記念日、あるいは第3ヒント
「思い出の中から」
最後に、神の声でナレーション。と思いましたが、カットしました。
着信拒否にはなってない。
受け取り拒否には・・・・・・なってない。
ということは、まだ完全に嫌われたわけではない。
・・・と、思いたい。
なら、なんで?
思いつかない。
おとといからずっと考えているけれど。
無意識になんかやらかしっちゃったのか?
いや、そんなことないと思うけど・・・。
今回は難易度がものすごく高い気がする。
ヒントがほしい、なんでもいいから。
3日目。
みじかいメールがきた。
「第1ヒント。わたしの人生で、すごく大切な日のひとつです。」
これで少なくとも、何かがあった日。それが原因なのか。
大切な日、誕生日は全然違うし・・・。
4日目。
またみじかいメールがきた。
「ヒントは、3つまでです。」
3つ、か。
この難易度で?
微妙だぞ、大丈夫か、オレ。
「第2ヒント。あなたにだって大切な日、そう思っています。」
オレにもちろん関係あるんだぞ、と。
オレが関係している、大切な日。
ん?
前にも似たようなことがあったような・・・。
知らないうちに、誕生日でもない平日に、部屋のカレンダーに、赤い、大きな、花丸がついていた日。
その日は、確か・・・。
5日目のみじかいメール。
最短の。
「バカ」
すごくへこんだ。言葉も出ない。
やや時間をおいて、
「第3ヒント。バカな人に最後のチャンス。これでダメなら、もう知らない。」
なんかものすごいプレッシャーが・・・バカなオレに分かるんだろうか。
「わたしは、両手で顔を隠して、しゃがみ込んで泣いてしまいました。」
・・・バカにも分かった。
そんなこと、今までに一度しかなかった。
「回答時間、5分以内。」
予想外の追加メールがきた。
「まちがうなんて思ってないけど、もしまちがったら、わたし、反対の意味で、またしゃがみ込んで泣くから。」
早く気がついてほしかったのか。
やっぱり、前にもあったよ、こんなこと。
1分もしないうちに、きみの番号。
今度はずいぶんしばらくぶりに、きみの声が聞こえた。
「制限時間まで、まだあります」
「はい」
「大丈夫ですね?」
「たぶん」
「たぶん、って!?・・・切るよ」
「待って待って。正解だと思うよ」
「思うよ? ふん」
「すいません。絶対に正解です」
「本当に?」
「本当に」
本当に、ちょっと冷や汗。
「では、正解を、どうぞ」
「オレがきみに、告白をした日だ」
「・・・なんて?」
追加問題。
「『きみが好きです。オレとつきあってください。お願いします』」
頭を下げたんだったな、と思い出す。
「『どうして、そんなありきたりの言葉なの?』」
再現問題。
そう。
一念発起して、思い切って告白したのに、返ってきたのがその言葉。
そして、オレは答えた。
「『伝統を重んじるタイプなんだよ、オレは』」
そのときみたいに、きみは笑った。
同じように、くすくす笑う声が聞こえた。
「正解、です」
きみの指示に従って、オレは出かけた。
そうだ、今くらいの時間だった。
きみは先に来ていた。
オレがきみに告白した、その場所に。
素直で、不器用で、駆け引きがまるでへたくそなふたりが、そこにいました。
16/11/21 Mon.