志希、雑誌のインタビューを受ける
「失うもの、シキ」が大会で禁止カードに指定された翌日。
志希は布団の中で震えていた。
「……なんで私、禁止カードの元ネタになってるの……?」
そこへスマホが鳴る。
『ゲームメディア「CARD FRONTIER」編集部です。
志希さんにインタビューをお願いしたいのですが』
志希は叫ぶ。
「インタビュー!? 私が!?
なんで!!?」
横で弟が爆笑する。
「志希、全国で“あのカードの元ネタ誰だよ”って話題になってるぞ」
志希は震える。
「……私、そんな有名なの……?」
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インタビュー当日。
編集部のスタッフが志希の家にやってきた。
「志希さん、本日はよろしくお願いします。
まず、“すべてを失うもの、屍姫”と“失うもの、シキ”。
これらの元ネタとなったのは本当ですか?」
志希は慌てて手を振る。
「本当だけど……そんなに失ってないよ!?
ちょっと詐欺られたり、運営が摘発されたり、
警察に怒られたり、カードが届かなかったり……
ちょっとだけだよ!!」
スタッフは即答した。
「十分すぎます。」
志希「ひどい!!」
スタッフは続ける。
「では、そのカードの効果
“すべてを失うが、次のターン奇跡的に復活する”
これは志希さんの人生を反映していると?」
志希は目をそらす。
「いや、そんなつもりないよ!?
ただ……なんか……毎回全部失っても、
次の日にはオリパ回してるだけで……」
スタッフは真顔で言った。
「完全に元ネタですね」
志希「やめて!!」
そして、スタッフは志希の“あの初手勝利”に触れる。
「それと……大会での“初手特殊勝利”は本当に偶然だったんですか?」
志希は胸を張るどころか、逆に困惑していた。
「偶然だよ!!
だって私、ルール知らなかったし!!
なんか……最初から揃ってたんだよ!!」
弟が笑いながら言う。
「マジで奇跡だったな、あれ」
スタッフは深くうなずいた。
「界隈では“運だけで勝った女”として語り継がれています」
志希「そんな呼び方やめて!!」
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そして雑誌の記事が公開される。
タイトルはこうだった。
『伝説の禁止カード“シキ”の元ネタに会ってきた』
記事は瞬く間に拡散され、
SNSでは志希の名前がトレンド入りした。
「シキって実在したのか」
「人生がカード効果なの草」
「あの“運だけ女”か」
「まさゆきの地図の再来」
志希は震えた。
「……私、全国に知られてる……?」
弟は肩を震わせながら言う。
「志希、もう“カード界のまさゆき”だよ」
志希「やめてよ!!
私、ただオリパ回してただけなのに!!」
そして志希は配信をつける。
「みんな……聞いて……
私……禁止カードの元ネタとして……
“運だけで勝った女”として……
全国に知られ始めてる……
なんか……怖い……」
コメント欄が爆発する。
「志希、伝説になった」
「志希のカード、欲しい」
「元ネタ本人が一番弱いの草」
「志希、もう逃げられない」
志希はふてくされながら言った。
「……でもさ……
伝説になったってことは……
次こそ当たる気がするんだよね」
リスナーは悟った。
志希は今日もブレない。




