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133 あしたてんきになあれ/千風の嫉妬?

「いや、別に話すような事でも無いから、話さなかっただけの話だけど」

(俺がハジキとデートしてたとしたら、千風は怒るのか……何でだ?)

 少し不思議に思って考え込んだ伴内の頭に、一つの答えが思い浮かぶ。

(ひょっとしたら、千風は妬いているとか……。でも、妬くって事は、千風が俺に恋愛感情を持っているという事になる訳で……)

 人間では無い猫人だとはいえ、魅力的な異性である千風に、恋愛感情を持たれているかもしれない……という考えは、伴内をときめかせる。

「――俺は伴内の後見人なんだから、伴内の交友関係くらい把握しとく義務があるんだから、俺に隠し事しちゃ駄目っ! 伴内の友人関係とかだけじゃなくて、その……異性の交際相手とかだって、俺には知る権利というか、把握しておく義務があるんだから!」

 強い口調で、千風は続ける。

「ハジキみたいな、歳も離れてるし、冒険家とか言ってるけど、実態は盗賊団同様の紅髑髏団の頭領やってる女の人なんて、伴内が付き合う相手としては不適切だよ! 後見人としては、そんなの認められない!」

(何だ……後見人として、交友関係とか知らせなかったのを、怒ってるだけか)

 ひょっとしたら妬かれているのかもしれないという、淡い期待が打ち砕かれた伴内は、少し気落ちしてしまう。

「勘違いするなってば! 俺はハジキどころか、誰とも付き合ってないって!」

 気落ちしながらも、伴内は弁解を続ける。

「空鯨に行った時、紅髑髏団のペンチって人を助けた事があって、その時の借りを返したいんで、食事でも奢らせろってハジキに言われたから、一回だけ食事に付き合っただけだっての! デートとか、そういう類のもんじゃないんだってば!」

「――本当?」

 訝しげに問いかけてくる千風に、伴内は頷く。

「分った、信じるよ」

 伴内の弁解を聞いて安堵したのか、千風の表情から不機嫌さが消え、口調から刺々しさが消える。

「信じちゃいけませんよ、黒貴さん! 男と女が車に乗って食事に行けば、それはデートです! 中学生の少女とベッドを共にしているような、女癖の悪い変態色魔の射的屋伴内が、女性とドライブデートに行って、ただ食事に付き合うだけで終わる筈が無いじゃないですか!」

 嫌味ったらしい口調で、茶虎は続ける。

「当然のように、射的屋伴内とハジキは、互いの身体を求め合い……痛っ!」

 話の途中で、茶虎は痛さの余り、悲鳴を上げる。突如、伴内が放った小石の弾に、茶虎は腹部を撃たれたのだ。

 伴内の手には、ポケットから取り出したばかりの、普段から愛用しているパチンコが握られている。至近距離から、かなり威力を抑えて、伴内は茶虎の腹部を狙い撃ちしたのである。

「たかが悪口言われた程度の事なら、パチンコで撃たないって言ってたじゃないか! 嘘吐きっ!」

 腹部を両手で押さえながら、茶虎は涙目で伴内に抗議する。伴内の奇襲から主を守り損なった茶虎組の面々は、狼狽しながら茶虎の元に駆け寄る。

「お前のやってる事は、既に悪口じゃなくて、虚偽情報を流布して他人の名誉を傷つける犯罪同然の行為だから、撃っても嘘にはならねーよ!」

 棘のある口調で、伴内は茶虎に言い放つ。そして、使い終えたパチンコを、ポケットに仕舞い込む。


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