志希、詐欺対策を学んで賢くなる
警察庁の教材に出演したことで、
志希は一時的に“詐欺に強い女”になっていた。
「もう私は騙されないよ。
詐欺の手口は全部覚えたからね。
これからは賢くオリパやるんだよ」
ママからのお小遣いを握りしめ、
志希は“安全そうな”オリパサイトを選んでコツコツ回し始めた。
そして奇跡が起きる。
ある日、志希の画面が突然虹色に輝いた。
「えっ……また演出!?
これ……本物のレア演出じゃん!!」
コメント欄も大盛り上がり。
「来た!」
「志希ついに!」
「今度こそ本物!」
志希は震える手で画面を見つめる。
「……お願い……今度こそ……!」
そして出たのは——
超高額レアカード“神皇龍エターナルアーク”。
志希は絶叫した。
「やったぁぁぁぁぁぁぁぁ!!
私、ついに勝ったんだよね!!
詐欺対策を学んだ私、最強!!」
リスナーも祝福ムード。
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しかし翌日、運営からメールが届く。
件名:
【重要】当サイトは警察の捜査対象となりました
志希は固まる。
「……え?」
本文にはこう書かれていた。
『当サイトは景品表示法違反の疑いで捜査を受けており、
サーバーおよび在庫はすべて押収されました。
そのため発送業務を停止しております。』
志希はスマホを落とした。
「…………え?」
リスナーの声が脳内で再生される。
「またか」
「志希、運営を見る目がない」
「詐欺じゃないけど結局カード来ないの草」
志希は泣きながら警察署へ向かった。
「すみません……私……オリパでレアカード当てたんですけど……
運営が摘発されて……カードが……」
警察官は書類をめくりながら、
どこか偉そうに言った。
「君ねぇ……またこういうのに手を出したの?」
志希は反論する。
「いや、今回は詐欺じゃないんです!
ちゃんとしたサイトで……!」
警察官はため息をつく。
「“ちゃんとしたサイト”なら摘発されないんだよ。
教材に出たんだから、もっと気をつけなさい」
志希は涙目。
「……なんで私、怒られてるの……?」
警察官はさらに追い打ち。
「それにね、
“当たったからってすぐ信じる”のは詐欺被害者の典型なんだよ」
志希は叫ぶ。
「詐欺じゃないって言ってるじゃん!!
今回は本当に当たったの!!
ただ運営が捕まっただけなの!!」
警察官は冷静に言う。
「結果としてカードは届かないんだから同じだよ」
志希は崩れ落ちた。
そして志希は配信をつける。
「みんな……聞いて……
私……詐欺対策を学んだのに……
運営が警察に捕まって……
カード届かない……
しかも警察に怒られた……」
コメント欄が爆発する。
「悲劇すぎる」
「詐欺じゃないのに怒られるの草」
「志希、運営を見る目がゼロ」
「教材に続編できそう」
志希は涙目で言う。
「……でもさ……
次こそ当たる気がするんだよね」
リスナーは悟った。
志希は今日もブレない。




