52 選定を終えて
「総評だが、まずは皇后選定の開始を告げる合図すらできなかった私のために全力を尽くしてくれたこと、心より感謝申し上げる」
皇帝として、夫となる立場の者として。礼を伝えながらも頭を下げないその姿に、恐れながらちゃんとしているなと思った。こちらこそ、と何も言わずに蓮華達も頭を下げる。体が本調子でなくとも、できる限り蓮華達に歩み寄ろうとしてくれていたのはちゃんと伝わっているのだ。
「各々自分にできることを探しながらその時できる精一杯を尽くしてくれていたと聞いた。私が直接見て回ることは叶わなかったが、茶会や文通、宮廷内の使用人と交流を深めたり、下の位の妃にも声を掛けたりと、皇后選定のみならず妃としての振る舞いも文句の付けどころがないようだったな」
それは当然のことだ。その時できる精一杯のことを成し遂げるべく動くのは、歩み寄ろうとしてくれている相手への最低限の礼儀だろう。
「蓮華は最も有利な立場とはいえ、最年少かつ入内当日に選定が始まってしまい苦労もあっただろうが、それを見せることなく終始貴妃として完璧な振る舞いをしていた。私の呪いを解呪する上で誰よりも正確に早く情報を掴み、このような場を用意することができたのは賞賛に値する」
「もったいないお言葉でございます」
本当に、身に余るお言葉である。蓮華は最初、四夫人ならば目指さなければならないはずの皇后ではなく、ひとつだけ願いを叶えてもらえるという貴妃を目標にしていたのだ。そうして無事に貴妃に任命された暁には、この後宮を出たいと申し出るつもりだった。本来ならそのように賞賛してもらえるような立場ではない。
それから黒曜は、夢鈴に『愛嬌という自身の強みを上手く利用して選定に望んでいた。また、解呪でも誰より蓮華を支えるべく動いでいるように見え、妃同士でありながら良い関係を築けていることは素晴らしいと思った』と告げる。その言葉を受けて彼女は当然というような顔をするかと思ったが、意外にも夢鈴は恥ずかしそうにしていた。視線を逸らしながら頬を染めている姿はたしかに、周囲の人の庇護欲を掻き立てるものだろう。
雪璃は宮廷内の書庫を何度も出入りして、まずは根本的な部分を理解しようとしている姿が印象的だったとのこと。同じく、解呪でも大きな役目を果たしてくれたと。そしてこれは蓮華の個人的な感想だが、妃の中では雪璃が一番、皇帝に対する忠誠心が強いような気がした。蓮華も負けるつもりはないが、彼女は健気なところがあるのだと思う。
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