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初めての出会いの物語Ⅱ

 遅くなってしまいました。今回は物語の世界観の説明回になりました。どうぞお読みください。

 

 銀河だった。  


 それは何かの比喩ではない。正真正銘、銀河そのものだった。思い出すという感覚がこういうものなのかと思った。そう、ここはまるで・・・

「まるで銀河鉄道のようでしょ。」

 カンパネルラがそう静かに俺の耳元で囁く。そうだカンパネルラという名前、どこかで聞いたことがあったと思っていたがあの銀河鉄道の登場人物の一人と全く名前が一緒だ。俺の思い出は消えたが消えなかった俺の記憶(ちしき)が教えてくれた。

「じゃあ、ここはあの銀河鉄道だって言うのか?」

「あたしの話をちゃんと聞きなよ。」

「どういうことだ?」

「だから言ったでしょ。『銀河鉄道のようだ』って。ここは銀河鉄道であって銀河鉄道ではない。」

 ?俺の頭の上に疑問符が浮かぶ。何が言いたいんだ?

「つまりここはあんたが知ってる銀河鉄道じゃないって事。」

「つまりどういうことだ?結局ここは何なんだ?」

 俺がそう尋ねるとカンパネルラは嫌そうな顔をして少し考え事をするような素振りを見せた後、大きくため息をついて、なんとも気だるそうに一言、

「やっぱり説明しなきゃ駄目かー。」

 そういうと今度は少し真面目な顔をして、

「あんた輪廻転生って知ってる?」

 となんだか少年漫画に出てきそうな用語が飛び出してきたのだが、よくは知らないのでとりあえず首を横に振った。

「輪廻転生って言うのは、死んだ魂が時間を経て新たに甦ることを一般的に言うんだけどこんなに解りやすく説明してもあんたにはどうせ伝わらないんだろうから実際に見てみるといいわ。窓の外を見て見なさい。」

 少々気に障ることを言われたのだが、怒りは押し殺してカンパネルラが指を差した方向に目を向けた。そこにあったのは一つの小さな星のように見えた。そう星のように見えた。

 そこにあったのは星などではなく、

 赤子の形をした何かだった。

「・・・何だあれ。」

 よく見ればそれは微かに動いていた。それはもう俺には星には見えなかった。それは子宮の中で命に焦がれる赤子にしか見えなかった。動揺の隠しきれない俺にカンパネルラは静かに顔を寄せて、無知な子供に向けるような甘い声色で、

「あれはさっき言った死んだ魂よ。」

「ここは本当に宇宙なのか?」

「あなたが知っている宇宙とは確かに違うわね。」

 カンパネルラは俺に顔を寄せたまままた語り始める。

「ここのことを簡単に言うなら、生命のプールってところね。」

「生命のプール?」

「生命って言うより魂だけど・・・そんなことはどうだっていいのよ。」

 呆れたと言いたいかのような溜め息をついた。雰囲気が台無しじゃないとかぶつぶつと呟いてる。何か悪いこと言ったか?俺。

「つまり死んだ魂は元あった世界からここに飛ばされるの。」

「ちょっと待て、じゃあここに見える星みたいなのは全部死んだ魂だって言うのか?」

「そうよ。」

 さらりととんでもないことをいう奴だなと思った。やっぱりここは夢なんじゃないだろうか。そう思って頬をつねってみるがやっぱり痛かった。そんなことしている間にカンパネルラはまた話を始めた。

「そして魂はここで浄化されることによってまたどこかの世界に飛ばされる。想像しにくい?それならそうね・・・、あの魂を見て。」

 そう言うとまた宇宙の一点を指し示す。そこにはまた一つさっきとは別の魂があった。だがそれはさっきの様に赤子の形をしているものではなく、卵のような形をしたぼんやりとした光だった。

「あれもさっきと同じ魂なのか?さっきとなんだか違うみたいだが。」

「人は生まれ堕ちた時から老いを始める、そして朽ちる。ここではその反対のことが起きるのよ。」

「反対?」

「つまり死んだ魂は死んだときの姿のままここに来る。そしてどんどん元の姿に戻るの。そして最終形態があの姿。」

 そう言ってさっきから見ていたそれに(・・・)また指を差す。するとそれはさっきまでとは比にならない位に光を放ち始めた。

「まぶしっ・・・何だあれ。」

思わず目を瞑ってしまうカメラのフラッシュがずっと光り続けているかの様なそんな光だ。

「転生が始まったのよ。」

 カンパネルラの方に顔を向けると彼女は落ち着いていた。話の状況からしてこれが輪廻転生ということだろう。さっきまで卵に見えたそれはもう形を成していなかった、ただの光だ。そのただの光は今までの内で一番の光を放ちまるで流星のように何処かへ流れて行った。あまりに強い光のせいで目に残像が残っている。

「今のが輪廻転生の最終。今ので新たにあの魂がまた体を持つことになった。」

「あの光の玉は何処に行ったんだ?」

「あの魂はどっかの次元に飛ばされてそこで新たに生命を得て…まぁ簡単に言えば生まれ変わったってわけ。ってこのくらい話の流れからわかりなさいよ。」

〈説明端折りやがった。ってか話の流れも何も転生やらなんやらわけのわからん専門用語を使われて説明されただけでわかるかっての。〉

 俺は少し悪な思春期の男子みたいにふてくされていた。ふと俺は一つの疑問にたどり着く。なぜ俺はここに居られる?

カンパネルラは言った、死んだ魂はここに来て魂が浄化されて生まれ変わるのだと。なら俺はどんな存在なんだ?俺は一体・・・。

するとカンパネルラは日常会話のようにさらりと

「あぁ、言ってなかったけど・・・あんた死んでるわよ。」

 そう告げた。

 お読み頂きありがとうございます。次回もよろしくお願いします。

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