地獄界のニート
悪魔とは
人の魂を奪うためならどんな手段も選ばない極悪非道な怖いやつ
これはそんな悪魔の物語
〜地獄界のとある家〜
「悪男!
あんたはいつになったら働くんだいっ!
もう立派な成人悪魔なんだから人の魂の一つや二つ稼いで来な!」
…もうこれで何度目だろうか
俺が悪魔高校を自主退学して3ヶ月と少しだから
もう100回目くらいか?
俺がパソコンと向かい合ってタイピングして盛り上がってる中
いつもの邪魔するクソババアがやってきた
「うるせー、クソババア!
親父の稼ぎだけでも生きていけるんだから
別に俺が行かなくてもいいじゃねーか!」
これは半分ウソ
ホントはこんな出来の悪い息子で申し訳ないって気持ちがある
…でも反省して頑張ろうという気持ちが
全く起きないのだ
「…ううっ、昔はあんなに素直だったのに
いつの間にこんなに口が悪くなったのかしら…」
「いいから早く飯持ってこいよ!
いつまで待たせんだよ!!」
「…もうわかったわ
私がいくら言っても聞かないようなので
お父さんに報告させてもらいます」
「え…」
親父か…
それはめんどいな…
一家の大黒柱
今俺が飯食えてんのもその親父のおかげなんだが
俺は親父が苦手だし、嫌いだ
昔から俺のことを奴隷のように扱い
遊園地などレジャー施設に連れて行ったこともなく
誕生日プレゼントをくれたこともない
…というか今までの記憶の中で俺に優しくしてくれたことがない
そんなやつのことを誰が好きになれようか?
でも、逆らえない
俺は成人となり子供の頃より体ががっしりしてきたが
それでも日々体を鍛えてる親父に負けている
そんな状態で立ち向かおうと思えるだろうか?
…そんな訳で親父には逆らえない。
母さんもそれを知ってて言っているのだからタチが悪い
「分かったよ…行けばいいんだろ行けば」
「悪男…」
こうして俺は人間界に行くことになった