志希、オリパで500万の衝撃
志希はいつものように布団にくるまりながら、
スマホで知り合いの配信者、なみえの配信を眺めていた。
「今日はね〜、高額オリパいっちゃうよ〜!」
なみえのテンションはいつも通り軽い。
志希はポテチをつまみながらつぶやく。
「まあ、当たらないよね……普通は……」
しかし次の瞬間。
画面が虹色に光り、
なみえが500万円相当の絶版BOXを引き当てる。
「えっっっっっっっっっっっっっっっっ」
志希はポテチを盛大にこぼした。
なみえは大絶叫。
コメント欄が一気に沸き立つ。
志希は震える声で言う。
「……いや、待って。
なんで? なんであの人は当たるの?
私なんて昨日10万溶かしたのに……」
弟がリビングから顔を出す。
「なみえ当てたの? 500万?
すげーじゃん。俺なんて昨日50万負けたのに」
志希は頭を抱える。
「あんたは黙って……比較対象が狂う……」
しかし志希の脳内では、
“あの虹色の光”が何度もリピートされていた。
志希の思考回路が暴走する。
「……いや、でもさ。
なみえが当てたってことは、
“当たる日”って存在するんだよね?」
完全に危険な方向へ進んでいる。
「私も……今日なら……いける気がする……」
その言葉、何回聞いたかわからない。
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そして志希は配信をつける。
「みんな……見た? なみえの配信……
あれ見たらさ……私もやりたくなるじゃん……」
コメント欄が即座に反応する。
「やめろ」
「絶対やめろ」
「志希は昨日負けたでしょ」
「あれは参考にしちゃダメなやつ」
しかし志希は聞いていない。
「いやいや、今日は“流れ”が来てるんだよね。
私の番が来たっていうか……」
リスナーは悟った。
志希、完全にスイッチが入ってる。
そして志希はいつものようにオリパを開く。
1万円:爆死
3万円:また爆死
5万円:さらに爆死
志希は震えながら言う。
「……これ、なみえのせいだよね」
コメント欄が総ツッコミ。
「違う!」
「責任転嫁の天才か!」
「なみえは悪くない!」
志希はふてくされる。
「だってさ……あんなの見せられたら……
誰だって回したくなるじゃん……」
志希は静かに言う。
「……でも、次こそ当たる気がするんだよね」
リスナーは頭を抱えた。
この家族、そして志希。
ギャンブルの“流れ”という幻想に囚われすぎている。




