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リアース戦記 ~鉄壁のルーク~  作者: ナナすけ
盾の継承の章
125/187

第122話:第6次ルザク戦役2

 リアース歴3237年 3の月1日1時。


「奴らを絶対に捕まえろ~!」

「マンセル様を取り戻せ~!」

「クソっ!こっちは土壁で前を遮られた!」

「俺達に任せろ~!」

「逃がすな~!」


 2頭のゴーレム馬をナの軍が追いかけている。

 俺達はナの兵士から必死で逃げている最中なのだ。

 逃走を開始してすでに2時間近くが経過している。

 後方部隊の追撃を一度は振り切った俺達であったが、別の部隊(左翼部隊)に見つかり、予想していた逃走ルートよりも遥かに大回りに迂回して逃走していた。

 ルザクまでは目と鼻の距離なのだが近くてとても遠い。

 度重なる術の行使に魔力がすり減り、マジックポーションを使って魔力を補いつつも、流石に限界が見えて来た。

 俺もアイシャもすでにヘトヘトの状態である。


「鉄壁殿、正面からも新手が来たぞ。ど・どうするんだ?」


 前から新手でだって?

 これ以上はこっちの身が持たないよ。

 クソ~、これまでか!

 俺の見立ては甘かったか。

 アイシャ、イナリ、リン、フィンさん達ゴメンよ。

 俺は先頭を走っているフィンさん達の方に振り返る。

 確かに前方から騎馬兵がやって来ている。

 統率の取れた見事な騎馬隊だな。

 あれ?あっ、あれは!

 真っ赤な鎧で統一された集団。


 朱雀騎士団!


 朱雀騎士団騎馬隊が助けに来たのだ。

 その雄姿は、前世で見た時代劇の赤備えの武田騎馬隊みたいでカッコいいや。


「貴方、あれは!」

「あぁ、その通りだよアイシャ!」

「フィンさん、あれは味方です!」

「味方?」

「そうです!ルザクの朱雀騎士団の騎馬隊です。

 俺達を助けに来てくれたんですよ」

「俺達を助けに・・・」


 赤を基調とした朱雀騎士団は炎の加護持ちが多い。

 攻撃力で言えば、玄武・聖龍・朱雀・氷虎4騎士団の中では最強であると言われており、彼等から繰り出される炎の術はナの軍では恐れられているのだ。


「朱雀騎士団が出て来たぞ!」

「炎の術に注意するんだぁ!」

「水の加護持ちは前へ出ろ~!」

「た・盾を構えろ~!」


 俺達を追って来るナの兵士達の勢いが僅かに弱まる。

 さては朱雀騎士団を恐れているな。

 もう少しの辛抱だ!

 もう少し辛抱すれば逃げ切れる。


「英雄殿をお助けしろ~!」

「「「「おぉ!」」」」


 前方から来る朱雀騎馬隊から威勢のいい声が上がる。

 本当に俺達を助けに来てくれたんだな。

 有難や有難や!


「英雄殿~!」


 ん?聞き覚えのある声だぞ。

 あっ、あれはアインさんだ。

 アインさんまで助けに来てくれたんだ。

 ウゥゥ、涙が出そうだよ!


 間もなくして朱雀騎士団との合流がなった。

 俺達と合流をした朱雀騎馬隊は踵を返し、俺達と共にルザクに向かう。

 ナの兵士達はもう追っては来ていない。

 俺達が乗る馬型鉄人君1号にアインさんの乗る馬が並走して来た。


「英雄殿、ご無事で何よりです!」

「アインさん、助けに来てくれて有難う!」

「な~に、当たり前の事をしただけですよ!

 我々は彼方に多大なる借りがあるのですから」

「多大なる借りって・・・」

「それにしても、どうしてこんな無茶をしたんですか?

 望遠鏡とやらで彼方達を見た時は心臓が縮む思いでしたよ」


 すでに望遠鏡が配備されていたのかぁ。

 こりゃあ、ズラビスとトンカラに助けられたな。

 今度、一杯おごって上げなくちゃな。


「あぁ、そりゃあ大変申し訳ない事をしました。

 実はちょっとしたお土産を取りに行っていまして・・・」

「お土産?」

「えぇ、戦争が止められるかもしれない飛んでもないお土産です!」

「戦争を止められるお土産?」


 俺はニヤニヤしながら、前を走る2号の腰の上の荷物を見る。

 それはロープでグルグル巻きにされた哀れな姿をした人物。

 マンセル・ナ・ハンブルその人である。

 俺の視線を追う様にアインさんがマンセルを見る。


「英雄殿、いったいあれは何方なのですか?」

「マンセル・ナ・ハンブル!ナの国のハンブル大公のご子息だよ」

「な・なんですって?」


 アインさんが大きな声を上げて驚く。

 まぁ、驚くのも無理はないか。

 ナの国の王位継承権を持つ人物だからな。


「その様な御仁をいったいどうやって?」

「見つけたのは偶然さ。拉致をした方法は・・・まぁ、企業秘密と云う事で!」

「そ・そんな~!」

「ハハハハハっ!それよりもルザクへ到着次第、伯爵に合わせて頂けますか?」

「勿論です!お任せください」


 一時はどうなるかと思ったが、俺達は何とか無事にルザクまで辿り着くことが出来た。

 この拉致作戦の成功により、戦は一気に動こうとする・・・


次回『第123話:第6次ルザク戦役3』をお楽しみに~^^ノ

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