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ペットにもわかる大罪人が救う世界のあり方!  作者: 非心
第1章 動き始めた歯車
1/2

プロローグ 大罪の代償

初めての投稿となります。そして初めて完結させようと思うファンタジーです。コメントをしていただけたら幸いです。拙く、未熟なところもあるかと思いますが、よろしくお願いします。

 

「ごめん……ごめん……」


 言葉にならなかった。

 ようやく嗚咽交じりについて出た謝罪も酷く弱々しい。

 小さな子供のように喉を詰まらせながら、俺は血の海の真ん中に横たわる少女を抱きかかえた。

 不意に捉えた少女の無残な傷口からは、ぽたり、ぽたりと長い間隔を保って鮮血が滴り続けていた。


「ッ……‼︎」


 突如、フラッシュバックのように少女が貫かれる瞬間が脳裏をよぎる。

迫る刃、飛び込む人影、広げられた腕、揺れた金髪。

 ぞっと背筋に悪寒が走り、手足がガクガクと震え始める。こみ上げてくる吐き気が気持ち悪い。


「……ごめん」


 幾度と知れぬ謝罪。

 刻一刻と少女へ迫る死の足音になす術もなく、その白い頬に止めどなく溢れる涙を落としていく。

 そっと頬を撫でた温もりに、俺ははっと視線を少女に向けた。

 泣きじゃくる俺を諭すように少女は手を伸ばしたまま、小さくかぶりを振った。

 その顔はすでに血の気が引き、腕にかかる重みも暖かさも驚くほど軽く、冷たい。

 それでも少女は俺と視線が合うと、かすかに微笑んでみせた。

 今にも消えそうな金の瞳から一条、光の粒が頬を伝う。やがて唇がかすかに動き、ゆっくりと最期にその音を紡いだ。


 ま た あ え る か ら


 あ り が と う


 さ よ な ら


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