志希、ついにレア演出を引く
その日、志希はいつもよりテンションが高かった。
「今日はね……なんか“来る”気がするんだよね。
なみえも当ててたし、ママも応援してくれたし……
流れが来てるんだよ、流れが!」
リスナーは半信半疑。
「また言ってる」
「昨日もそれ聞いた」
「志希の“流れ”は信用できない」
しかし志希は聞いていない。
実際その日の彼女は、いつもと違った。
志希がパックを開いた瞬間、
画面が突然虹色に光り始めた。
「えっ……えっ……えっ……!?
これ……レア演出じゃん!!」
コメント欄も爆発する。
「来た!」
「志希ついに!」
「500万BOXの流れだ!」
志希は椅子から立ち上がって叫ぶ。
「やばいやばいやばい!!
これ絶対当たりだよね!?
今日の私は違うんだよね!!」
演出は最高潮に達し、
虹色の光が画面いっぱいに広がる。
志希は息を呑む。
「……来いっ!!」
画面に表示されたカードを見た瞬間、
志希は固まった。
リスナーも固まった。
コメント欄が静まり返る。
カード名:
「超級閃光龍(中国語版)」
志希は震える声で言う。
「……え、ちょっと待って。
これ……何か違う……?」
リスナーが一斉にツッコむ。
「中国語版かい!」
「演出だけ豪華で草」
「価値半分以下じゃん」
「志希の運、方向性がズレてる」
志希は頭を抱える。
「いやいやいや……
こんなに盛り上がったのに……
なんで中国語なの……?」
弟が部屋に顔を出す。
「お、レア引いたの?
……なんだ、中国語版か。
俺も昨日パチで“確変っぽい演出”来たけど外れたわ」
志希は叫ぶ。
「あんたは黙って!!
なんでこの家は演出だけ豪華で結果が微妙なの!!」
そして志希は静かに言う。
「……でもさ、
次こそ当たる気がするんだよね」
コメント欄が総ツッコミ。
「懲りない」
「志希の名言出た」
「この家族、演出に弱すぎる」
志希は画面のカードを指先でつつきながら、小さく笑う。
「……でも中国語版でも、ちょっと嬉しいんだよね」
リスナーは悟った。
志希は今日もブレない。




