37/60
小旅
久々小旅に出たいと常に思っている。
私なりの小旅とは、行方を決めず適当に電車へと乗り込み、たどり着いた先でふらふらと歩き倒し寝床を探すという徘徊に近い衝動なのである。
こんな事を言うと皆は精神不安定な輩かと思われがちなのだが、さすらうという行動は男子たるものいつの時代も持っていると私は思っている。
まあ、あまり金をかけず気分転換できるという話ではいい行動なのではないだろうか。
割とつまらなく生きる人たちが多いといわれる現代。その中で面白いものを見つけるために生きるのも一つの生き方なのではないか。
面白き、無き世を、面白く。わが心の先生晋作兄さんも言っていた。
とりあえず、公に連休を取ることができるのは五月末。
その時にどういう交通経路を使い、どこにたどり着くのか、その時の自分の心に任せることにしようか。
わが師、浅田次郎先生によると、たどり着いた先での話を楽しむのはまだまだ若く、そこにたどり着くまでの経路に想いを寄せるようになれば旅の玄人なのだと。
その経緯に至れていない私は、まだ若者の一部であるのだろう。と、信じたい。