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志希、禁止カードになる

大会参加者3人だけに配られた非公式カード、

『すべてを失うもの、屍姫(シキ)』。


カードリストに載っていないうえに、効果は狂気じみていて、名前もひどい。

しかも人生の負けイベントを再現するという意味不明なテキストで、

フリマでは8万円まで高騰していた。


ある日、志希がSNSを眺めていると、トレンドに奇妙なワードが浮上していた。



『失うもの、シキ』カードの効果がヤバすぎる


挿絵(By みてみん)


「……えっ、私……またカード化されてる……?」

志希は思わず声を漏らす。


隣で見ていた弟が眉をひそめる。

「志希、これ別のカードゲームだぞ。なんで他社がオマージュしてんだよ」


志希は震える。

「……私、そんな有名なの……?」


それは、別のTCGの公式カードとして効果を調整したものだった。


『このカードが戦闘で破壊されたとき、

そのコントローラーは手札・フィールド・墓地に存在するカードをすべて失う。

次の自分ターンの開始時、このカードをオーナーのコントロール下でフィールドに戻す。』


「また全部失うの!?なんで私の人生が効果になってるの!!?」

志希は叫ぶ。


弟は笑い転げながら言った。

「志希、これ“パックのハズレ枠の王様”みたいな扱いだぞ」


SNSではカードゲーマー界隈がざわついていた。


「発想が斜め上」

「リスクとリターンのバランスが狂ってる」

「実質コモン以下」

「存在がパックの期待値下げてる」


志希は頭を抱えた。

「……私、知らないところで有名になってる……」


─────────────────────────────────


そして事件が起きる。

あるカードショップの大会で、ついに“オマージュ版シキ”が使用された。


プレイヤーは“失うもの、シキ”を召喚し、続けて“強制転移”を発動。

相手モンスターのコントロールを奪う代わりに、シキを相手に押し付ける。


「このモンスターでシキを攻撃、破壊します」


その瞬間、相手の手札とフィールド、墓地が吹き飛んだ。


何もできない相手を横目に、プレイヤーは次のターンで強力モンスターを展開し、一気に攻め込む。

後に“シキ押し付けコンボ”と呼ばれる凶悪な戦法が誕生した瞬間だった。


審判は困惑しきっていた。


「えー……このコンボ……ルール上は合法ですが……ゲームが成立しません」


プレイヤーは胸を張る。


「でも強いでしょ!効果見た瞬間ひらめいたんですよ!」


審判は頭を抱えた。


「強いとかじゃなくて……ゲーム性を壊すんです」



観客もざわつく。


「流石にこの効果はやりすぎ」

「公式から修正来そう」

「元ネタになった人がいるらしい」

「その人、人生で全部失ったの?」


SNSで状況を知った志希は震えながら呟いた。


「なんで私の人生が大会で議論されてるの……?」


─────────────────────────────────


その翌日、公式SNSから発表があった。


『“失うもの、シキ”は

 ゲームバランスを著しく損なうため、

 大会での使用を禁止とします。』


「禁止カード!?私、禁止カードになったの!?なんで!!?」

志希は叫ぶ。


弟は肩を震わせながら言う。

「相手に押し付けて盤面を破壊するって効果が、ゲームバランス壊すんだよ」


志希は涙目になる。

「……私の人生、バランス壊してたの……?」




そして志希は配信をつける。


「みんな……聞いて……

 私のカード……他のカードゲームでオマージュされて……

 大会で禁止カードになった……

 なんか……もうよくわかんない……」


コメント欄は爆発した。


「志希、他TCGにまで影響与える女」

「人生が禁止カード級」

「志希押し付けコンボは草」

「志希、カード界の都市伝説になってる」

「禁止カードになったのに本人は弱いのが面白い」


志希はふてくされながら言う。


「……でもさ……禁止カードになったってことは……

 私、強いってことだよね。

 次こそ当たる気がするんだよね」


リスナーは悟った。

志希は今日もブレない。

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