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194 風をあつめて/怪力を誇る二人の猫人VSハンググライダー

「な、何?」

 既に成功を確信し、余裕を持ってグライダーを操作していた紫蝙蝠は、驚きの声を上げつつ、慌てふためく。いきなりノーマークだった眼下から、何かが飛んできて、ハンググライダーに絡みついたのだから、紫蝙蝠が驚き慌てるのも、当然と言える。

 ハンググライダーはコントロールバーの右端から、伴内が絡みつかせたロープをぶら下げつつ、飛んでいる。まだ高さは、伴内達から見て二十メートル程度なので、ぶら下がっているロープの先端は、草原の上を引き摺られている状態である。

「引っ張って!」

 伴内の指示を聞いた千風は、手にしていた風車の柄を帯に挿すと、既に伴内達を追い抜いて、麓の方に向かいつつあるハンググライダーを追いかけ、ぶら下がっているロープを掴む。そして、全力を振り絞って、ロープを引っ張る。

 だが、ロープは弓の弦のように張るのだが、ハンググライダーは飛ぶ事を止め無い。それどころか、千風を引き摺って飛び続ける。

「――駄目だ! 一人じゃ俺の方が、引き摺られちまう!」

 ハンググライダーが飛び続けようとする力は、千風一人では抑えきれなかったのだ。千風は口惜しげな声を上げながら、ハンググライダーに引き摺られて、草原を滑り降りて行く。

「待ってろ! 俺もすぐに行くから!」

 伴内は千風と共にハンググライダーを引き摺り落すべく、千風の後を追いかけ始める。千風同様に帯に挿した風車が、風圧を受けて回り出す。

「パチンコでロープを絡ませたのか! 流石は射的屋伴内っ!」

 風のような速さで伴内の右脇を駆け抜けながら、ハジキが伴内の頭をポンと叩く。

「ハジキ!」

「あのロープ掴んで、引き摺り落せばいいんだろ?」

 伴内の返答を待たずに、ハジキはロープの元に駆け付け、千風と共にロープを引っ張り始める。

「落ちろー!」

 怪力を誇る二人の猫人が、声を揃えてロープを引く。猫人の中では相当な怪力の持ち主である、千風とハジキに引っ張られ、とうとうハンググライダーは飛び続ける力を奪われ、失速し始める。

 ハンググライダーの動きを見て、落ちるだろう事を確信した伴内は、千風達の元に駆け寄るのを止め、ハンググライダーが墜落しそうな場所を先読みして、駆け付ける。

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