表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
リアース戦記 ~鉄壁のルーク~  作者: ナナすけ
歌一座放浪記の章
138/187

第134話:煙が上がる町

 リアース歴3237年 8の月7日16時過ぎ。

 キドの町から南東5km辺り街道沿いにて・・・


「主様~、今日中にはキドの町に着きますかねぇ?」

「う~ん、もうすぐだと思うんだけどなぁ」


 俺は馬型鉄人君の上で地図と睨めっこをしている最中です。


「あぁ、早く麺と云う物を食べてみたいですぅ~。麺が私を呼んでいる~!」

「まぁ、リンちゃんたら食べる事ばっかし!」

「それが私の生き甲斐なのですよ奥様~」

「うら若き乙女が何を言っているのよ!」

「私も恋の一つでもしてみたいのですが、行く先々碌な男が居ません。

 主様の様に残念な男ばかりです!」


 オイ、今何て言った?

 リンにだけはそのセリフは言われたくありません。


「確かにねぇ・・・」


 えっ、アイシャまでそんな事言うの!

 俺泣いちゃうからねぇ~。


「でもね、リンちゃん!完璧な男何て存在しないのよ」

「あぁ、確かにそうかもですね!」

「妥協が肝心なのよ、妥協が!」

「なるほど~」


 妥協!

 ひ・酷いざます!

 あんまりだわ、あんまりよ~~~。


「あれ?何か前方で煙が上がっていませんか?」

「「煙?」」


 リンの言葉に俺とアイシャが同時に反応する。

 煙か~、ん~~よく分かんないなぁ。


「間違いないです!あれは煙ですね」

「キュキュキュ~!」

(リンの言う通り何か燃える臭いがしてくるよ~!)

「イナリ殿も燃える臭いがすると言っておられます」

「分かった!取りあえずその煙に向かって急ごう」

「そうね!」

「ハイです!」


 馬型鉄人君をかっ飛ばす。

 煙が見えるのは前方と云う事なので、取りあえず街道沿いに進む。

 しばらくすると、俺の目にも煙だと云う事がハッキリと分かって来た。


「もしかして、あの煙はキドの町から上がっているんじゃないのか?」

「そうかもしれないわね!だったら尚更急がなきゃ」

「そうだな!」

「町から煙が?・・・わ・わ・私の麺が~~~!」


 お前の麺じゃな~い!

 そこは食い気を忘れろよ~。



 煙に近付いて行くと、町らしきものが見えて来た。

 やはり町から煙が上がっているのだ。

 それも煙は一つではなく、数本の煙が空に向かって伸びている。

 いったい何が起こっている?

 大きな火事でも起こっているのであろうか?

 もしかしてスタンピード?

 俺の頭は嫌な予想でいっぱいになる。


「主様!どうやら人が町から逃げ出している様です」

「あぁ、その様だな!クソっ、町の中では何が起こっているんだ?」

「我先にと逃げ出している様に見えるわね!」


 アイシャの言う通りだ。

 大勢の住人が何かから必死に逃げている様に見える。


「オイ、いったい何があったんだ?」


 町から逃げて来た一人の男を見つけて何事が起きたか聞いてみる。


「りゅ・竜だ!竜が突然町中に現れて火を吐きながら人を襲っているんだ」

「竜が人を襲っているって?」

「あぁ、そうだ! 冒険者達が皆を逃がそうと戦ってくれているが、あれじゃたぶん無理だ。

 お前達もここから早く逃げた方が良いぞ!」


 男はそう言って町とは逆の方向へ走って行ってしまった。


「クソっ、よりによって竜かよ!」

「まだ、逃げ遅れている人も居る様ね!」

「その様だな!」

「貴方、助けに行かなきゃ!」

「分かっているさ!」


 馬型鉄人君を町の中へと走らせる。

 悲鳴を上げながら走って逃げる人達とすれ違う。

 俺達に助けを求めて来る人もいる。

 俺は本心から言えば逃げ出してしまいたい。

 竜と戦うなんて真っ平御免だよ。

 だけど、ここは戦わなきゃいけないんだと思う。

 嫌、戦わないといけないんだ!

 ビルギット様にお願いされたじゃないか。

 国の民を護ってやってくれってさ。

 ハァー、何で英雄なんかになっちゃったんだろうなぁ・・・


 町中を進んで行くと、竜の姿が見えて来た。

 うわ~、翼もあれば尻尾もある。

 まさに物語に出て来る竜そのまんまや!

 その竜は、全身が真っ黒で体長3~4メートルくらいの大きさだ。

 うん、思っていたほどデカくはないな。

 周りを見渡すと、まだかなりの数の冒険者がいる。

 よし、これなら何とかやれそうかな。


「皆、戦闘準備だ!」

「分かったわ!」

「ハイです!」

「キュ!」


 俺の指示で皆一斉に馬型鉄人君から降りる。

 俺は一度鉄人君との繋がりを切り、改めて詠唱を始める。


「新しき従者よ出でよ!『ゴーレム!』」


 バラバラ崩れたミスリル鉱石は、俺の詠唱で又新たに人型の鉄人君として生まれ変わる。

 体長2m超えのミスリルゴーレムの完成じゃ~。

 そして、更にもう1回詠唱を始める。


「新しき従者よ出でよ!『ゴーレム!』」


 今度は普通の土で出来た鉄人君が生成される。

 同じく2m超えの普通のゴーレムじゃ~、何か文句あるか~。

 今回はゴーレム2体で行く。

 竜相手に出し惜しみなんてしていられないからね。

 さて、竜退治の始まりじゃ~!


 こうして俺は竜と戦う事になったのであった・・・


次回『第135話:吾輩は竜である』をお楽しみに~^^ノ

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ