志希、名案を思いつく
なみえがオリパで500万円のBOXを引き当てた翌日。
志希は布団の中でスマホを握りしめ、震える指でDMを開いた。
To:なみえ
件名:ちょっと相談が……
「……送っちゃえ」
勢いで送信ボタンを押す。
なみえからの返信は意外と早かった。
『どうしたの志希ちゃん! 昨日の配信見たよ〜!
めっちゃ叫んでたじゃん!』
志希は深呼吸して、長文を打ち始める。
志希:
なみえさん……500万のBOX当ててたよね……
あれ見て、私も“流れ”が来てる気がして……
でもお金がないの……
どうしたらいいと思う?
送信。
数分後、返信が来る。
『うーん……志希ちゃん、リスナーさんに“支援”してもらえば?
最近そういう配信者多いよ〜』
志希の目が輝く。
「……それだ!」
―――――――――――――――――――――――――――――――――――
志希は配信をつける。
「みんな〜、今日はね……ちょっと“相談”があるんだよね」
コメント欄がざわつく。
「嫌な予感しかしない」
「またオリパ?」
「昨日の負けはどうした」
志希は胸を張る。
「なみえに相談したらね、
“リスナーさんに支援してもらえば?”って言われたの!」
コメント欄が一瞬で騒然となる。
「いやいやいや」
「なみえ巻き込むな」
「絶対違う意味で言ってる」
志希は続ける。
「だからね、QRコード作ったよ!
これでみんなが“応援”してくれたら、
私も500万狙えると思うんだよね!」
リスナーは頭を抱える。
「志希、それはアウト」
「完全にダメなやつ」
「なみえのアドバイスの解釈が雑すぎる」
しかし志希は止まらない。
「いやいや、これは“投資”だから。
私が当てたら、みんなも嬉しいでしょ?」
嬉しくない。
――――――――――――――――――――――――――――――――――――
そして志希はDMを再び開く。
志希:
なみえさん、QRコード作ったよ!
これで私も500万BOX狙えるよね?
数分後、なみえから返信。
『えっ……志希ちゃん……
私が言ったのって“スパチャとかの話”で……
QRコードは……ちょっと……』
志希は画面を見つめて固まる。
「……あれ? もしかして私、やらかした?」
コメント欄が優しく刺してくる。
「今気づいた?」
「志希、なみえの言葉を100倍危険にしてる」
「でも嫌いじゃない」
志希はふてくされながら言う。
「……でもさ、
次こそ当たる気がするんだよね」
リスナーは悟った。
志希は今日もブレない。




