表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
132/250

132 あしたてんきになあれ/そういや、伴内は乗った事あるんだっけか、ハジキとデートした時に

「――何だ、賑やかだと思ったら、チャトラじゃねえか。何でおめーみたいな冒険と無縁のお坊ちゃんが、迷いの森になんか来てるんだよ?」

 昴九十式の方から歩いて来た、黄色いツナギに黄色いリュックという出で立ちのドドンパが、茶虎に問いかける。

「ドドンパか。何だ……貴様も一緒という事は、黒貴さんは伴内と二人っきりで、夏を呼びに行く訳では無かったんだな」

 茶虎は安堵したかのように呟きながら、胸を撫で下ろす。

「茶虎といい紅髑髏団の連中といい、意外と夏呼びに来てる連中が多いじゃねーの。やっぱ自動封筒みたいな珍しいお宝が、褒賞になったせいかなぁ」

 ドドンパの言葉を聞いて、伴内達は驚く。

「紅髑髏団の連中も来てるのか?」

 伴内の問いに頷きつつ、ドドンパは五十メートル程離れた場所に停車している、スポーツカーを指差す。夜なので正確には判別し難いが、月明かりに照らされている、大人の女性のボディラインのような、艶っぽいフォルムのスポーツカーは、血に塗れて滑っているかのように見える。

「あんな悪趣味な血の色のGT乗り回してんのは、猫街じゃハジキくらいなもんだぜ」

 ドドンパが血の色と表現した真紅のスポーツカー……アルファ・スパイダーGTには、伴内も見覚えがあった。たまに猫街の街道を、ハジキがペンチなどを連れて、真紅のGTで流している姿を目にしただけでなく、実は乗った事もあったりするのだ。

「――そういや、伴内は乗った事あるんだっけか、ハジキとデートした時に」

 ドドンパの言葉を聞いた千風は、衝撃を受けたように尻尾の毛と髪の毛を逆立て、伴内を睨みつける。

「で、デートぉ? ハジキと?」

 問い詰めるような千風の口調に、伴内は後ろ暗い事がある訳でも無いのに、狼狽してしまう。

「え? いや、あれは……デートとかじゃなくて、食事を奢って貰った時に、乗っただけの話で……」

「ハジキの車に乗って、食事に行った? そんな話、初めて聞いたけど……」

 伴内に詰め寄る千風の表情には、不機嫌さが滲んでいて、口調は少し刺々しい。髪の毛や耳の気……そして尻尾の毛などは、逆立っている。


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ