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8月のすごし方。

作者: とむやん

   晴天と言っていいのかどうなのか、

   その微妙なラインが実は、一番夏らしい気がいたします。

   ギラギラした感じ っていうのは、

   決して太陽だけが生み出す世界じゃなくて、   

   梅雨の最後っペみたいな薄い灰色の雲で隠れた太陽が、

   近所の海で大量生産されたしょっぱい湿気の中で乱反射して、

   その光線ですっかり日サロ通いなアスファルトが臭いを放ち、

   頭上ではセブンイヤーズイン土、なセミたちが鳴き叫び、

   冷房ガンガンな家の脇ほど温暖化CO2が垂れ流されてるのが

   どこからともなく耳に届く球児たちの青春のサイレンを淀ませ、

   確かに紫外線を防いでる気がしてくるあの日傘のおばあちゃんを

   追いかけていくと、焼け石だけど打ち水する昭和な家屋に到着し、

   そこではぜんざいに混ぜ込む塩くらいのイメージで、風鈴がリン。

   改めて見上げると、そこに待ち受けているのは、

   顕微鏡で見たボルボックスの群れが全部太陽だったような、

   どこに太陽があるのかよくわからなくなる、

   というか何を言っているのかよくわからなくなる、眩しさ。


   なんだかそういうのがごっそり混ざって、結果として

   空気全体が妙にギラつくような感じ それが夏なのであ~る


   ってか暑ぃ!




   そんな感じで、「この夏の 正体見たり 紫外線」とか

   「幻想の 夏だからこの 汗も嘘」とか

   意味わかんない感じで吹き出る汗に「これは幻想の世界だ」と

   心と頭をだましだまし駅までの道を歩いていたんですが、

   ふと目の前に、木の葉が舞い降りてきたのです。


   おや、なんだか季節外れな茶色い落ち葉…?


   手にとって見ると、あなや、アブラゼミの羽でありました。


   見上げるとずんぐり太った、まったく暑そうなカラスが一羽。


   口ばしから飛び出るギザギザな足。あ、吸い込まれた。


   …ほげー。夏ってリアルでシビアでファッツァラッキンだぜ。




   そんな、8月をすごしました。



(おしまい)

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― 新着の感想 ―
[一言] 画面まで眩しく思えました。これを真夏に読んだらもっと実感があったと思いますが、今読むとなんだか懐かしいような気がするのが不思議です。また来る季節なのに。
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