頭の中に何かテレパシーの様な声が響いたのであった・・・
次回『第136話:吾輩は英雄である』をお楽しみに~^^ノ