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リアース戦記 ~鉄壁のルーク~  作者: ナナすけ
幕間
131/187

第127話:早馬

第127話:早馬


 リアース歴3237年 3の月16日11時。

 リの国首都ザーン王の間にて・・・


 齢61になるリの国王ヘルベート・リ・ザーンは、銀髪で青目、口ひげ顎ひげを蓄えており、中肉中背で身長は173cm。

 彼は良き王として国民から慕われている。

 その国王は、今日も王の間と呼ばれる執務室で、嫌々ながらも書類の束に決裁印を押していた。

 王の間からは国王が書類に印を押す音だけがメロディの様に聞こえて来て、そこだけ静かな時間が流れていた。

 だがそこに、嵐の様にうるさい男が急きょ現れる。

 

「へ・陛下!ルザクから、城塞都市ルザクから早馬で御座います。

 い・急ぎ、この書簡に目を!」


 陛下の間に慌ただしく駈け込んで来た男は宰相のバート・ロンメル公爵である。

 今年で42歳になる彼は、恰幅の良い身体で身長170cm。金髪に青目である。

 リの国の政務を一手に担うやり手の宰相であるが、騒々しいのが彼の欠点である。


「ルザクから早馬だと?バート宰相よ、早く書簡を貸せ!」

「ハ・ハイ、陛下!」


 バートは、早馬が持って来た書簡を国王に渡す。

 国王は書簡を急ぎ開いて、中身の書面を読み始める。

 バートは、国王が読み終えるのを待つ。

 国王の顔が見る見るうちに青ざめて行くのが分かる。

 あのルザクからの早馬なのだから、良くない知らせであろう事は大よそ予想がついている。


「3の月1日、1万5000の兵でルザクに攻めかかって来たそうじゃ。

 ナの国め、やってくれるわい!」

「3の月1日、15日前で御座いますか・・・」


(普通なら3週間以上かかる道を僅か15日間で・・・使者を労わってやらねばならんな!)

 バートは疲れ切って書簡を届けた使者を思い出していた。


「急ぎ、騎士団に援軍の準備をさせろ!明朝に出発させるのだ」

「ぎょ・御意!それと王太子様にもご出発の準備をして頂いた方がよろしいで御座いますか?」

「勿論だ!」

「御意!」

「それとバニング領にも急ぎ使者を立てろ!東から攻めて来る可能性のあるからな。

 まぁ、ルザク伯爵の方からもすでに使者が言っていると思うがな」

「御意!」


 城内はハチの巣をつついた様な騒ぎとなった。

 前々からナの国の動きはある程度掴んでいたが、ここまで速いとは予想外だったのである。

 37歳になる王太子エリオット・リ・ザーンの指揮の下、王国騎士団1万の兵がルザクに向けての準備を急ぐ。



 同じ日の20時過ぎ。

 国王一家は、明朝出発する王太子を激励すべく、一家揃って晩餐をしていた。

 そこへ新たな早馬が首都ザーンに辿り着く。


「へ・陛下!お食事中のところを大変申し訳御座いませんが、再びルザクからの早馬が来ました」


 国王一家の晩餐の場に、又もや嵐の様な男バート宰相が現れる。


「何だと!まさかもう落とされた訳ではあるまいな?」

「わ・分かりません。失礼かと思いましたが、取り急ぎこちらに書簡をお持ち致しました。

 どうかお読み下さいませ!」

「そうか、大儀である!」


 午前中と同じ様にバートは書簡を国王に渡し、国王は書簡を開き、中身の書面を読み始める。

 しかし、今回は午前中と違い、顔が段々と赤くなって行く。

 怒っている様ではなく、何か興奮してなさっている様だとバートは思った。

 そこで国王は大きな声で笑い出した。


「ワ~ッハッハッハ!これは実に愉快だ。若き英雄よ、でかした!」 

「「「「若き英雄?」」」」


 バートだけでなく、その場に居た者全てが国王の発した言葉へ聞き返す。


「あぁ、あのエターナの英雄だ!

 あの若き英雄が、戦を半日で終わらす大手柄をしたのだよ。

 これが愉快でなくて何だというのだ。皆、酒を持て!祝杯を上げるぞ

 いや~実に愉快だ、ワ~ッハッハッハッハ!」

「父上、私にもその書簡を見せて下さい!」


 エターナの英雄に寄って戦が終わったのは良いが、その内容を説明してくれない国王に業を煮やした王太子が自ら書簡を見せて欲しいと願い出る。


「おぉ、構わん構わん!お前も読め」

「では!」


 書面を読み出した王太子は、国王と同じ様に顔が段々赤くなって行く。


「王太子殿下、内容はどのように?」


 王太子と同じ様に内容を早く知りたいバートが待ちきれずに聞く。


「わ・若き英雄は、ナの軍の後方で待機していた補給物資部隊を襲って火を放ったらしい。

 ついでにその部隊を率いていたナの国の王位継承権を持つマンセル殿下の拉致に成功して、ルザクまで連れ帰ったと書いてある。

 そこで、ルザク伯爵が速やかに停戦協定を結び、僅か半日で戦が終わったそうだ。

 こちらの死傷者は数える程度。

 停戦協定により、3年の不可侵条約と多額な賠償金をせしめる事に成功したそうだ」


 王太子は書面の内容を興奮しながら説明をした。

 王太子の説明により、晩餐の場は歓喜の声が上がる。


「す・素晴らしい!誠に王国の英雄だ」


 バートは、王太子が説明した驚愕の内容に感激し震えていた・・・


次回はある真実が明らかに!@@

次回『第128話:秘密』をお楽しみに~^^ノ

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