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志希、オリパで50万の案件

警察に怒られ、ママに謎の励ましを受け、

志希(しき)は「もう慎重にいく」と誓ったばかりだった。


そんなある日、志希のスマホに通知が来る。


『志希様へ

 当サイトの案件にご協力いただけませんか?』


志希は目を輝かせる。


「えっ……案件!?

 私、ついに案件もらえるレベルになったの……?」


リスナーの脳内ボイスが聞こえる。


「志希、落ち着け」

「絶対怪しい」

「オリパで案件は違法」


しかし志希は完全に“案件をもらえた自分”に酔っていた。


「……やっぱ私、ついに勝ち組側に来ちゃったんだよね……」


DMを読み進めていくとこんな記載があった。


『案件に参加するには、

 “初期費用として50万円のご協力”が必要です。

 その後は高額カードを優先的に提供します。』


志希は固まる。


「……50万……?」


弟がリビングに顔を出す。


「志希、それ絶対ヤバいって。

 俺でも分かる」


志希は反論する。


「いやいや、案件ってそういうものなんだよ。

 “投資型案件”ってやつでしょ?」


弟は首を振る。


「そんな案件聞いたことない」



どうしても諦められない志希はママに相談する。


「ママ……オリパで案件来たんだけど……

 50万必要なんだって……」


ママはコーヒーを飲みながら言う。


「50万くらいなら、

 “昔の知り合い”に頼めばすぐよ」


志希は震える。


「……ママ……

 その“昔の知り合い”って何者なの……?」


ママは微笑む。


「志希は知らなくていいの。

 これで当たりが引けるなら安いものよ」


志希は背筋がぞわっとした。

怖い。

けど——


(……ママがここまで言うってことは……

 やっぱり“本物の案件”なんじゃ……?)


怖さよりも、胸の奥で暴走する“成功者モード”が勝ってしまう。


「だってさ……案件だよ?

 私もついに“案件持ち配信者”だよ?

 これはもう……やるしかないよね」


リスナーの脳内ボイスが再び響く。


「志希、やめろ」

「案件に50万はない」

「それ案件じゃなくて“ただの支払い”」


しかし志希は止まらない。


───────────────────────────────


そして志希は配信をつける。


「みんな〜!

 私、案件来たんだよね!

 50万必要なんだけど……

 ママが“なんとかする”って言ってくれたから……

 やるよ!」


コメント欄が爆発する。


「志希、絶対詐欺」

「案件に初期費用は草」

「警察庁の教材に続編できる」

「ママのお金を使うな」


志希は胸を張る。


「いやいや、今回は違うんだよ。

 “案件”って言ってるし、

 ちゃんとしたDMだったし……

 私、ついに認められたんだよね」


そして、志希はDMに貼られていたURLを開いた。

どんなカードがあるのか確認しようと、軽い気持ちでタップする。


しかし、画面に出たのは無機質なエラーメッセージだった。


『DNS ERROR:Server IP address could not be found.』


志希は一瞬、何が起きたのか理解できなかった。


「……え? サイト……消えてる……?」


更新しても同じ。

Wi-Fiを切り替えても同じ。

URLを打ち直しても同じ。


そこにあるはずの“案件サイト”は、

最初から存在しなかったかのように消えていた。


「…………え?」


リスナーが総ツッコミ。


「また警察」

「志希、運営を見る目ゼロ」

「案件どころか捜査対象」

「50万払ってたら終わってた」


志希は震える声で言う。


「……これ……

 警察に監視されてアクセス遮断されてる……?」


違う。



そして志希は涙目で言う。


「……でもさ……

50万あるし…… 

次こそ当たる気がするんだよね」


リスナーは悟った。


志希は今日もブレない。

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