第9話:鉄人君(挿絵あり)
ゴーレム術、土の精霊術の中でも高等精霊術に属する術である。
ゴーレム術を使うには、魔力量が豊富でなくてはならない。
ゴーレムを生成する魔力。
ゴーレムを維持する魔力。
ゴーレムの意思を制御する魔力。
維持と制御に関しては、魔石を使って補助出来るとしても、通常の術よりも倍以上の魔力が必要となる。
ゴーレム1体を使役出来る者は、土の精霊術適正者でも1割。
ゴーレム2体を使役出来る者は、世界でもごく僅か。
ゴーレム3体を使役出来た者は、歴史上3人居たと記録が残っている。
ゴーレム術とはそんな術である・・・
リアース歴3228年 6の月3日。
俺は7歳になっていた。
ようやく、よう~~やくゴーレム1体を完全に制御できるようになった。
(な・長かったぜよ~!)
最近、メキメキと魔力量が上がって来ている。
そのお陰で制御が安定する様になったのだ。
魔力量の成長期や~。
これからもガンガン魔力量伸ばすでぇ~。
俺のゴーレムは父のゴーレムと少し違う。
俺のゴーレムは動きが滑らかなのだ。
動きもスムーズだし何より速い。
2足歩行の人型ゴーレムだと、人が小走りするくらいには動ける。
普通のゴーレムだとゆっくり歩く程度だ。
4足歩行の馬型ゴーレムだと、馬が普通に走るくらいの速さで動けるんだぜ。
「ルーク!このゴーレムはどうなっているのだ?俺との違いは何なのであろうか?」
ふふふふふふふっ!
(ザクとは違うのだよザクとは! Byランバ・ラル)
これは、イメージによるものなのだよ。
俺は前世でガ○プラを作っていた。
関節の部分が重要なのさ。
細かいパーツの一つ一つのイメージが胆なのだよ父上。
まさか前世の記憶がこんな事で役立つとは・・・
頭の上に角付けてあげようかなぁ。
動きが3倍になるかもよ~。
赤い彗星の○ャアってか!
俺は自分のゴーレムを『鉄人君』と命名した。
見た目がそっくりな鉄○28号から名を拝借したのは言うまでもない。
(まんまやんけ~!)
「ルークは凄いな!この歳でゴーレム術をマスター出来るなんて」
「エヘヘヘ!」
(まぁね~!)
今回は俺がドヤ顔です。
父に似て来たのか俺?
「お前は将来何になりたいんだ?俺の様な冒険者か?それとも騎士や宮廷術士か?」
父がちょっと真面目な顔で俺に聞いて来た。
まぁ、そうだよね。
普通の親なら、子供の将来を気にして当たり前だ。
って、あれ?
今まで聞いて来なかったよな?
今回が初めてじゃないか。
それって遅くね?
てめぇ~に親の資格はねぇ~!
「俺は父さんの様に冒険者になりたい!そして、世界を旅してみたいんだ。
いろいろなものを見て廻るのが夢かな~」
俺もちょっと真面目に答えてみました。
前々から本当に考えていた事です。
「世界をか?」
「うん。このリの国だけじゃなくて他のいろんな国も見てみたい。
エルフや獣人さんにも会ってみたいし、いろいろな食べ物も食べてみたい」
「そっか~!だったら、もっともっと刀術や精霊術を鍛錬しないといけないね。
強い魔物はたくさんいるし、他の国の人だと争い事もあるかもしれない。
自分の身は自分で守らないといけないな」
「うん、もっともっと鍛錬するよ!
今度は2体同時のゴーレム生成も練習したいし、ゴーレムを加えた戦闘訓練もしないとね」
「その通りだ!お前にはまだまだ覚えなきゃいけない事がたくさんある。
頭の方も少し鍛えないとな。ワッハッハッハッハ!」
何がワッハッハッハッハ!だ。
父よ!貴方だけには言われたくなかったわ。
こうして、俺の鍛錬の日々は今後も続いて行くのである・・・