ママ、オリパに参戦
志希が配信でQRコードを晒した翌日。
リスナーの中には、志希の暴走を止めたい気持ちと、
「まあ…志希ちゃんだし…」という甘さが混ざった人が数名いた。
結果、4〜5万円ほど“応援”が送られてきた。
志希は布団の中でスマホを見て叫ぶ。
「えっ……みんな優しすぎない……?
ありがとう……! これで私も500万狙える……!」
しかし1時間後には、
志希はすでに昨晩の勢いで全額オリパに溶かしていた。
次の日の朝。
リビングでコーヒーを飲んでいたママが、
志希の配信アーカイブを見終わって部屋に入ってくる。
「志希。あなた……QRコードって何?」
志希は気まずそうにスマホを隠す。
「え、いや……その……
リスナーさんが“応援”してくれて……
ちょっとだけ……オリパに……」
ママはため息をつく。
「あなたねぇ……
お金を送ってくれた人に申し訳ないと思わないの?」
志希はうつむく。
「……思うよ。
でも……当たる気がしたんだよね……」
ママはしばらく黙っていたが、
突然財布を取り出して言った。
「……で、いくら足りないの?」
志希は顔を上げる。
「えっ……ママ……?」
「だって、あなた昨日全部溶かしたんでしょ?
リスナーさんに悪いじゃない。
少しは“取り返すチャンス”あげないと」
志希の目が輝く。
「ママ……! やっぱり優しい……!」
ママは財布から一万円札を取り出す。
「今回は……3万円だけよ。
でも次は本当にダメだからね」
志希は受け取りながら言う。
「うん……!
でもさ……今日こそ当たる気がするんだよね」
ママは微笑む。
「そういう日ってあるわよね」
……どうやら“ギャンブル脳”は遺伝するらしい。
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そして志希は配信をつける。
「みんな〜!
昨日は“応援”ありがとう!
……でね、ママが“補填”してくれたから、
今日もオリパ回すよ!」
コメント欄が爆発する。
「ママ参戦したのか」
「家族全員ギャンブル脳」
「志希、補填って言うな」
「リスナーの4万はどこ行った」
「全部溶けてて草」
志希は胸を張る。
「いやいや、今日は“流れ”が来てるんだよね。
なみえも当ててたし、ママも応援してくれたし……
これはもう、勝つしかないよね」
そして志希はパックを開く。
(中略)
3万円目:銀枠
志希は固まる。
「……これ、ママのせいだよね」
コメント欄が総ツッコミ。
「違う!」
「責任転嫁乙」
「この家族、全員で破滅に向かってる」
「でも面白いから見ちゃう」
志希は納得いかない顔でつぶやく。
「……でもさ、
次こそ当たる気がするんだよね」
リスナーは悟った。
この一家、止まらない。




