プロローグ 大罪の代償
初めての投稿となります。そして初めて完結させようと思うファンタジーです。コメントをしていただけたら幸いです。拙く、未熟なところもあるかと思いますが、よろしくお願いします。
「ごめん……ごめん……」
言葉にならなかった。
ようやく嗚咽交じりについて出た謝罪も酷く弱々しい。
小さな子供のように喉を詰まらせながら、俺は血の海の真ん中に横たわる少女を抱きかかえた。
不意に捉えた少女の無残な傷口からは、ぽたり、ぽたりと長い間隔を保って鮮血が滴り続けていた。
「ッ……‼︎」
突如、フラッシュバックのように少女が貫かれる瞬間が脳裏をよぎる。
迫る刃、飛び込む人影、広げられた腕、揺れた金髪。
ぞっと背筋に悪寒が走り、手足がガクガクと震え始める。こみ上げてくる吐き気が気持ち悪い。
「……ごめん」
幾度と知れぬ謝罪。
刻一刻と少女へ迫る死の足音になす術もなく、その白い頬に止めどなく溢れる涙を落としていく。
そっと頬を撫でた温もりに、俺ははっと視線を少女に向けた。
泣きじゃくる俺を諭すように少女は手を伸ばしたまま、小さくかぶりを振った。
その顔はすでに血の気が引き、腕にかかる重みも暖かさも驚くほど軽く、冷たい。
それでも少女は俺と視線が合うと、かすかに微笑んでみせた。
今にも消えそうな金の瞳から一条、光の粒が頬を伝う。やがて唇がかすかに動き、ゆっくりと最期にその音を紡いだ。
ま た あ え る か ら
あ り が と う
さ よ な ら