第10話:水遊び
リアースは地球の気温に比べると若干高温多湿である。
赤道付近は、熱帯で気温の変化が少なく常夏の様である。
年間で雨量の差は多少あるが、それでも安定している。
中緯度くらいになると、日本の春夏秋冬の様な四季があり、季節ごとに美しい。
過去に地殻変動による大きな気温の変化もないので砂漠化した様な所もなく、大陸全体が緑で青々としている。
リアースとはそんな住みやすい所である・・・
リアース歴3230年 8の月14日。
あれからあっという間に2年が経ち、俺は9歳になりました。
身長も順調に伸びて着ており、今では130cmを超えました。
(順調順調!)
毎日の走り込みのお陰で、体力や脚力も日に日に付いて来ています。
力コブも大分固くなって来たんだよ~。
お腹の筋肉はまだ割れていないけどね。
目指せ!理想の細マッチョだ。
頑張れ俺!負けるな俺!
今年のルタ村の夏は特に暑い。
西の大山脈から降りて来るフェーン現象みたいな影響のせいかな?
とにかく暑いです。
ルタ村の子供達は、教会のアンジェさんの引率で、毎日の様に川に水浴びに来ています。
村のやや外れに流れる小川に極端に流れが緩やかで浅瀬の所がある。
周りには森や林が無く、若干草が高い所がありますが、割と見渡しやすい草原となっています。
風が吹くと草原のサワサワとした感じが、とても心地よいです。
そんな場所で俺達は水遊びをしています。
14歳以下の村の子供達は俺を入れても10人。
年上の者が年下の者の面倒を見て、皆仲良くワイワイと水遊び中です。
「アン『姉』さん!ジークがウ○コしたいってさ」
俺は大きな声で『姉』を強調して言った。
だって、姉さんって言わないとアンジェさん怖いんだよ。
アン姉さんは父さんと一緒に孤児園で育ち、そのまま教会のお手伝いをしている。
茶髪の藍色の瞳で、ほっそりした体形。
バストCくらいかな?
俺の父さんとそんなに歳変わらないくせにさ。
あ!アン姉さんが睨んでいる。
少しワザとらしかったか・・・
「ルーク兄ちゃん!そんな大きな声で言わないでよ。僕、恥ずかしいよ~」
去年からルタ教会の孤児園にお世話になっている2歳年下のジーク。
父親が魔物にやられ、母親は病気で亡くなって孤児となってしまったのだ。
ジークは金髪でボブっぽい感じの髪型をしており、目が青く瞳が大きい。
小顔で女の子に間違えられそうなひ弱なイメージの男の子です。
ジークは俺の事を兄ちゃんと言います。
懐かれています。
困った顔が可愛くて、今ドキっとしました。
あえてもう一度言います。
ジークは男の子です・・・
「ジーク!こっちにいらっしゃい。そっちの草の陰で用を足しますよ」
「ハイ!アン『姉』さん!」
プププッ!つい吹いてしまった。
皆もクスクス笑っている。
(グッジョブだぜジーク!)
「もう、ジークまで!」
アン姉さんは、俺をキッと睨んだ。
え~っ!俺のせいなの~?
げ 解せぬ!
「も・もれそう!」
ジークがブルっと震えた。
「さぁ、ジーク早く!」
アン姉さんとジークは草の影に消えて行った。
5分くらい経っただろうか?
イナリが俺の肩で鼻をヒクヒクさせている。
「ん?イナリどうかしたか?」
「キュキュ!」
イナリはアン姉さんとジークが消えて行った方を見つめている。
又、鼻がヒクヒクと動く。
「キュ!」
イナリは俺の肩をジャンプして、アン姉さんとジークの方に駆けだした。
「お・おいイナリ!待てって!」
俺も慌ててイナリを追いかけ様とする。
その時だ!
「キャーーー!ジーク逃げて~」
「うわ~!アン姉さん!ルーク兄ちゃん、助けて~!」
少し離れた草原の奥から甲高い悲鳴が聞こえて来た。
俺はその方向に駆け出した。
途中、水辺側の皆の方に振り返って叫んだ。
「皆は川から上がっていつでも逃げる準備をしておいて。
僕がアン姉さん達を見て来る。クリスさん、後を頼みます」
クリスさんとは13歳になる農家の息子さんだ。
アン姉さんを除いて一番年上となる。
「わ・分かった!ルークも気を付けて。何かあったら大きな声を出して」
「ハイ!」
後はもう後ろを振り向かずイナリの後を追って走った。
悲鳴がする奥の方へ・・・