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リアース戦記 ~鉄壁のルーク~  作者: ナナすけ
盾の継承の章
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第112話:城塞都市ルザク

 城塞都市ルザクは、高さ7mの石垣が四方3kmによって囲まれており、その石垣の周りには幅が20mもある水が流れる深い堀で囲まれている。

 更にその堀から100m離れた位置に再度同じ水堀と鉄線で出来た柵で砦を囲んでおり、見事なまでに堅固な砦となっている。

 ナの国からの攻撃を20年以上も護り続けるこの砦は、近年では最も堅固な砦としてリアースで有名なのである。

 その名砦にルーク達はついにやって来た・・・



 リアース歴3237年 1の月25日16時。


「ふぅ~やっと着いた!それにしてもデカイなぁ!」

「ルーラを見た時も驚いたけど、こっちも又凄いわね!」

「そうだねぇ!」

「この様な町が他にもまだあるのですか?」

「まだまだあるよ!それに首都ザーンはここよりも更にデカイはずだよ」

「人族の住む所は凄いんですねぇ!」


 城塞都市ルザクの裏門を抜け、石畳で出来た大通りを商業ギルドに向かう乗り合い馬車一行。

 俺とアイシャ、リンは馬型鉄人君の上で城塞都市ルザクの圧倒的なデカさに驚いていた。

 リンは特に驚いている様だけどね。

 高く長~く街を囲っている石垣。

 その石垣を更に2重の堀で囲み、見た目でも堅固だと云う事が分かる。

 街の中には城の様大きな建物があり、俺は前世で見た大坂城の様なイメージを思い出してしまった。


 それにしても人が多いなぁ。

 人は確かに多いんだけど、ルーラの様な活気さとは何処か違う感じがする。

 どこか殺伐した感じがすると云うかピリピリした空気感を感じるのだ。

 あの赤い鎧を着た集団は、きっと朱雀騎士団だな。

 北のスザル家は緑の玄武騎士団、東のバニング家は青の聖竜騎士団、西のルーラ家は白の氷虎騎士団、そして南のルザク家は赤の朱雀騎士団として有名だもんなぁ。

 他にも冒険者と云うか傭兵みたいな人が多いなぁ。

 他の町と違って、騎士や傭兵、冒険者の比率が町の住人よりもかなり多そうだ。

 ズラビスが言っていた様に、戦争が近いせいだろうか?

 ガラの悪そうな奴らも多そうだし、こりゃあ気を付けないといけないな。



 程なくして、乗り合い馬車は商人ギルドに着いた。

 これで護衛依頼は無事終了である。

 25日間の旅は流石に疲れましたわぁ。

 まずは早く宿屋を決めて、2~3日はゆっくりとしたいな。

 

「鉄壁殿、これから打ち合上げでもご一緒にどうですかな?」

「そうそう、一緒に飲むでげすよ!」


 ズラビスとトンカラからの嬉しいお誘いだ。

 これが一緒に飲む最後になるかもしれなし受けるとするか。

 アイシャの方を見ると、無言で頷いてくれた。

 流石、我が愛する妻だ。

 意思疎通は完璧だね!


「宿屋を先に決めておきたいから、後で合流しようぜ!」

「分かりました!では18時にここの商人ギルドの前で待ち合わせと云う事で」

「了解だ!では後で」

「ハイ!」

「何をやっているんだいズラビス、早く冒険者ギルドに報酬を貰いに行くよ!」

「お嬢、待って下さいよ~!」


 ズラビスはダリアに引きずられる様に去って行った。

 さぁ、俺達もまず宿屋を決めなくちゃな。


 宿屋は一人銀貨6枚の少し高めの宿屋に3日間宿泊する事に決めた。

 ガラの悪そうなのもいるし、安い宿屋だと何かと心配だからね。

 今回は、俺達夫婦とリンは別の部屋のして貰ったよ。

 こ・これで溜まりに溜まった性欲を開放する事が出来るのであります。

 ガルルルルルル~、今晩は野獣となって見せようぞ。

 ムスコよ、もうしばしの辛抱じゃ!


 宿屋を決めた後は、冒険者ギルドに行って報酬を貰い、その足で待ち合わせ場所の商業ギルドへ向かう。

 商人ギルドに着くと、凄い人だかりが出来ていた。

 その人だかりの中からズラビスの声が聞こえて来た。


「あっ、鉄壁殿~、聖女殿~、リン殿~、こっちこっち~!」


 ズラビスの野郎、デカイ声で鉄壁とか聖女とか言うんじゃねぇよ。

 人だかりの人達の視線が俺達の方に向いたじゃねぇか。

 こっちを見ている人達が俺達を見てヒソヒソと話しだす。

 は・恥ずかしいわ~!


「ズラビス、声がデカいって!」

「あっ、こりゃスイマセン!申し訳ないっす」

「バカだなぁ、ズラやんわ~!」

「貴方に言われたくないですね、トンカラ!」

「何を~!」

「やりますか?相手になりますよ!」

「2人共、バカやるのもいい加減におし!」

「「へ・へい!」」


 め・目立ちまくっている!

 こいつ等は、人は良いんだけど根っからのおバカなんだよなぁ・・・

 一緒に居ると恥ずかしいわ~。


「で、この人だかりは何なんだよズラビス?」

「この間お話した英雄の卵のせいですよ!」

「あの卵か?」

「そうです!あの卵です」

「た・卵!主様、何か珍しい卵でも売られているのですか?」


 卵と聞いてリンが涎と垂らして俺に聞いて来る。

 君も本当にブレないねぇ。

 相変わらずの食い意地キャラで嬉しいよ俺は。


「違うよ、英雄の卵!将来、英雄になるであろう人さ」

「「へぇ~!」」


 アイシャとリンが同時に声を上げる。

 そう言えば、英雄の卵の話は俺とズラビスとトンカラの3人の時に出た話で、2人とも知らなかったんだっけ。

 人だかりに混じると、目の前を赤い鎧意を着た朱雀騎士団がビシっと整列しながら歩いて行く。


「キャー!デュック様こっちを向いて~!」

「「「キャー、素敵~!」」」

「「「デュック様~!」」」


 朱雀騎士団副団長で英雄の卵と言われるデュック・ルザクに黄色い声が飛び交う。

 人だかりの中から見たデュックはエルフの血を引いているだけに本当に美形だ。

 俺が今まで見た男の中で一番の美形だな。

 俺よりも美形とは本当にけしからん。


「あら、本当に素敵だわ!」

「確かに美形ですね!主様よりも良い男です」


 アイシャとリンが揃ってデュックを褒める。

 い・いじけちゃうよ俺!


 アイシャとリンの声がたまたま耳に入ったデュックがルーク達の方を見る。

 ルークとデュックの視線が交わる。

 これがルークとデュックの最初の出会いであった。

 英雄と英雄の卵の出会い。

 この出会いは何を意味するのか?

 それは天のみが知っている・・・


次回『第113話:マナの洞窟』をお楽しみに~^^ノ

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