第100話:ダークエルフ
100話まで書き続ける事が出来ました^^
これからも頑張ります( ̄∇ ̄)ゞ
エルフ族は人間族と比べるとやや小柄でほっそりとした体に、すらりと伸びる手足、浮世離れした神秘的な美しさをしており、外見において最も特徴的なのは尖った耳であろう。
自然と共に生き、人間族よりも長寿であり、精霊術にも長けている。
性格は傲慢で偏屈、融通の利かなさも見られる。
エルフ族の中にはダークエルフと言われる者が少数存在している。
特徴は上記とほぼ同じであるが、肌が褐色である事と使える精霊術が闇属性だけと云う点が違っていた。
そのダークエルフはエルフ族の中で迫害を受けていた。
肌の色が違う、使える精霊術が違うと云うだけで・・・
彼らはエルフ族と一緒の森で住む事は許されず、他でひっそりと暮らしている。
エルフ族は奴隷として高値で売買をされるが、希少なダークエルフは更に高値で売買されるため、奴隷商人が常に彼等を付け狙っている。
彼等に安住な場所などない。
ダークエルフとは、そんな可哀想な種族である・・・
リアース歴3236年 12の月23日23時半。
俺は野宿用の簡易型竪穴式住戸の中で、目を閉じ耳を澄ませて周りの音を拾おうと集中していた。
俺の横ではアイシャがスースーと寝息を立てながら寝ている。
イナリも寝てはいるが、時折鼻や耳がピクピクと動いているので警戒しながらの浅い眠りであろう。
空気穴の外からは、遠くで鳴くフクロウの声やブラックウルフの遠吠えが聞こえて来る。
少し風が出て来たかな?
木の葉がサワサワと揺れる音も聞こえて来た。
外は寒いんだろうなぁ。
外への意識を消すように俺の目の前でパチパチと焚き木が燃える音がする。
静かな夜だ。
俺の考えすぎだったのかな?
眠気覚ましのお茶を飲みながらフッとそんな事を考える。
何事もなければそれで良いさ。
そして俺は又耳を澄ませ外の音に集中する・・・
イナリはルークと同じ様に目を閉じ耳を澄まして、微かに漂う色々な臭いを嗅ぎ分け、地面から伝わって来る数々の振動などに集中していた。
ルークが何度目かのお茶の飲んでいる時、ある匂いに気付く。
風の向きが変わって気付けたのだ。
ルークの言っている事は正しいかった。
どうやら何者かが少し離れた所の木の上でこちらを見張っている様だ。
いったい何者であろうか?
今まで嗅いだ事のない匂いだ。
こちらに近づいて来る気配はまだ感じない。
動かないのであれば問題なかろう。
もし少しでも動いたならばルークに知らせてやろう。
イナリはその者の匂いと音に集中する。
微かな動きも見逃さない様に・・・
そろそろ日付が変わった頃かな?と俺は思った。
外への意識を一旦止めて、目を開けてお茶を新た入れ直す。
その時、イナリが目を覚ました。
「キュ!」
(来た!)
イナリが静かな声鳴いた。
俺はイナリが「奴が来たよ」と言っていると直感で察した。
「アイシャ起きて!」
俺はアイシャを軽く揺すりながら小さな声で起こす。
アイシャの上半身がムクっと起き上がった。
「来たの?」
「あぁ、その様だ!」
アイシャは寝ぼけている様子もなく、意識がハッキリしている様だ。
熟睡はしていなっかんだね。
アイシャは腰の短剣を手に取り、俺の隣りに来る。
「カサ!」
枯れ葉を踏む足音が微かに聞こえた。
奴は音を立てない様に真っ直ぐこっちに近付いて来る。、
枯れ葉トラップのお陰で微かに枯れ葉を踏む音がするから分かるんだ。
奴はすでに近くまで来ている。
俺達は敵に勘付かれない様に息を殺し、奴が来るのを待つ。
太刀の柄を握る右手が汗ばんで来る。
たぶんもう目と鼻の先の距離だろう。
(入口なんてないぜ!)
簡易型竪穴式住居の入り口は土壁ですでに封じており、奴が入って来る場所はない。
土壁を壊さない限り入って来ることは出来ないのだ。
それにして、完璧にカモフラージュしてあるこの場所を迷わず真っ直ぐここに来るとは、やはり遠くからずっとお俺達を見ていたのであろうか?
イナリも途中まで勘付いていなかった様だし、そうだとするとかなり目が良いのだろうか?
それとも鼻や耳がイナリより良いのか?
いったいどんな奴なんだろう?
俺達と奴の間に静かな時間が流れる。
極僅かな時間だが、やたら長く感じるぜ。
その時、空気穴から何か黒いものが入って来た。
(か・影?)
その影の様なものは俺達に襲い掛かって・・・来ず、俺達をスルーして晩飯の残りの雑炊が入った鍋に向かって行く。
オイオイ、狙いは飯かよ・・・
「出でよ壁!『ウォール!』」
俺がイメージしたのは、奴を四方囲む壁と次いでそれを塞ぐ天井。
そう、牢屋みたいな物をイメージしたのだ。
「し・しまった!」
外から声が聞こえて来た。
どうやら上手く行った様だな。
奴が仮牢屋に閉じ込められると空気穴から入って来た影が消えた。
俺は簡易型竪穴式住居に出入口を作り、皆で外に出る。
「な・何だこれは?ここから出せ~!」
仮牢屋の中からは女の声が聞こえて来る。
「女性みたいね?」
「そうだね・・・」
「キュ!」
(だね!)
俺は仮牢屋に顔が見えるくらいの窓を作る。
その窓から覗き込むと・・・
「「ダークエルフ!」」
「キュキュ!」
(黒いエルフだ~!)
俺達くらいの女性のダークエルフが大泣きしているのであった・・・
サブヒロインの登場・・・声だけw
次回『第101話:リン』をお楽しみに~^^ノ